★概要
 今年1月に掴んでしまったハズレマザー。ECSを買ってハズすとダメージがでかいな…。まあハズレと言っても動くわけだから文句を言うべきではないかもしれない。815EPのBステップで、以前登場したP6IEATからオンチップVGAを抜いたマザーと言える。

zenkei
 ジャンクだから当たり前かもしれないが兎に角汚い。手が汚れるので触りたくないと思ってしまうくらい汚い。買ってから暫く放置していたのはその理由もある。これをもし家に持って帰ったら、間違いなく家族によって不燃ゴミとして処分されてしまうだろう。これはHSDL得意?の「マザー洗濯」の有力候補になってきた(実は新たな秘策が…)。

 写真は無いけど、下USBコネクタの真ん中の樹脂製の芯が折れている。CPUソケットの折れといい、ボードの異様な汚れといい、前オーナーは怠惰で乱暴な人格だった模様。こういうサル並みの人間はコンピュータを扱うのは向いていない。直すとすればコネクタごと交換だろうなあ。用意はしたが、(USBは使わないので)交換するかどうかは分らない。


iru3013
 PLL2のコンデンサは同社のP6STP-FLと同じく通常の(液)電解コンデンサだった。これはECSのお家芸か…何とかしろよ(うちのP6STPのOS-CONもそのままになっているなあ)。左横の5Bitのジャンパは電圧設定用だ。VRM8.5対応なので極限まで下げて遊べる。実際はコア的にあまり下がらないんですけどね。

 コントローラはIRU3013である。VRM8.5コントローラとしての役割のほかに、3つのリニアレギュレータを内蔵している。Vcc2.5V、Vcc1.8V、Vtt1.25V等の主要電圧がこのICだけで供給できる、コストダウンにはピッタリの石だ。スイッチング周波数は50〜500kHzの範囲内で任意の周波数を選べる。

 PCマニアたちはチップセットのリヴィジョンとかどうでもいいこと(注)は気にするけど、このように電源のことも考えて欲しい。VRM8.4のリファレンス設計は精々14〜5A程度だったが、VRM8.5では30A(勿論ピークの話)と倍になっているのだ。


注:810/815の所謂Bステップという奴だが、恐らくAステップと何も違いはないと思われる(やったことないけど張り替えたら正常に動くんじゃない?誰か試してみてね)。その証拠にピンマスクというインチキで鱈が動くじゃないか。あれは単にピンアサインを変えているだけだからね。じゃあ何でチップセットの公式対応CPUが違うかと言えば、インテルのバリデーションチェックを通ったかどうかに尽きる。インテルはテストしていない物に対応印を付けるほどいい加減な企業じゃない。


g_luxon
 コンデンサは台湾製にはとても珍しく、チビコンからメインコンデンサまで全て一社で統一されている。そのメーカーがLuxonなのがECSっぽくて泣けるが…。交換する楽しみがいっぱいである。勿論手薬煉引いて膨らむのを待っている。部品が損耗しないと改造するきっかけがつかめない。何しろ筆者はものぐさである。

 上下FETはFQB60N03Lが使われている。これはデータシートを見ると相当速そうだ。トバすと替えが手に入らない可能性が高い。上下ともパラレルでパターンが引かれているが、リファレンス回路でも下側はパラである。石を追加すると勿論性能は向上するが、更にオーバークロックしないかぎり強化の意味は無さそう。その場合でも上はパラにする必要は無い。スイッチングが遅くなるんじゃないか。

 出力コイルも60径の18材に0.7φの3本巻きと、扱う電流はかなりの大電流であることが分る(ピークで30A)。このマザーでは単線巻きだがAWG#14だから7世代並みに太い。この鱈辺りから大電流のイヤな時代になっていくわけだ。


soket
 ハズレ呼ばわりの主な理由は、このようにクーラー取り付け爪が欠損しているから。3箇所引っ掛けるソケットA(462)用なら付くように思えるが、折れた部分がないと斜めになってしまう危険がある。そもそも462用はテンションが高すぎて使えない。テンションが弱い奴なら何とか引っかかるが、勿論このままケースの中に入れるわけには行かない。知らないうちに脱落していたら大変だ。サーマルプロテクションが優秀なインテル系だからいきなり燃えたりはしないだろうが…。

