この「哀愁のマザー」シリーズは、第7世代(P4、AthlonXP)辺りのトホホなマザーボードを主に解析している。このマザーはそれらよりずっと世代が新しいが、この時期としてはあまりにトホホ物件なので特別に取り上げる。MSIの型番ではMS-7235[Rev1.1]である。


p965neo
 もう2年も前の今日の買い物[2010/07/25]にてジャンクで手に入れた。値段(100円)的には当然かも知れないが、ピンが曲がっておりコンデンサも破裂寸前。もちろん壊れているのは覚悟の上で買ったのだ。使用されているOSTのRLAが見たかったのね。
http://ascii24.ascii.jp/2006/07/07/imageview/images813490.jpg.html


ost_rla1
 OSTのRLA680μF4Vが見事に全て膨らんでいる。これは設計ではアルミ固体が指定されている所に非固体を使ったからで、コンデンサメーカーだけが悪い訳ではない。もしかしたらメーカー営業が「スペックはこれでイケるよ、外見も固体風だし…ニヤニヤ (^^」とサゼスチョンしたのかもしれないが、生産側がろくに資材検査しないのが全て悪い。部品評価の奴は問答無用でクビ。メーカーサンプルは何の為にあると思っているんだ。外部から見た感じでは、微星は設計より生産部の力が強いように思える。ま、昨今では珍しくもなくごく普通だが。この面から見れば、今日の企画・生産・販売分離への流れは正しいのかもしれない(責任追及という意味でも)。

http://www.msi-computer.co.jp/product/mb/CatalogJPG/large/P965Neo-F.jpg
 カタログ写真から既にOSTのRLAが使われている。このモデルは全てそうなのだろう。エントリーモデルだからって手抜き過ぎ。価格的に厳しかったのだろうか?売値を考えるとそうでもないと思うが。ハッキリとは分らないが「価格以外の何らかの理由」でこの部品が選択されていると思われる。

 RLA680μF4Vは28mΩ/750mAなので、8本並べでは7世代が限度か。低背なのでこれ使うとソケット回りがスッキリするからHSDLでは欲しい物件だ。でも明らかに無理したスペックだから、規定通りに使っても寿命はかなり短いだろう。カタログの2000時間は無理じゃないか?もし仮に持たなかったとしてもメーカーの逃げ道はいくらでもある。(事実だが)使い方が悪いとか生産過程で劣化したとか。医師の医療ミスと同じく裁判で追求するのは至難の業だ。

RLA680μF4V[28mΩ/750mA]
SEPC560μF4V[7mΩ/6100mA]
*同じサイズでもこれだけ違いがある。

 この電源は4相なので静的リプルは元々少ない。高ESRによる内部発熱(影響最大)に加え外部熱(影響微小)が破壊原因と思われる。出力コンは大電流の充放電が短期間に多数行なわれる(=動的リプルの発生)ので、多相電源からのリプルが極小でも発熱で死亡するのはごく普通である。その為にCPU_DCがあるわけだが、それすらこのマザーは手抜きされているから始末に負えない。ちなみにこれに似た構成のMS-7215のVRM回路図にはOS-CONが指定されていた。やっぱり生産に手抜きされたんだろう。


★補修
s775_1
 駄マザー確定なのでこれ以上解析する気は無くなってきた。という事で急遽補修作業に入る。ソケット内のピンが例によって多数曲がっている。何とかならんのか?このクソケットは。恐らくCPUの製造側にとってはコストダウンになるのだろうが(^^ そのツケをソケット製造メーカーに転嫁しているわけだ。当然ソケットが高価になるのでマザーボード生産者はイヤだろうな…というか我々も困る。何しろマザーボードの寿命が確実に縮む。インテルの野郎、ロクな事考えねえな。今に始まったことじゃないが。


s775_2
 しかし残念ながら折れて修復できないピンが2本ある。その内1本はVccだが、もう1本はHighレベルなので信号線か?GndやVcc等は2本無くても何とかなるが、信号線は1本でも消えると全く動作しなくなる場合が多い。これは厄介だな。

