思えば2000年末のSiS63x・73xの頃が老舗SiSの「最大にして最後の輝き」だった。値段の安さだけではなく+パフォーマンスで勝負が出来た時代と言う点で、史上最強時代と呼んでも良いかもしれない。これの前身K7S5Aもその流れで大ヒットしたのだ。


k7s5a+
 大ヒットした735マザーK7S5Aを745に載せ替えたのがこのK7S5A+である。じゃあK7S6Aとは何だったのか?チップセットを変えたのならモデルナンバーも変えて欲しいのだが。初代に有ったSD-RAMスロットが無いのが残念。これはSiS745の仕様だから致し方ない。サラブレッドXPに対応しているのは大きい。HSDLのAthlonXPは半数以上がモバイルや低電力なので(注)動くかな?なお写真はVRM入力改造後である。

注:ソケAのCPU43のうち、27がモバイル・低電力タイプ。XPだけに絞ると実に全体の84%がモバイル・低電力である。この偏った構成は例の「全部で500円」のせいである(^^;

★CPU周り
cpudc_f
 CPUのDC(デカップリング)は表はそれなりにやっている。特に文句を付けるところは無い。


cpudc_r
 しかし裏面は全く省略された。無くても動くがソケット周りで省略して良いモノは何もない。少なくとも筆者なら省略しないで他に削れる所を探すと思う。元設計は3216だろうが2012でもいいかな。


★VRM周り
 何と驚き。入出力のメインコンデンサはG-LuxonではなくOST(IQ)だった。今までかたくなにG-Luxon[LZ]だったのだが、流石にあれではK7のVRMは無理と判断したのだろうか。ちなみに生産にとってはこれはかなり重大な決断である。アマチュアが部品をチョロッと変えるのとは訳が違う。社内の誰かさんが何処かに配置転換されるくらいの事は充分にありうる(^^;

 しかしそれ以上に驚くのがこのVRMというかDC-DCのバカさ。史上最バカ回路と呼んで良いかもしれない。何でこんな回路を考えたのか?理解に苦しむ。もちろん例のBKi810の人の設計だろう。


vrm
 OSTの向こう側にT50-52Bが3つと、TO263が6つ整然と並んでいる。一見まともな3相VRMに見えるのだが…。


sbd
 よく見たら下側がMOSFETじゃなくてSBDじゃねえか!つまりこれ非同期整流です。こんな低能率の回路をこの時代に採用するかね?バカすぎる。しかし更に驚くことがある。


ka7500b
 何とVRMコントローラ(というかPWMコントローラ)はKA7500じゃないか!かなりふざけた奴です。実は今日の買い物[2010/12/25]のMATSONIC MS8308Eの所で「超変態マザー」と書いたのがこのDC-DCなのだ。同じ人の設計なんですね。ちなにみMS8308Eは4パラ(^^;

 さてここで疑問。KA7500Bで多相の電源など出来るのだろうか?勿論答えはNoだ。この石でスイッチングできるのはトランジスタ2石までである。そもそも位相をずらせる機能が無いのだから多相は不可能。実際これは単相並列電源なんですね。何でこんな電源を作ったのか。既存技術への挑戦なのか?(^^; ちなみにメリットは全く何も無い。コストも下がらないし回路は複雑になるし、何より性能が極度に低い。ひょっとして設計者が新しい石を使えないのだろうか。

 何処かのブログで部品入手の都合だろうと書いている人がいたが、エリートグループくらいの大企業が部品入手で困ることは無い。例えば担当者がツイッターで「部品が足りないなー」等とつぶやけば、その日のうちに全世界から営業マンがぶっ飛んでくる(^^ まあそれは冗談としても、このクラスの企業ならメーカーや商社は他の中小を裏切ってでも回してくれるのだ。集められなきゃ担当者が無能以下の子供の使い。阿漕にやれば賄賂で家が建つ部署ですよ(^^ それでなくとも世界一の部品銀座の中国に部品が無いわけがない。

