続・古のマザー② BKi810(その1)
続・古のマザー② BKi810(その2)
PC Chips BKi810 もでφ(その0.1)


 現状は明らかに役立たずの不動マザーBKi810だが、KA7500Bチョッパ型DC-DC評価ボードとしては役に立つ。動かないマザーを弄って遊べる所がHSDLの凄い所?だ。我々の知らない事はまだまだいっぱいある。


★もう少しマシなのを付ける
 写真を見れば分るように、このVRMは10φ5本と8φ2本の出力コンデンサを実装できる基板設計になっている。HSDLにより現状は下記のようになっている。

EC5:LZ1500μF6.3V→RE2 2200μF10V
EC6:LZ1500μF6.3V→未実装
EC7:LZ1500μF6.3V→RE2 2200μF10V
EC8:LZ1500μF6.3V→RE2 2200μF10V
EC9:LZ1500μF6.3V→未実装
EC21:LZ1000μF6.3V→RE2 2200μF10V
EC22:LZ1000μF6.3V→未実装


re2_wf1
 この状態でダミーロードを繋いでリプル観測してみた。動いてはいるけど定常リプルが大きい。この離れた位置なら普通はもっと波が少ない。これでは最大負荷では60mVを満足できない可能性が高い。やはりいくらなんでもRE2はやり過ぎか(^^; しかし一般用でも波形の周りがスッキリしているのはソケット内部で頑張ったから。エリートグループのマザーでこんなにスッキリしたヤツは見た事が無いよ。

 さて定常リプルを改善するにはもっとマシな、少なくとも低インピーダンス品と呼ばれるコンデンサが必要だ。ただそれには心配がある。このVRMに使用されているKA7500Bが発振しないかということ。TL494互換系のPWMコントローラは高級な位相補償機能は内蔵されていないから危ない。μPC494はソコソコ位相補償されていたが、KA7500Bはどうなんだろうか。ま、何もせずに気を揉んでいても問題は解決しないので実験してみよう。


★何を載せればいいか?
 載せ換え候補はUTWRZ1500μF6.3V以下のものだろう。がUTWRZは前世紀的で8φのサイズが無い。仕方が無いのでEC5~9にUTWRZ1800μF6.3Vを実装して、EC21と22は実装せず放置する。これが教科書的な載せ換え例。危ない橋を渡りたくなければ、元設計のコンデンサのインピーダンスに合わせるしかない。しかしHSDLはこんな天然ジャンクマザーに新しいコンデンサを買ってやる程お人好しではない。所有している余剰品だけで満足する結果を得なくてはいけないのだ。

 折角付けたRE2×4が早々にしてゴミとなってしまったが、本来なら移転時にゴミとして捨てられていた物だから恨みはすまい。まだ電解液が入っているか、あとで調査のため解体してみよう。RE2 2200μF10V(12.5φ×20mm)の交換要員なので、

RE2 2200μF10V(NA/1430mA)12.5φ×20mm
   ↓
KZH5600μF6.3V(13mΩ/3450mA)12.5φ×30mm
ZL3300μF10V(18mΩ/2770mA)12.5φ×25mm
PF2700μF16V(51mΩ/1310mA)12.5φ×35mm

 が浮上する。元が10φなのだから12φにこだわる必要は無いが、余っているのがこれしかないと言うお家の事情による。これらと(必要があれば)補助コンデンサを使い、発振しない低リプルの組み合わせを探ってみる。波形観測の都合でソケット向こうの8φ2本は付けないで12.5φ×3本で実験する。さて一般用×4本よりどこまで改善するか?


★まずはPF2700μF16Vから
pf_x3
 ニチコンPFは程々の低インピーダンス品だ。おまけに超長期在庫で更に能力が低下している可能性がある(注)。HSDLでは皆様ご存知の通り、SAHARA3810に載せて動かしていた時期がある。あの時は余裕でP!!!866が動作していたのだが。


pf_wf1
 PFは低インピーダンス品の中では格下の方だが、それでも一般用とは一線を画す波形になっている。定常リプル(波の高さ)は勿論、線が比較にならないくらい細くなっているのに注目して欲しい。これは高周波特性が改善されている事を表している。波形は綺麗な鋸型。このコンデンサは太い(12.5φ)だけでなく背が高い(35.5mm)のが気に入らないが、この波形なら使う気になってくる。

注:あとで聞いたら電圧処理により新品と変わらない性能に戻ったらしい。既に10年経っているが(PF自体は2002年ディスコン)大型は持ちが良いようだ。改良型とは言え四級塩物だし、5~6φの物ならゴミだっただろう。ちなみに四級塩物はマイナス端子リードの付け根をチェックすると病死が判る。具体的に言えば死ぬのは封止ゴムなので、付け根から中身が出てきていたら病死している。90年代中盤~後半以降の製品は殆ど封止ゴム対策済みで、簡単には死なないから見つけても大騒ぎしないように。但しずっと使っているなら病死しなくても老衰死という事になる。

★次にZL3300μF10V
zl_x3
 ZL3300μF10Vもおなじみ不良債権の一つ。SAHARA3810で現役だが、ここでも再び活躍してもらう。やはり太いが高さ25mmなので、30mmのKZHや35.5mmのPFよりはいくらかマシ。


zl_wf1
 写真ではよく分らないが波形が逆台形に変わっている。ESRは約1/3に激減するもリプルは微妙に下がっただけ。定常リプルという点ではこれ以上の改善は見込めないのかもしれない。但し過渡特性は改善されている可能性はある。


★真打?KZH5600μF6.3V
kzh_x3
 コイツがまともに使われたのはGA-7ZXRだけだ。太いわ背が高いわで、おまけにATX電源にはESRが低すぎて使えない。今回はVRMなのでESR13mΩの威力が出るか?


kzh_wf1
 リプル的には殆ど改善されない。波形はさらに逆台形に変形し、底面が平坦に近づいている。容量が大き過ぎるのでドン臭いというか、隙間に小容量を詰めた方がいいかもしれない。3本でテストしたが、ESRと容量から言えば2本でも充分に足りる。1本は流石に厳しいがやってみる価値はある。


★結論
 以上の結果から考えるに、低インピーダンス品の1500μF×7若しくは1800μF×5で充分という事だろう。また低インピーダンス物の下級品>>一般用85℃品くらいの性能差が判明した。低インピーダンス品と一般用アルミ電解の差は想像以上のようだ。HSDLでは古い方から消費という事でPFを付けてみる。次回はインダクタ実験の予定。