 しかしこの段階で仮組テストした結果を言うと、この状態のままでBIOS起動してしまった。NCピンなのかもしれないが、何にせよラッキーだな。これだけ膨らんだ出力コンもカツ入れしたら使えるのが驚きだね。動かないと思っても諦めてはいけないという事か。


ost_rla2
 しかしこれはマズイ。最悪、貴重な775CPUが死んだら笑えない。仕様から言っても固体にすべきだろうが、ジャンク100円マザーなので躊躇した。普通の低ESR品アルミ電解に交換する。だが許される幅が8φで、しかも背が高いとCPUクーラーにぶち当たるのは火を見るより明らか。恐らく高さ11个任睫詰だろう。限界で8〜9伉度か。それじゃ固体しかないじゃん。


ax680uf6v
 これ(SUNのAX)付けちゃおうぜ?何かECSみたいだけど、常用ではなく動かすのが目的だから良いだろう。もと空いていた所にも付けるので全部で11本。だんだんバカ記事っぽくなってきたな。カテゴリにはバカ記事も加えておくか(^^ 上司に「これだけで大丈夫なのか?」って聞かれたら「これだとかなりヤバイっす!」って答えると思う。ここ以外に更に補強の必要はあるね。まずソケット内から高周波が漏れてこないようにしよう。ちなみに偶然の思いつきを装っているが、もうお気づきの通り実際はこのネタのために買ったAXである。当初はP4M900T-Mでやる筈のネタだった。


mlcc
 MLCCで補強しようと思ったが、この基板のランドは規定の長さが無く、ほとんど底面電極と化している。ただでさえハンダが溶けにくいのにこれは無理。事実、無理やり付けようとしたら失敗した。しかもやり直す時にコテが当たって、無残にもランドが一か所剥がれてしまった。一気にヤル気が無くなったのでMLCCはスルー。強力なスポットのホットブローがあればいいな。コテライザーではどう頑張っても無理だった。ケチらず設備投資しましょう。


spcap
 MSIの大好きなHiC_CAP(POSCAPの事)の代わりに、パナのアルミ固体CX220μF2.0Vを付ける。これもノートマザーからの外し品でタダだからな。ちなみにこのCX、極度に耐圧が低いために使い道が無いから悩んでいたのだ。やっと売れ残りの嫁ぎ先が見つかった。

 …と思ったら220μFは2つしかなかった。真ん中には同サイズのCD33μF8.0Vを付けてやる。何か見た目バラバラに曲がっているが、よく見たら基板のランドも真っ直ぐではなかった。でも気になるなあ。


 これで「いきなりぶっ飛びor全く動きません」は無いだろう。計算上ではこの構成とノーマルは同等なんだよな。もし経時劣化でぶっ飛んだら一つ々AXをアルミ固体に換えていこう。ちなみにこれにもあのOC-CONは付かなかった。12.5mmだから背が高すぎてクーラーに当たる。ビデオカードでは既に実用化(他人ので^^)されたけど、なかなかPCマザーでは使わせてもらえない。P6・K7なら候補は一杯有るんだけど無駄だし…。


★部品
 マザーボード代(100円)より安く上げようと思ったが、今回は新品部品が殆どなのでとても無理だった。

SEI AX680μF6.3V[170mΩ/450mA]×11
SEI WG1800μF6.3V[16mΩ/1950mA]×1
SEI WG3300μF6.3V[12mΩ/2800mA]×1
SP-CAP CD33μF8.0V[18mΩ/2500mA]×1
SP-CAP CX220μF2.0V[15mΩ/2700mA]×2
MLCC22μF×2

合計169円(銭単位切り上げ、副資材別)


remove
 日本メーカー製のFLやKZGは抜かなくても良かったのだが、SEIに統一するためにあえて抜いた。RLAのまだ使えそうな抜けていない奴はどこかに流用したいな。勿論VRMに付けて爆発させるのだ(^^


★部分的にちょっと見る
vrm
 こうして見るとカッコだけは固体風で良いね。多分MSIの中の人もこういう理由でRLAを選んだのだろう(^^; 何も知らない素人なら充分騙せる仕上がりだ。この後エージングしてからぶん回して勝負してみる。


hda
 このマザーは見るべきものが無いのだが、一つだけ気に入った部分がある。それがこのサウンドコーデック部分。アナログ5V生成回路を見たら78L05ではなくL1087(NIKO)が使われていた。ここにアジャスタブルのLDOを使ったのはMSIでしか見た事が無いな。まあそれ自体は特に意味は無いけど。気に入ったのは入力コンで、大きめの6.3φ用の準備がある。

