写真の日付を見ると、A8Vの記事は2011年8月辺りには既に書き始めてるんだね。次々他の物件が入るからスッカリ忘れ去られていた。もう1年になるのか。

A8V-E DELUXEもでφ(その0)


a8ve_deluxe
 前回初めてWinchesterが起動したA8Vだが、MEMTESTすら走らないようでは動いたとは言い難い。今回は一番怪しいKT890周りに手を入れる。


★Vcc1.8V
 この電源がどんな役割なのか?多分K8T890のVcoreやCPUのメモリコントローラに供給されているのだろう。それはさておき、これはちょっとよろしくない。


vcc1r8
 このようにフラックスが茶色く滲み出ている。実はこれは熱でフラックスが煮立ったから。MOSFETのタブも熱変色しており尋常な状態ではない。以前からASUSマザーは周辺電源を軽視する傾向が見られた。だいぶ前の話になるが、P4P系のAGP1.5V周辺基板が熱で変色していたのを覚えている人もある筈だ。炎上したりはしないが、かと言って動けば何でも良いってものでもないだろう。P4Pの時は熱によるAGP1.5VのDCコンデンサ破損もあったわけだし…。

 これはP4系と同じくパワーMOSFETがショボイのが影響していると思われる。使用されているMOSFETはAdvanced PowerのAP9915Hであるが、これはON抵抗が50〜80mΩと、おなじみ3055より稍マシと言う程度。この電源にはかなり荷が重いと思われる。

 交換要員は252サイズという事で手持ちのIPD14N03L(8.1〜14.7mΩ)を選択する。もっと低抵抗のモノもあったが、VRM並みの奴を付けてもムダなのでこの辺りで妥協する。なお263の石も使えるが、例によってこのパターンはハンダゴテでは付けられない仕様である。手持ちの関係もあるが素直に252を使った方が良かろう。

 この石をまず始めに換えておかないとコンデンサを交換する時に困るので、コンデンサ交換前にMOSFETを交換するのが良い。とりあえずCE4、PCE19、30は邪魔なので石を交換する前に抜いてしまう。


mosfet_remove
 でMOSFETを外したら、何とレジストがポロポロと剥れやがった。252と263の境界も剥れてしまった!何て事だ…カッコ悪い。この黒いレジストに限らずカラーの奴は強度が弱い気がする。基板は2005年8週育富電子製である。UFOタンしっかりして!(^^ 不本意ながら剥れを誤魔化す為に263を使おう。

 252と違って263なら候補は沢山ある。もうこれから先使うアテの無いCEB6030Lはどうだろう。今後P6・K7の修理は殆ど来ないだろうし、客の修理に使う事は無さそうだ。ガンガン使ってしまおう。

CEB6030L[11.0〜20.0mΩ](交換品)
AP9915H[50〜80mΩ](オリジナル)

 予定していたIPD14N03Lよりも稍RDSon性能が低下してしまったが、元と比べれば比較する方がバカと言うくらいの大差が付いている。


ceb6030l
 外し品なのでチョイと汚いが完璧に付いているので良いだろう。ノーマルではここが触れないほど熱くなるのだが、交換後は触り続けても何ともないくらいの温度になる。ヒートシンクを付けるのがお猿の対応だとすると、これははるかに人間的な解決策だと思う。


after20120712
 コンデンサも付けて一旦完成だ。もうこの辺りを弄る事は無いだろう。


★今回の交換
 このマザーの基板の部品番号はサッパリ判らん。部品点数が多いのは分るが、せめて裏面のパーツ番号は裏に印刷して欲しい。裏面に印刷は一切無いので製造上の合理化と言う名の手抜きなんだろう。

PQ18(Vcc1.8):AP9915H→CEB6030L
PQ79(Vcc1.8):AP9915H→CEB6030L

CE2(KT890_DC?):YXA100μF16V→KZH150μF25V
CE4(KT890_DC?):YXA100μF16V→KZH150μF25V
PC903(KT890_DC?):FJ820μF6.3V→交換しない
PCE16(Vcc1.8):FJ820μF6.3V→交換しない
PCE18(Vcc1.8):FJ820μF6.3V→WG1800μF6.3V
PCE19(Vcc1.8):EMPTY→WG1800μF6.3V

・これはメモリ系だけど今回抜いたので交換
PCE24(Vmem_out):EMPTY→WG1000μF6.3V
PCE30(Vtt_mem):FJ820μF6.3V→WG1000μF6.3V

Panasonic FJ820μF6.3V[30mΩ/1140mA]
Rubycon YXA100μF16V[NA/130mA]

NCC KZH150μF25V[110mΩ/500mA]×2
SEI WG1800μF6.3V[16mΩ/1950mA]×2
SEI WG1000μF6.3V[30mΩ/1140mA]×2

合計51円(銭単位切り上げ、副資材別)


★動作テスト
 まずはマニュアルに従って何も付けずに電源を入れる。電源は入ってポストコードは16hが表示された。つまりCPUが付いていなくても、このマザーは何かしらのコードを表示するらしい。少なくとも00のままだったら明らかにマザーボードの故障だ。

 このまま電源を入れ続けてコンデンサのエージングを行なう。パワーMOSFETのPQ18は熱を持っているが、PQ79は全く発熱していない。つまりチップセットの電源はPQ18が供給しているという事になる。この部分が故障したら参考になるだろう。言うまでもないがこれはこのマザーだけではなくKT800〜890マザーはすべてそうである。30分ばかり電源を入れ続けたら2、3時間放置するのがベスト。そう言えば以前はこの段階でアツアツだったのだが、改造後は温いくらいで発熱を感じない。この点では改造成功か?

 次にCPUとメモリを取り付ける。これでポストコードはC1hに変化した。反応があったという事は正常に動いているようだ。最後はビデオカードを取り付ける。しかしまたもや動かなくなってしまった!コードは16hを表示しているのでCPUが動作していないようだ。これはやはり接触不良なんじゃないか?


★次回に続く
 一番怪しい部分に手を入れたものの以前と変わらぬ状況でガックリした。次回は再度ソケット掃除を試し、ダメならいよいよVRM出力コンデンサを交換してみる。