FREEWAY FW-K7VM(起動編)


★なにこれ…?!
 いつものようにVRMを観察する。何じゃこれは?豪快にリファレンスVRM設計を無視しているぞ。Athlon初代のVRMは4相+メイン出力コンデンサがMLCCという斬新なもので、コストがかかることからオリジナル設計となったのだろう。腕に覚えのあるメーカーならそういう路線も悪くない(注)。

注:しかしいい加減なメーカー(この場合Abit)がそれをやると無様な結果を出す。
http://www.dansdata.com/a7vl.htm
 ご覧のようにKA7-100の入力部分が派手に炎上している。

vrm
 これを見て「ほう〜、VRMは3相電源か。おっ、電解コンの一部ににOS-CONが使われているな。他のも全部日本メーカーのルビコン製だし、これは良いマザーじゃないのか?」等と思った貴方は甘い!m9(^^) じゃあここでヒント1〜(Byクマ五郎)


hip6004bcb
 なん…だと…!?ソケ7やスロ1でおなじみのHIP6004BCBさんではありませんか。これでもう解っただろうがこのVRMは単相だ。リファレンス4相を単相で実現しました。スゴイでしょう?エッヘン。

 …なわけねえだろ。この電流量で単相電源は非常にヤバいですよ。一応パワーMOSFETは上側×2、下側×3となっており、ステアリング・ダイオードも2パラになっている。初出記事では上側×1になっていたが筆者の間違い。Infineon SPP80N03Lは下側としては非常に高性能(Rds_on=3.3mΩ)で問題は無い。むしろ飛ばすと替えが無くてヤバいレベル。しかし上側としては遅くて効率が悪そうだ。上側がパラだとCiss=9280〜11800PFになるんだが、HIP6004のドライバはこの容量をスイッチングできるのか?いや現実に動いてるんだからできるんだろうけど、動けばOKと言うのは素人の電子工作レベルのような気がするぞ。MAX Consumption≦35A程度と思われる。

 インダクタの3パラはどういう意味なんだろう。「直流抵抗を下げるため説」「3相に見せかけるため説」「コア飽和防止説」があるが、この設計者なら「見せかけ説」を取りたい(^^; 結論としてこのマザーは初代のK7設計なので、サンダーバード1GHzを載せるのは止めといた方が良い。


k7vm_rev
 基板設計者はいつも通りの仕事をしていると思う。このクソっぷりは生産側の責任では無くて回路設計者の責任と言えよう。まあ世間の常識ではAMDは廉価版なので、VRMにコストをかける訳にはいかなかったのかもしれないが。


ad1881
 AC97コーデックはASUSとは大の仲良しAnalog DevicesのAD1881である。このメーカーはドライバのサポートが悪いので気に食わない。回路的には特に面白くも無い設計。K7を載せたらサウンドのノイズがどうなるのか気にはなるが…。AC97関連の記事は人気が無いのでやらない(^^


msdata
 謎のジャンパだが、多分http://support.microsoft.com/kb/135214/jaの解決用だと思う。面倒なので動かして調べてはいない。


★終わりに
 初代Athlonは「男のロマン(笑)」を感じさせる。今回動かしてみて、「K7(75)を使わずしてジャンカーを名乗るのは痴がましい!」とすら思った(ウソ)。がしかーし、このマザー自体はアラアラ一杯なのであまりお勧めできない(改造してもムダ)。現在ではマザーの選択の余地は無いんですけどね。HSDLにもスロAは2枚しかない。多分これからも増える事はないだろう。

 Socket423と並んで今ではレアなマザーとなってしまったスロAマザーだが、ジャンク屋で見つけたら覚悟を決めて買ってみるのも良かろう。当時インテルしか使った事の無い人には特にお勧め。何しろデザインがぜんぜん違うので驚くと思う。実際に動かす為にはマザーと同様に困難なCPU入手(注)という障害があるが…。あるいはCPUが見つかるとマザーが全く見つからないとか(^^; 現実はなかなかうまく行かないのだ。

注:CPU不足問題はソケA→スロA下駄を出してくれれば解決したんだがな。スロAは新製品の時から実用品とは呼べないα版だったのだから、遊びでAMD自身がCPU下駄をリリースして欲しかった。