http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20021130/image/vvv1.html
 VIAのVT6202を搭載した格安USB2.0カードである。発売当時に既に980円だから相当安い。

 安いなりに手抜きされており、CT6(バスパワー5V用DC)が1つ省略されている。無くても問題なく動くだろうが、設計で存在したものが付いていないというのは気に入らない。勿論USBリファレンス回路ではポート毎に必要とされている。製造後9年という事で、ついでに他のアルミ電解も寿命と見て交換する。


★解析
 まずはハードウェアの解析から始める。気になる電源部から順に見て行こう。


u12_apl1117
 これがアナログ電源のAPL1117である。3.3V,1Aまで流せる。リファレンス通りとは言えPCIバス・スロットの3.3Vを直流しにしなかったのは誉めてやろう。


d1_1n4001
 何だこりゃ!ひでえ。上の1117で作った3.3Vを、1N4001のVF(注)で降下させ2.5Vにしてるんだね。定電圧ですらない電源だが、これでレギュレータICが一つ省略できるってわけだ。全くため息が出るようなセコイ設計だ。同じバカやるなら3.3V直流し+2.5VレギュレータICはどうかな?それでD1とCT11が要らなくなる(^^ 3.3Vはアナログ電源だからヤバいかもしれないが、DCをキチンとやれば大丈夫だろう。多分ユーザーはパッと見でインチキに気づかないから恨まれない(ドヤッ)。

注:1N4001のVFは電流に依るが0.7〜1.0Vで、100mA流すと0.8Vだから2.5Vになる。恐らくチップ的に100mA以上は流れないのだろう。なかなかの名人芸だね(^^ このカードの唯一の工夫箇所だ。


 この事からCT15が3.3Vの出力コン、CT11が2.5Vの出力コン(と呼んでいいのか?)という事が判る。CT14は5VのDCだね。ボード上のコンデンサの耐圧は全て6.3V以上ならOKのようだ。


dataline
 データラインとグラウンドが近い。USB2.0のカードは、どれももっとグラウンドから離してあるような気がする。この写真では判らないが、デジタル・アナログのグラウンド分離も非常に良くない。これではノイズが回って来てしまうだろう。3.3Vのラインも滅茶苦茶だし、外部ポートの配線が上ポートの配線にワイヤードORされてるんだが…(^^; いいのか?これで。


twbor
 アルミ電解は全てTWBORという会社のもの。おなじみコンデンサメーカー一覧サイトによれば結構古い会社らしい。一応105℃品の一般用である。1970年代から現在まで生きているという事は、中華製の中ではまともな物かもしれない。これから交換するけど(^^


f3
 バスパワー5VはPCIスロットからの直流し。F3がヒューズ(ポリスイッチ)だが上手く飛んでくれるといいが。飛ばないとPCIバススロットが溶けたり燃えたりする。そうなるとマザーが再起不能の危機である。

 同じVIA製チップを使ったKEC L1582V(FireWire)より手抜きが酷い。PCI拡張カードは思った以上に手抜きが多い。自分の持っているカードを見ると、あまりのテキトーな回路にアセる事がよくある。


★交換する
 リファレンスではバスパワー5V_DC以外は10μFのタンタルだったが、これはラジアルリードなのでアルミ非固体電解で我慢する。耐圧には特に意味は無い。


buspower_dc
 CT5を抜いて、CT6と共にKZH150μF25Vを差す。これでバスパワーは万全か?インテルのリファレンス回路では68μFのタンタルがポート毎に付いていた。CT5を何故220μFにしたか?タンタル2倍則を適用した後、×2に増量したのだろう。何てテキトーな奴 m9(^^)

 CT11,14,15も交換。後々交換は面倒なので固体にしたかったが、非固体電解を使い切りたいという事で止む無くニチコンMF22μF16Vに交換。VT6202のリファレンスボードではタンタル(SCN10μF16V)が使われていた。もしSMDならHSDLには一杯有るから、喜んでタンタルを使うんだけど。


TWBOR10μF25V×3→MF22μF16V×3
TWBOR220μF16V×1(1)→KZH150μF25V×2

NCC KZH150μF25V [0.11Ω/500mA]
Nichicon MF22μF16V[2.6 Ω/ 80mA]
TWBOR SMR220μF16V [ NA Ω/124mA]
TWBOR SSM10μF25V [ NA Ω/ 22mA]


a6202_mod
 完成した。これでこの回路で出せる性能は全て出せるようになった。VT6202はネット上では「遅いけど低負荷」という評判だったが、使ったことが無いので分らない。この後慣らしが終わったらぶん回してみる。忘れてたけど、改造前のバスパワー5Vの波形を測っておくんだったな。


★使ってみる
device_vt6202
 P6ISA-IIのPCI2に付けてみた。XP3の内蔵ドライバで素直に認識。なおICH2のUSBは遅くて使えないので、BIOSで切ってドライバも入れない。ではこれからベンチマークを取ってみる。筆者はVT6202は使ったことが無いのでuPD720101(RATOC PCIU3)とも比較する。


cdm
 特に可も無し不可も無し。概ね予想通りの速度である。上が改造前で中が改造後で、変化なしという事は異常無しという事でもある。ちなみにこのUSBメモリはICH5なら20MB/sは楽に超える。

 最下段はuPD720101で、リード18MB/s弱、ライト5.5MB/s弱なのでだいぶ差がついてしまった。もっとも1世代違うので当たり前。世代的にはuPD720100と比較しなくてはいけない。


hdb
 感覚的にこれでも試す。総合的にはDMA33のHDD並みか。ライトが遅いのはフラッシュメモリだから仕方が無い。消去の手間があるからね。

hdt
 意味は無いだろうがHDTでも試す。殆ど一直線だ。CPU Usageが38%というのがかなり厳しいが、Celeron566なのでこんなモノだろう。USB2.0は少なくとも1GHz程度のプロセッサで使うべきものだ。


 どのベンチも厳密に言うと改造版が速くなっているが、勿論体感できるような差ではない。改造の効果と言うよりは微妙な「影響」が見られるといったところ。プラットホームが良くなればまだまだ上が望める。結果を見るまでもなく、どう転んでも旧世代チップは新世代チップに敵わない。あとはソフト(ドライバ)で工夫してどこまで差が縮まるかというレベル。


★終わりに
 USB3.0が酣の今頃に何でこれを弄っているかというと、USB2.0を使えるマシンが不足してきたため。所謂猫の手も借りたい状況。このカードは誰かに借りた物件だと思うのだが、勝手に改造してしまっていいのだろうか?(^^; 性能と寿命が上がったからいいか。


★おまけ
http://zionote.com/sotm/tx-usb.html
 A-6202のような980円のカードがあるかと思えば、こんなクレイジー価格のUSBカードもある。強烈に「高級」をアピールするも、アルミ電解が丼なのが笑える…いや泣ける。この事から製造は韓国企業と思われる。