 ソケット内の値段が高めの大容量MLCCは全て省略されている(全てコア電圧用)。真ん中の緑のパーツはCPU温度計測用のサーミスタだが、IT8712Fなんだからサーマルダイオードを使えばいいのに。PGA370用のCPUでサーマルダイオードが入っていないのは無い筈。


l1before
 HSDL用語で言う「L1前(L1外)コンデンサ」は、IRU3013リファレンスにも1000μF6.3Vとして存在するが、このマザーでは100μFとなっている。ここは容量が大きく効いてくる部分なのでこれでは効果が低い。このコンデンサを強化すると、マザーボード上の5Vがノイズに汚染されなくなる。


clock
 クロックジェネレータはあまり遊べそうに無いICS9250BF-50である。それはまあいいけど、2.5Vと3.3Vの10μFが通常電解なのはいかがな物か。これは交換必須でしょう。いや無くても動きますけどね。


★その他省略&ケチリコンデンサ

  1. TC47は勿論コア電圧出力用。リファレンス設計では三洋GX1500μF6.3Vを7本使用することになっている。G-Luxon2200μF6.3V×6では不安。でも噴くまで待ちたいところ。
  2. リファレンスでは入力も同コンデンサを3本となっているのだが…パターンがないので付けられない。ここも自爆を待ちたいが、ウチの使用頻度では無理だろうね。
  3. TC42は3.3Vライン。勿論PCIバスのデカップリング。直流し系なので105℃品一般用でも良いが低インピーダンスに越したことはない。流す電流にも依るが470以上1000μF以下。
  4. TC12はTC24、25と並列で、恐らくメモリ系。インテルマザー等では堂々と85℃一般用が使われているが、もちろん低インピーダンス物が望ましい。
  5. GMCH裏には何も付いていない。FSB133ならデカップリングは必須だと思うが。

 これらは全て復活させたい。コスト的にケチっているだけで、本来は必要な物である。


★波形観測
 VRM8.5なので標準測定用のSL36A(2.00V)は使えない。そこでSL46T(1.50V)を定格で使用した。他のVRM8.4以前のマザーと比べるとデューティー比が異なるので注意。スイッチング周波数は204kHz(IRU3013のリファレンスは220kHz)である。波形が他のECSマザーに似ているのがちょっと笑える。基板も部品もコントローラも違うのに、これはメーカーの個性なんでしょうかね…。左上がL1前、右上がL1後、左下がスイッチング、右下がコア電圧初期の各波形。
hakei


★メモリ動作試験
 鱈セレSL5ZEで動かしてみた。定格ではメモリテストは難なくパス。試しにFSB105MHzで動かしてみたが起動せず。たったの5MHzで音を上げるとは…これではFSB133どころじゃないだろう。オーバークロック耐性はAX3SPro-Uと比べると格段に落ちる。FSB103MHzでは動作したので単純にマザーの耐性の問題と思われる。鱈Aステップでも1300MHz行かない石はまず無いよ。
sl5ze103


 総合的に見て、ECSの主力であるOEM用として地味だが堅実に設計されているようだ。電源部はVRM8.5らしく良く出来ている(よく出来ていないと鱈はヤバイとも言える)。その反面、個々の部品はかなりケチられているが、どうせサイクルの早い商品なのでこれでいいのかもしれない。家電と同じに考えても仕方が無い。後生大事に長年使う人は買ってはいけない。

 とりあえず動くことは分ったので、まずは洗ってから改造しようと思う。もっと日照時間と気温が欲しいのでちょっと時間がかかりそう。