 通常マザーではこれはごく少容量のMLCCだけで、このマザーのように出力より大きなコンデンサが指定されている事はまず無い。まさかこの手抜きマザーでそれが見られるとは思わなかった。誰も評価していないだろうからHSDLが評価してあげよう。折角だから実装しろよm9(^^ オチはやっぱりMSIか…。

 D12はSB5V直流しダイオードか?何故5VではなくSB5Vなんだろう。それ以前にSBDだとしても0.5Vくらい降下するんだが、それでコーデックを動かすつもりなのだろうか。もっともALC883自体は3.5〜5.25Vを許容しているのだが、アナログ電源なのでノイズの方が心配だ。

2014/03/15追記:これはHDAのリファレンス回路通りでMSIのオリジナル回路ではない。部品はかなり違っているが。

★動かしてみる
biospost
 ウッシャー!何もしてない暇多君が叫ぶ。仕様的にはヤバい構成だと思ったが特に不安な感じは無い。BIOSがV1.0B2というド古いβ版?なのが泣ける。このマザーはBIOSバージョンがかなり多く、止むを得ないマイクロコード更新以外のバグ取りが多い。何か不安になるんだよなあ。

 それはさておきx965は意外に使える。何しろセレD含む全てのプレス子からC2Qの一部まで載せられるんだから。これ以降の4xマザーはFSB533のチェックが出来ない。ジャンク道楽にはx965系の方がはるかに融通が利く。少なくとも世代限定のSocket1156みたいに役に立たない奴よりは断然上。なおRev2.1は更に加えて狼も正式に動くらしい。同じモデルなのに差を付けられてるな〜。孰れにせよPentiumXE 955/965が対応外なのはOSTのせいだろうか。もし運良く手に入れられたら無理やり載せてみたいね。マザーは耐えられるんじゃないかと思うのだが…(動物電源は無理かも^^)。


memtest86
 いつものようにMEMTEST86+を回してみる。PC4200だと1907MB/sで、915のDDRと大差無いくらいの速度しか出ていない。915どころか865のDDRにも負けそうだ。もっともMSIはデフォルトのメモリ設定が緩々なのでこんなモノだろう。BIOSも極度に古いから熟成不足の可能性もある。このまま2周させてみたが問題無し。CPU温度が60℃なのは気になるが、ウルフデールの薄いリテールクーラーだから仕方がない。出力のAXは温いくらいで、HSDLの使用頻度では破損する事は無いような気がする。勿論実用する気満々です(^^

 Windowsはいずれ機会があったら入れてみる。VmemやVttの空きコンデンサを全て地道に見直した後だろう。でも一旦動いてしまうと急速に興味が失われてくるのは何故か。これがG965だったらP4M900T-Mの後任として即入れ替えるんだが。内蔵VGA付きは実験台には非常に役に立つ。現在のメモリテストには懐かしのRageIICのPCI版を使用している。究極の省電力なので気に入っている。


★終わりに
 マニュアルは日本語の正式なものが存在するし、この辺りは日本法人を持つ有名メーカーの強みだろう。メーカーサポートは文句は無いし、回路図を見た限りでは設計も特に問題は無いんだよな。あとは生産がもっと頑張ってくれないかなーと言うのが偽らざる心境だ。ごく最近は知らないけど、この時期の安いのは実用にはお勧めできない。このメーカーのを買うとすれば自作用の高級機(ウザいほどデカい箱に入っている^^)を買おう。但し廉価版も改造ベースにはいいかもしれない。この辺りになるとそれなりの部品と知識が要るけど。生半可な知識では反って劣化させてしまう世代なのだ。

 という事で965板一丁上がり!そういえば既に3枚持ってるんだっけ(注)。まともに稼働するのがこれだけというのが泣けるが。でもこれが動いたって事は故障中のP5B-E Plusも動くかもしれないな。アレが直るとかなりの戦力になりそうだから、そのうち精密検査に回してみよう。

注:書き始めた時はP55、P45、P35マザーは持っていなかった(G41だけ)。本当にアッと言う間に環境が変わるので、書きかけの記事のアップデートが大変だ(^^;