前回遂に起動するようになったこの100円の8600GTSだが、動くと分ればいろいろリファインしたい所はある。

F86GTS-WDC256X修理(その1)
F86GTS-WDC256X修理(その2)
AOpen F86GTS-WDC256X


★下側コネクタから画像が出ない件
 ここら辺りで実装したのはBAV99と0Ωだけだからダイオードの不良なのだろうか。いずれ交換してみるが、これって(画像自体にとっては)無くても良さそうな物なんだけど。謎だ。


★温度が上がり過ぎで遅い件
 まず間違いなくGPUの冷却不良だ。GPUクーラーには問題は無いから、前回推理通りゴムが厚過ぎるのだろう。クーラーを外してみたら1/3が接触していなかった。これではGPUが壊れても文句は言えないくらいだ。ゴムを除去して、代わりにシルバーグリスと言う名の銀色のグリスを塗ってみた。でも仕様では8.2W/m-kらしいので、それから行けばかなりの高性能グリスだ。ま、話半分に聞いておこう(^^ GPUコアはともかく、メモリチップは樹脂モールドなのであまり冷却効果は無い。何回か試しているうちに、何かカード全体が銀粉をまぶしたように汚れてしまった。


bench2
 グリスに変更してもスコアは落ちるがだいぶマシになった。気づいたのだがこの基板デザインは良くない。明らかに上部のメモリとレギュレータ脇の二つのメモリで冷却に差が出てしまう。動作中に触ってみるとレギュレータ脇のはまともに動作しているのか不安になるくらい熱い。これはリファレンスデザインと思われるのでヌビのデザインが良くないんだろうな。しかしグリスに変更後は一発目のスコアが4万台から5万台になったので効果はあるようだ。


★U504
fan1117_25
 前回おまけで書いた通り、U504の出力にMLCCが使われている。これをFAN1117A-2.5に交換してみようという試み。使い込んでいないので変化が出るかどうかはわからない。もう一つのノーマル8600GTS(XFX)と比較するしかないな。


★電解コンデンサ交換
 基板表の電解コンデンサ群だが、ポリマー電解に交じって4つほど一般用非固体SMDアルミ電解が使われている。これは全てFujiconのCKと思われる。一応105℃品だがSMDタイプは経験上劣化し易いのが分っている(注)ので交換する。

C54(C50):CK100μF16V→UTWRZ100μF10V
C64(C63):CK100μF16V→UTWRZ100μF10V
C69(C70):CK 47μF16V→UTWRZ 47μF25V
C72(C71):CK 47μF16V→UTWRZ 47μF25V

Fujicon CK100μF16V[NA/60mA]
Fujicon CK 47μF16V[NA/48mA]
TK UTWRZ 47μF25V[750mΩ/180mA]
TK UTWRZ100μF10V[750mΩ/180mA]


utwrz
 ビデオカードなので全固体にしようと思ったが、東信UTWRZ(低ESR品)を使い切って欲しいという要望があったので非固体アルミ電解となった。孰れ劣化したら交換するかもしれないが、そこまで長期に亘ってこのカードを使い込む事は無いだろう。どうせ次が出てくるだろうし、ビデオカードなんて四半期人生ですよ。

注:主な熱源である基板表面に貼り付いているからだろう。体積が小さく電解液が少ないと尚持ちが悪い。カタログ仕様でも1000時間程度の短寿命になっているようだ。

★やっと完成
 8600GTSはゆめりあベンチ比較だと6800Ultraよりはやや速い。アッパーミドルと言えども二世代前のハイエンドには勝てるか。しかし前世代ハイエンドの7950・7900GTには負ける。価格を考えると中途半端な性能だなあ。ゲームで明確な差を感じる事は恐らく無いだろうし、当時買うなら8600GTの方が賢い選択だったと言える。価格が同程度のジャンク品ならありだが、消費電力が速さの割に桁増えるので驚いた。


★おまけ
bench3
 改造後にベンチを走らせたら、微妙とは言えすべてのベンチで速くなっているじゃないか。これって改造の効果にして良いですか?(^^;