友人がハードオフで買ったジャンク品。Mini-ITXフォームの組み込み&キューブパソコン用のマザーである。電解コンデンサが膨らんでいるので、それを交換するために借りてきたものだ。
zenkei
 PCに最低限必要なVGA、SOUND、LANなどがオンボードで実装されており、CPUとメモリとHDDを付ければそれだけでPCが完成する。ノースブリッジは見えないけどチップセットはPL133で、サウスはATA100対応の686Bである。バラックで遊ぶも良し、何か別のケースに入れたりするのも良い。壁掛けPCにも最適だ。


soket
 CPUソケット内の4つの大容量MLCCは恐らく10μFだと思われるが、全てVcoreに繋がっている。PLL2は1μFのMLCCだが、本当は33μFくらいのタンタルが良い。ちなみに真ん中の黄色いのは温度計測用のサーミスタである。


power_mosfet
 パワーMOSFETは上下ともPHB55N03LTである。超高性能ではないが、周りのパーツとの相対関係では充分な能力を持っている。ちなみにゲートの配線はわざと曲げてある。


vrm
 スナバもステアリング・ダイオードも無い(出力インダクタの下にある空きランドD5がそうだが省略されている)、骨と皮ばかりの構成である。入力コンデンサが1本だし、入力コイルもか細いので大電力CPUは載せてはいけない。元々C3あたりが想定されていたのではなかろうか。もしそうだとすれば電解コンデンサが膨らむのも致し方ない。このマザーには購入当時、SL5ECが載っていたが、これはちょっと積載オーバーだろう。


rt9224
 注目のVRMコントローラはリッチテックのRT9224である。FreeTechのWebサイトによればPL133Tでもオファーがあれば作るらしいので、その時はこれがVRM8.5対応の品に変わるのだろう。このコントローラはHARRIS(現intersil)のHIP6004B互換品と言うことで、二流メーカのパチもんと言う感じがする。


l_in
 入力コイルは最近の手抜きマザーのようなフェライトバーの自立コイル。これは縦置きにするとケースの外側に向けて電磁ビーム(笑)を発射する。もし出来れば交換したいところだ。こういう超小型フォームのマザーはスペースの問題もあるのだろう。

 ここにFBだけを使ったBKi810と言う恐ろしいマザーもあったので、これでもマシな方かもしれない。


l_out
 Vcore出力コイルは太い線が使われており問題ない。T50-52Bで12回巻きということでやはりカッパーマインなら800MHz程度が限界。それ以上は不安定になったり、コイルでの損失が増えることから発熱も増える。


cap1
 全18本の電解コンデンサは全てCanicon製。蟹コンと呼んでやろう。Vcore出力コンデンサが膨張して死にかけている。全てメーカーが統一されているのは仕入れがまともな会社なんだろう。しかしどうせなら日本メーカー、若しくはもっと信頼性の高いメーカーを使って欲しかった。Vcore出力電解コンはチビデブなのでESRはそれほど低くは無いだろう。

 筆者はコンデンサは交換すれば良いと考えているので、地の設計が良ければそれほど気にしない。何度も書いているがマザーボードの設計と生産は別部門で、設計者の思惑通りの部品が付くとは限らない。また部品が良くてもクソ設計、も充分有り得るのが怖い。これらはOEM先の無謀な¥要求によっても変わってくるので、一概にメーカーブランドで評価するのも危険である。あーなんて理解のあるHSDL(笑)。


amc7585adj
 ずいぶん珍しいの使ってるな。AMCΨの7585-ADJSJ(TO252)である。小さいけれど5Aと強力で、メーカーはLT1585と同等品と称している。ホントかよ。ただのピン互換だろうな。

 これが3つも載っていて、Vmem3.3V、2.5V、Vtt1.5Vを生成している。3Aもあれば充分な2.5Vまでこれでやっているところを見ると、大量仕入れで安かったのかな?と思ったりする。3.3Vは手抜きするとすれば要らないけど、こういうところは組み込み用らしく真面目にやってますね。真面目にコストダウンしたいなら、US3004やSC1185を使ってこれらを全部廃止するとか…色々考えてしまうな。


ics9248-98
 クロックジェネレータは亡きICSの9248-98である。Apollo133用でFSB66〜166MHzまで幅広く動かせる。がしかしこのマザーはチップセットが高クロックに耐えられない(予想)ので、結局の所宝の持ち腐れかもしれない。回路的に見ると電源周りも抜かりは無いので、設計者はフツーに出来る人間だと思われる。


interface
 LANは蟹8139C、AC97コーデックはVIA、FW323-05はIEEE1394Aのチップ。ま、このマザーでファイヤーワイヤーを使うことは無いだろうけど。究極(窮極?)の高密度実装、基板デザイナーの腕の見せ所だ。最近はオート設計使う事が多いけど、あれをそのまま使うとソケットの爪の部分に電解コンデンサを配置してくれたりします…「これが最適解です」とか言って。そういう失敗をそのまま基板化した(注)有名マザーボードメーカーがあったね。

注:もちろん実際には電解コンデンサは実装されなかった。だって付けたらCPUが付かないんだもん。
m9(^Д^)プギャー



magari
 概ね基板設計は褒めているが、やっちまった部分もある。この部分はクリスタルがポストピンにぶつかって曲がっている。もう少しでクリスタルがMLCCに接触しそうだ。これはツバ無しを想定していたのか?



 このマザーで一番驚いたのは電源コネクタである。3.3Vの3本のうち2本はまとめてあるが、1本は独立してクロックジェネレータのVcc3.3Vだけに供給されている。これは金をかけないデカップリングと言って良いのだろうか。今まで数百枚のマザーを見てきて、こんなマザーは初めて見た気がする(普通は全部まとめてある)。この地道な工夫は、多分誰一人気付いていないだろうが俺は気付いたぞ>設計者殿。筆者はいつもコネクタ電位のバランスをチェックするのだ(ま、品質チェックのプロ&デバッガ以外はやらんだろうな…)。

 改造編に続く。