(たぶん7月頃に書かれたが、今見ると突っ込みが甘い)

 先日のジャンク品Tiger100はSL35D×2で動き始めた。やはりSlot1デュアルは外見(だけ)は迫力がある。しかし体感ではただのP!!!450MHzで、HDBENCHの数値が2倍になっているだけだ。W2kで使ったのだが、横着をして古いBIOS(Ver1.18)でインストールしたらACPIにならなかった。インストール後にBIOSを上げたものの後の祭り。お陰でスタンバイはおろか電源すら自動で落ちない。

 古のマザーなので古のHDBENCHで動作テスト。ビデオカードとHDDは、いつも通り無料コーナーで貰った特攻用なので数値は省略する。OSはWin2000SP4で、BIOSは既に最終BIOSに更新済み(Ver2.00.05)。つまりこのマザーがこれより良くなることは永久に無い。

★ HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★

Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW
41117 40965 15996 15336 23851

 数値はP!!!450MHzと考えれば速いと言えるかも知れないが、体感に全く反映しないのでノーマルなCeleron566+i810と変わらない。筆者の常用ソフトにマルチCPU対応の物は無いから仕方がない。70W前後の消費電力を考えると実用は無理(Celeron566+i810は35W)。


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↓で、ここからがHSDLの本番。
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 S1832DはRev.Fから河童対応いうことになっているらしいが、実際はE以前のリヴィジョンでもBIOSをアップすれば対応する。一昔前はRev.F化などという改造が一部で話題になったが、本来ならばこの改造は必須ではない。電源コントローラがRC5051だから、下は1.3Vから出せるので河童対応は何の問題も無い筈なのである。では何故改良されたかと言うと、このマザーの設計が元々チクロ設計だから。

 440BXのうち、特にSLOT1マザーは基本設計がPII450程度で設計されている。このため本来は、高クロックの河童では電流容量が足りず載せられない。それでも余裕を見て設計された良いマザーなら、動作マージンで何とか動くのが普通である(皆様の440BXマザーでも河童1GHzが動作していると思う…知らぬが仏、見ぬが花)。S1832Dは動作マージンが殆ど無いのが問題なのである。

 例えば出力コンデンサを見てみる。PII450のicc13.6Aというのは突入電流も含めた値だろうから、精々75%として10.2A、許容リプルを140mVp_pと設定する。アプリケーションノートの例の式を使って計算すると、一本辺り約68mΩでなくてはいけないが、搭載されている日本ケミコンLXZ1000μF10Vその68mΩなのでギリギリである。

 CPUのバックアップ(二次電池)としても、容量5000μFではSuper7辺りが相応なレベルである。シミュレーションで出力を振ってみたら下のようになった(太い線なのはリプル分があるため)。変動範囲は丁度PII450許容範囲の280mVである。実はSpiceで設計したのだろうか…(笑)。現実的にはスリープから100μsフル負荷と言うのはあり得ないが、これは電源の素質と見て欲しい。
tiger100
 新品でコンデンサの"イキ"がよければ不具合は出ないのだろうが、マージンはゼロに近いので2〜3年で許容範囲を超えていると思われる。毎日それなりに使い込めば、相当にヤバイ設計だと言うのは解ってもらえただろうか。


 結論:このマザーをノーマルで使った場合、PII450または河童P!!!700Eが限度。それ以上はウンコモードで動いているので、品質については何も語れない。



lxz1
 コア出力に日本ケミコンLXZ1000μFが5本…同時期のSlot1シングルマザーの中でこれほどプアな奴は殆ど無い。例を挙げれば、HSDLで初期に改造したあのP6E40-A4はPII(FSB66)、Celeron用の440EXマザーだが、エントリーモデルながら三洋GXクラスを1500μFを7本搭載している。粗末な部品で有名なSY-6BA+(PII対応)ですらYXGクラスの1000μFを7本搭載している。いくら10V物で多少のESRを稼いでいるといっても、ESRも容量もエントリータイプのマザーに劣るようではしょうがない。

 まあこの板は鯖板といっても「なんちゃって」が付くカテゴリーの奴だからしょうがないが、それにしてもケチりすぎ。Rev.F化には1500μFに交換すると書いてあったが、容量は足りてもESR的には銘柄によって足りない場合がある。LXZやルビコンYXGレベルだったら1500μFでも1GHzは無理だ。

