友人の友人がジャンクで買ったが全く動かないと言う事で、流れ流れてHSDLまでやってきた。最低でも4オーナーを経過してきたマザー。部品取り用として受領したが、945でもウチでは充分に戦力になると言うことで使いたくなった。もし動かなかったら引越し前に解体して捨てねばならないので、動作チェックを兼ねて解析記事にする気になったわけだ。回路も基板も全く面白くないので超高速テキトー版で。


d945gnt
 サイズ的には何の変哲も無いATXマザーであるが、おなじみのM-ATX兼用基板となっている。ちなみに勘違いしている人も多いようだが、インテルマザーの回路=リファレンス回路ではない。実用になるCeleron4xxとかCore系は使えないとは言え、775セレD・DDR2メモリ・PCI-Eが使えるので動けば嬉しい物件だ。


vrm
 シロート目には富士通固体を使って高級そうに見えるが、回路・製造的には矢鱈に手抜きされている。故障の原因になりかねない手抜きだ。まずパワーMOSFETが上下とも並列になっているのが見える。これはDS間のON抵抗を半減するためだが、こんなのは部品代をケチる以外にメリットは無い(注)。安い石の並列繋ぎより高性能な石を使うかフェーズ数を増やすのが正道だ。石が増えたお陰でスペースが無くなりパワーMOSFETを立てて実装しているが、この場合は放熱が足りなくてヤバイ事になりそうだ。

注:尤もインテルのリファレンス回路自体がパラになっているのが多い。例を挙げれば昔の81x系のVRM8.4では4410の上下パラパラになっている。

henshoku
 …実際にヤバイ事になった。マザーの使用者がインテルの想定する使い方をしてくれるとは限らない。実際Intelマザーは、OEM採用を除けばあまりインテリジェンスの高くない人々に好まれる。そういう人間(得てして静音マニアだったりする)は基板の放熱なんて全く気にしない。結果としてこのように焼けてしまったりするわけだ。お粗末な製造のマザーと無知なユーザーの合作。ちなみにこれ以外では、昔のEPOXやGIGABYTEのマザーが焼けているのが多い。EPOXはオーバークロッカーが使っていたからで、GIGABYTEはビギナーが使っているからだ。オーバークロッカーはジャンク覚悟の確信犯だが、それ以外はパーツに無知だからに他ならない。


pci_slot
 おなじみ85℃品のVRで安く上げている。このコンデンサは噴いたりはしないが、知らないうちに乾いて能力が減退する。「そんなに長く使う人は居ないだろう、いや使うな」と考えているのかもしれない。寒冷時の能力低下も著しい。加えて直流前提のコンデンサなので、あまり高周波を出すカードを載せると問題が出る。だからMB専業メーカーのマザーには高周波対応の低インピーダンス品が使われているんですね。インテルの想定しているカードって何なんだろう?


v_mem
v_pcie1
v_pcie2
 何処も彼処もインダクタにはフェライトバー・コアが使われている。勿論これはコストダウンの賜物?である。基板を立てた時には横に磁束が漏れ出す。筆者などは見たくないパーツの一つ。


fwh
 FWHがねぇぇ!動くわけ無いじゃん!と思ったら、コイツは現代的にSPIだったのだ。よく見たら25LF040Aが載っているではありませんか。最初に見たときは勘違いして騒いでしまって申し訳ない>誰に?

 しかしイヤな時代になりましたなあ。これでは他機に差し替えて書き換えできないではないか。まあシリアルは配線が少ないから、実装したままライターを繋いで書き換えできそうだが…余程高価・貴重なマザーで、BIOSが飛んでいる確信のあるもの以外はメンドーでやってられない。つまりHSDLのマザーではやらない(^^


socket_magari
 それ以外に難点が…何とソケットのピンが曲がっている。これだからs775以降はイヤなんだよなあ。まあお陰でCPUのピンは曲がらない訳だが。仕方が無い直すか。


pincet
 道具はこれ。我々はピッカーと呼んでいる引っ掛けツールと極細ピンセットだ。あとは目だけが頼り。ジーサン連中には目が厳しいが、実体顕微鏡を使えば特にどうという事は無い。筆者は裸眼でOK。


socket_shuusei
 修復しましたぜ。以前のGA965P-DS3の経験が活きましたな。前回よりだいぶ上手くなってきたのだ。時間も10分もかからなかった。それではCPU(SL98V)でも載せて電源を入れてみよう…と思ったらクーラーが無いじゃありませんか。イヤご存知の通り狐製轟音クーラーは持ってるけど梱包したので出せないのだ。動作チェックは次回に持ち越し。


いつになるか分からないけど続く。