ゴールデンウィークでちょー暇なので(ウソ、現在仕事中)、超今更OS-CONの宣材ツールを使ってCPUのVRMを設計してみた。休み中に予定の実験が出来なかったことによる埋め草なので、くれぐれもマジメに読まないようにお願いします(^^;


sanyo
 これが電源回路のOS-CONを選定するための簡易ツールである。筆者はこの手の設計ツールが大好きで、タダで手に入るものは見つけ次第試す事にしている。


★For Example
 このツールはそれなりに古いので、それに合わせて?Celeron566専用VRM(^^; を設計する。これを読む人は初心者ではない筈なので一から説明する事はしない。

・CPU=SL46T(B-step)
・Vcore=1.50V
・Ipeak/Isgnt=11.9/6.9A(注1)
・VcoreStatic=80mVp_p(注2)
・VcoreTransient=130mV(注3)

・MB=FIC SAHARA3810
・スイッチングf=実測309kHz
・VRM入力=5V程度(テキトーで良い)
・L_out:T50-52,#17,13T[5.58μH/4.43mΩ](注4)

注1:計算時はIpeakを75%の9.0Aで行なう。ソフトウェアではこの程度しか流れない。

注2:本当は−80mV〜+40mVだが、面倒なので上限と下限を共通にした。オフセットを付ければ120mVp_pとなる。

注3:本当は−130mV〜+80mVだが、下を満たせば上も満たされるので気にしないでいい。

注4:インダクタンスは0A時。実際は0→9.0→11.9Aで5.58→3.46→2.91μHと大きく変化する。簡易なシミュレーションではカバーできない部分。また温度によりDCRも変化する。

sanyo1
 電流変化はIpeak(9.0Aの方)−Isgntを入力する。こんな変化は有り得ないけど気にするな。これを満たせば理論上全ての変化に対応できるはずだから。静的リプル80mVと言うのは甘え過ぎなような気もするが、どーでもいいSL46Tという事で気にしない(^^; 許容電圧降下が130mVだから静的リプルと大して違わない。ホントにユルイ石だなあ。

sanyo2
 もれなく入力して計算するとこのような結果が出た。製品として出荷するには、この値に保証期間に合わせたコンデンサの劣化マージンを加える必要がある。出力リプルも提示されているがコンデンサ選択時に考慮する必要はない。ESRを満たせばどんなコンデンサでも100%クリアしているハズだ。さてこの値でシミュレーションしてみよう。


★ダメじゃん(^^;
result1
 ご覧のように容量が足りないのか触れまくり。シミュレーションに拠れば最低3.5〜4倍は容量が必要だった。よく考えてみたらインダクタの抵抗分や電流重畳変化も全く考慮されていないし、これってテキトーじゃないか?マニュアルを読んだら下のように書いてあった。
「Buck回路選択時のオプション設定について」
〜前略〜 ただし本計算は高速応答(スイッチングの1パルスで応答。カレント電源やCPU 電源等)できるものとして計算しています。高速応答できない電源では仕様を満足できない可能性がありますので注意してください。
 「スイッチングの1パルスで応答」と言う設定か。しかし4μsで反応するPC用VRMは当時存在せず、通常復帰まで50μs程度掛かる。その為シミュレーションの負荷時間を50μsに設定したのだ。要するにインダクタ以前はブラックボックスと言うか理想回路なのね。入力はさておき、出力は静的リプル以外は全くアテにならないな。以下、手持ちのコンデンサで構成を考えてみた。

C_in:Panasonic FC1000μF16V[45mΩ/1440mA]×2
C_out:NCC KZH390μF25V[48mΩ/1210mA]×3

 うひょー、なんて小さいコンデンサなんだ!と驚く構成。しかしどうせなら見栄え的にもっと減らしてみたいな。

C_in:Panasonic FC1000μF16V[45mΩ/1440mA]×2
C_out:NCC KZH680μF25V[32mΩ/1650mA]×1
C_out:NCC KZH390μF25V[48mΩ/1210mA]×1

result2
 これで出力は2本となった。容量は5倍近くとなり、シミュレーション結果も問題無くなっている。設計数値より少々良いモノを使ったので性能が向上してしまった。これだと劣化分のマージンも充分だ。普通に使えば10年以上は持つんじゃないか?

result3
 参考までに入力部分。この程度ならFC1000μF16V×2で余裕。温度上昇に注意すれば1本でも何とか耐えられるだろう。入力コンデンサはリプルが厳しいので耐リプル性能が重要となる。容量はスイッチング期間だけ耐えられればいいので、スイッチングが速ければ速いほど少なくて済む。最近のマザーボードの入力容量がP6時代と比べて激減しているのはそのためだ。

 なお入力コンデンサの大容量化は無意味であるばかりでなく、充電時間のペナルティーでサージが増大する場合が多い。なので最低限このソフトで計算される容量が確保できれば良い。この回路の場合はたったの123μFでいいので、耐リプルさえ確保できれば一本当たりの容量は少なくする。少容量で大リプルのポリマー系コンデンサの出番だ。


★終わり
 このソフトのバグ?一部数値を弄って結果表示を押しても計算結果に反映されない場合がある。その場合は同時に複数個所を変えないと数値に反映しないっぽい。変える必要の無い所を無意味に変えるのは面倒なので何とかしてくれ。あと言語も終了すると保存されないぞ?仕方が無いので直接INIファイルを書き換えた。

 三洋のツールを使うと言いつつ、結局は自前でやってしまった。まあ脳内で計算して遊ぶには面白いかもしれないけどね。負荷変動が無いか、もしくは少ない電源ならこれでいいのだろう。多相にも対応してないのでPC用はちょっと無理か。まあCPUのVRM設計なんて特殊技能だから仕方が無い。無い物ねだりは止めましょう。