 ベストは三洋WGクラスの2200μF6.3Vを5本立てればよい。それで1.1GHzまでいけるだろう。筆者が換えるとしたら三洋WG3300μF6.3Vが余っているので5本立る。1本辺りの容量が大きすぎると瞬発力に欠けるのだが、所詮は5本立てなので諦めるより仕方が無い。スペースはがら空きなんだからもっと分割すればよい物を…(せめて7本分割で)。多分シングルマザーの出力コンデンサを2で割って振り分けたのだろう(冗談だけどマジだったりして…)。



lxz2
 PII450で65℃以下とすれば、入力コンデンサはこれで充分。河童でもP!!!700までならこのままでも良いわけだが、10年近い年月が経過しているので(5000時間保証のLXZと言えども)交換した方が良い。交換には耐圧10V以上が望ましいと言われているが、国産なら6.3Vでも何の問題は無い。三洋WX(ニチコンHD、日ケミKZE、ルビコンZL相当)の1500μF6.3〜10Vならば1.1GHzは余裕である。あとはサイズとの相談だろう。



yj
 TYANではお馴染み(というかTYANでしか見たことが無いブランド)の一般用85℃品のY.J。そこそこ値段が高いマザーにこれを使われると正直言って萎える。レストランでインスタントの冷凍食品が出てきた感じだ。新品ボックスで買った人はこれで満足できたのか?



reg
 これってVtt1.5Vだよね。基板に貼らないならヒートシンクぐらい付けろよ。この1本でCPU×2を賄っているようなので5AのレギュレータICだろうけど、ヒートシンクを付けないとキッチリ5A出ませんぜ(CPU×2両方共全開はありえない位の確率だろうが)。レギュレータICはヒートシンクを付けないと意外と簡単に死ぬ。不動ジャンク品は、ここが逝かれて動かない場合も多いかもしれない。

 手前のY.J330μFが出力コンデンサだ(手前のパターンは意図的なR?)。これも一般用だし容量も少ない。交換するとしても、出力コンデンサの影響を受けやすい1084系とかだったらOS-CONなどは付けられない(発振するか不安定になる)。程々に低ESRのYXG辺りが向いているかな。容量は470〜1000μFくらい。



memdc
 これはメモリ関連のデカップリング・コンデンサと思われる(調べていない)。85℃品の一般用10μF16Vである。容量もESRも寿命も全てにおいて落第(そもそも設計者は10μFはタンタルで想定しているはず)。他社のマザーには330〜1500μFが付いていると思う。両面メモリ4枚載せたら原因不明のエラーが出るかも。SD-RAMバッファは流石に省略されていないが、クロックやデータラインよりも電源から崩れそうな気がする。

 なお小容量電解コンはドライアップしやすい(液が少ないから当然)ので、気が付かない間に終わっている場合が多い。このマザーのように第6世代の奴は、既に10年近く経過しているので交換しないとダメ(Vmemは大電流だよ?)。まだしつこく440BXを使っている人もあるかと思うが、あなたのマザーのチビコンは死んでいるか殆ど死にかけてます。無くても何とか動くから気づかないだけだ。マザーが古くなって調子が悪くなるのは、99%が接触不良かコンデンサの寿命だ。



clock
 Rev.F化で書かれているクロックのダンパ抵抗を変える改造は、面倒ならばやらなくても良い(そんなことをしても効果が低いのは上に書いたとおり)。しかし普通のマザーのような集合抵抗ではなく、バラの抵抗でダンピングしているので交換は容易だ。どのマザーもこうやってくれれば苦労は無いのだが…。このマザーで唯一気に入った部分である。



nazo
 これは何のコネクタなんだろうねえ?電力供給に不安があるのだろうか。しかし調べてみたけど電源には接続されていないようだ。考えるのも面倒なので、真相を知っている人はサックリ教えてください。



 以上見てきたように、このマザーの電源部の設計は普通のSlot1シングルマザーより明らかに低コスト・低レベルである。シングルCPUだったらECSの廉価版だってもっとマシな電源が付いているだろう。

 全体のコストはシングルCPUマザーの1.2〜1.5倍でありながら、2倍の値段で売れるんだから実にウマイ話だ。マザーベンダがこの手のなんちゃって鯖板に参入したがる理由がよく解る。Rev.F以降はこれよりいくらかマシだが、前記のように到底1GHzで安心できるレベルではない。精々P!!!700〜800MHz程度で使うのが賢い使い方。もう使っている人はいないだろうけど、過去に使っていた人はこれを読んで憂鬱になってください。ていうか騙されたんだよ、アンタ。



追記1:後から思いついたんだが、このマザーのスイッチング周波数は250kHzだからリファレンスの300kHzより少々低い。これを推奨どおりにしてやればよいのではなかろうか。これでリプルは(計算上は)5mV位下がる。ついでに入力を12Vにすれば完璧だ。これでしょぼいコンデンサでも何とか戦えるか?あれ、でもRC5051Mって12V対応してないぜ。やっぱりダメか…捨てちまえ。

追記2:Rev.F化って下記の通りらしいんだが、うちのR51とR53は10Ωなんだけど…どうすればいいんだ…(笑)。ちなみにR52は22Ω。

R51、R52、R53の抵抗値が22Ωなら33Ωに交換
VRM出力コンデンサ1000μF×5を1500μF×5に交換

r51_r53



 既にHDD消し&構成バラしちゃったので続かない(希望があれば続ける)。デュアルごっこはSDVIAでやります(多分)。