et4000w32i
 栄光のジャパン94年31週。かつて我が国が世界一の半導体生産国であった証。今ではもう見る影も無いが…。


 ビデオカードの箱を整理していたらET4000のVGAカードが出てきた。勿論ISAである。このチップは世界で40%くらいのシェアを誇った、知らぬものは無い一世を風靡したチップである(DOS最速)。但し筆者は現役当時は当然PC9801を使っていたので名前しか知らない。このカードはET4000の32ビット対応版であるET4000/W32Iが搭載されている。

ET4000/W32→VL/ISA
ET4000/W32P→PCI
ET4000/W32I→メモリインターリーヴのIらしい

 確か一度も使ったことが無いので、最近(と言っても古のマザー)のマシンに載せてテストしてみることにした。ところがD815EEAにはISAが無いじゃありませんか(^^; 仕方が無いので先日、スイッチ直付け改装をしたWS440BXを持ち出してきた。これも1つしかないのだが、ISAバス・スロットなど1つあれば充分だ。

 カードを差してスイッチオン!無情にもVGAエラーのビープが鳴る。しかしIRQジャンパの組み合わせをテキトーに変えたらエラー無く起動した。だが肝心の画像が出ないではないか。これはET4000論理層チップは生きてるわけだから、物理層チップの不具合かアナログ配線が切れているのかどちらかだ。何だよ修理かよ〜イヤだなあ。

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 で、もう一度カードを良く見たらおかしな事に気付いた。このボードには水晶発振子が見当たらない。水晶のないビデオカードなんてあるわけがない。その証拠に物理チップの横にはちゃんと穴が開いている。

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 穴が開いてるって…これはつまり水晶発振子が取れてしまったということだろう。あまりに綺麗に取れているので最初から付いていないのかと思ったぞ (^^;

x1_ura
 ハンダには穴が開いており、確かにリード線が通っていたと思われる跡がある。このカードの写真をネットで検索したら、比較的背の高いHC18/U?水晶が付いており、ジャンクで揉まれるうちに当たって抜けてしまったのだろう。やれやれ、こんな不良は初めてだ。

14318mhz
 そういうことなら話は簡単。100%の確率で14.318MHzの水晶だろう。この手のパーツはジャンク品が余っているのでナンボでも用意するぞ。ハンダ付けして動かないと徒労なので、穴に差し込んでそのまま動かしてみよう(相変わらず超テキトー)。

3dbench2
 クロックが不安定で?チョイとゆれているが起動した。3DBENCH2はスーパーマシン(^ω^)に付けたにもかかわらず67.4(USWC)だった。デモに使えるくらいゆっくり動く。それでも現役当時ならかなりの速さだった(確か30台で威張れたような記憶がある)。この時代のシステムだと1周1分以上は掛かる。それが数秒で終わっちゃうんだから…。HSDLのバカ記事「3DBENCHの帝王」によれば、HSDL最低記録(Celeron300Aにて)は、とろいデントTVGA9000の37.7。

 98SEに付けてみた。ドライバが入っているのが普及率を物語る。解像度はSVGAで8Bitまでしか使えない。ビデオメモリが512kBしかないからだ。PC-98の頃は気にならなかったけど、256色は厳しいものがある(VGAだと65536色まで)。記念にデバイスマネージャー画面をキャプチャーをしようと思ったが、画像が乱れてまともに捕らえられない。これは差し込んであるだけの水晶が悪いのか、それともコンデンサが死にかけているのだろうか。なおPnP対応ではないので、一度ドライバをインストールするとIRQ09に噛み付いたまま離れなくなる。例えカードを外してもそのままなので、次に付けたビデオカードがエラーになる。外す時にはデバイスマネージャーで削除してから外さないとちょっとはまる。


 気楽に始めた動作チェックだったが、思いがけずハマってしまった。最近はあまりヤル気が出ないがハンダゴテを出して作業をする。そう言えば先日部品を整理していたら、トーキンDN10μF16Vが大量に出てきた。これだけあればしばらく保守修理用には困らないだろう。今回も贅沢にこれを使ってみた。

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 元から付いているアルミ電解コンデンサは3つだけ。どれも同じ中華製S.Iの10μF25Vである。何気にS.Iは老舗なんだなあーと思ったり。このカードは96年製なので100%アルミ電解コンデンサの寿命が来ている。無くても不安定ながら動くから分らないかも知れないが。

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 取り付け完了。DN10μD16Vは在庫10年近い物なので、カードの世代(90年代)的にも丁度よい塩梅かな。少なくともポリマー系は外見的に似合わない。よく見たらこの基板はチップコンも使える仕様なんだね。2012のMLCCの方が当たらなくて良いかもな。筆者はDNを使いたいのでチップコンは使わない。水晶発振子もシッカリハンダ付けして取り付ける。これで半永久的に使える…いや使わないけど。

注:タンタルにも寿命はあるが、寿命前に筆者はあの世行きになるだろう。ちなみに現在は研究が進み、半永久的と思われていたMLCCすらも経年変化で容量が減少する事が判明している。これでは通常アルミ電解をバカにできないな。以前も書いたが熱を加えるとほぼ元に戻るらしいので、どうしても気になるなら再ハンダすればいい。ちなみに熱をかけると戻るので、ハンダゴテで外して測っても容量減は判らないよ(^ω^)


 部品を取り替えてみたけど動作は変わらない。ウインドウが乱れるし、どうやらペイントが上手く動かないようだ。ドライバに不備があるんじゃないかと想像するが。しかしもうメーカーは存在しない(TSENGはATIに吸収されて消滅)し、これをソフト的に直すのは諦めざるを得ない(NT4.0やW95の方が良かったかな?)。そのうち昔のマシンでW3.1用ドライバを用意して懐かしんでみたい。懐かしむと言っても、筆者はリアルではPC98版しか使ったことは無いのだが。その際はソケ7等のISAスロットが一杯あるマザーを用意しよう。夢の?オールISAシステム(VGA,SCSI,LAN,Sound)も今なら組める。


 折角98SEで動かしたもののDirectXに対応していないのでGDIのベンチしか動かない。速度は10年前のカードにも遠く及ばない。デジタル・アナログセパレート型と言っても画質が良いわけでもない(RAMDACはIBMではなくICSだからな…)。今これを使うのはアホ以外の何物でもないだろう。でもまあ午後の一時を笑って過ごせたのでいいか。やっぱり昔のよく知らんバスのビデオカードは面白い。PCI-E、AGP、PCIなどでは味わえないスリルがある。早くVLBusも使いたいぜ。何故かVLバスのビデオカードは一杯有るので、あとはVLバス搭載のマザーを用意するだけ。