 それはそうと、QP1とQN3で各2SK3296をTPドライブしている。直結だと例のMiller効果でメタメタになる。これは3ついっぺんだから更に厳しい条件となるかも。無理してバイポーラTR用のKA7500Bなんか使うとろくな事は無い。BKi810の時の改良が効果があるかもしれない。


lm431
 この設計者が多用するTO-92のLM431定電圧電源。現在ではこんな電源はアマチュアぐらいしか使わない。スペース・工程・コスト的に全て無駄だからだ。デジタル回路で使用するならディスクリート電源に良さは無い。見てるだけでイラついてきた。この会社の生産では働きたくねーな(^^


★メモリ周り
vmem
 Vmemはショボイ。VcoreとVttがあるが、どちらもフルにメモリを載せるとやや不安がある。このあたりのコンデンサが膨らんでいる人はフルに載せているからだろう。当該マザーは膨らみが一切無い。恐らく1枚で使っていたのではないか?

 ターミネータは良いとして、パスコンが1つおきに省略されている所がECSのセコさを物語る。当該マザーでは省略は高々12個なので、メモリをフルに載せたい人やOCしたい人は付けよう。


sis745_dc
 SiS745の裏面DCはすべて省略された。これってかなり重要なんだけどなあ。FSBが高くなると確実に不安定になる。もっとも無知から来る誤解で不安定な状態を他の理由が原因と勘違いしている人は多い。電源とかメモリとか。実はマザーのチップセットが悪かったりするんだな。でも教えてあげない。髪の毛が全部無くなるまで悩んでから聞きにおいで。


★サウス周辺
 と言っても、このSiS745はワンチップなのでノースもサウスも無い。通常サウスがある辺りにはIDEコネクタとスーパーI/Oコントローラが鎮座している。


it8705f
 これがスーパーIOチップだが、かつてIBM-PCで主力だった機能を全て集約している。ハードウェアモニター、ファンコン、ゲームポート、シリアル、MIDIインターフェイス、パラレル、FDD、Flash ROMインターフェイス等の他に、何故かスマートカードリーダーの機能がある。この時代にはHWモニターやFANコン、FDDしか使わないけど。


jp3_jp4
 JP4は面白い。これはBIOSROMの3Vと5Vを切り替えている。2が頭に付けば5V、4が頭に付けば3.3Vとか色々あるけど、ホットスワップして書き換えている人は全然気にしてないみたいだね(^^; これはポストが実装されておらず、5V固定でワイヤード状態。3.3Vのメモリチップを使う場合にはワイヤー除去して切り替えなくてはいけない。ま、めったにあることじゃないけど。この時期にDIPと言うのも珍しい。PLCCの方が潰しが利く。

 JP3も曲者だ。これがジャンパされているとフラッシュROM書き換えは不可能となる。市販マシンとかでは入りっぱなしになっている場合がある。書き換えできない!なんて苦しんでいる人はこれにハマっている可能性が大きい。


ics9248_199
 クロックコントローラは9248-119である。それほど多彩というわけでもないが、必要分くらいの機能はある。


nic_sound
 ネットワークコントローラはお馴染のRTL8100Bで、中身はメジャーなRTL8139Dと完全互換である。サウンドは珍しいCMI9738である。初めて見た。CMI8738は良かったけどこれはどうなのかな。アナログ電源が例によってテキトーなのでやり直したいが、基板自体がよろしくないので完全な形には出来ない。コンデンサを交換するくらいか。


fan
 ファンの横に見える省略電解コンデンサはもちろんファンのDCである。これは省略しない方が良い。CPUファンのDCが見当たらないが、これはPWMするから付けなかったのか?それって話が逆だと思うが。ファンのような誘導負荷をスイッチングすると激しいノイズが出るわけで。どこのメーカーか忘れたけど、BIOSでシリーズ制御とスイッチング制御が切り替えられるようになっていた。よく解ってるじゃないかと感心した。勿論シリーズ制御の方はノイズは殆ど出ない。とりあえずDCは全部付けよう。そしてCPUFANはPWRFANから取るようにすればいい。ファンコンは効かなくなるかも知れないが。


★部品

MF2(上側MOSFET):2SK3296
MF4(上側MOSFET):2SK3296
MF5(上側MOSFET):2SK3296
SD1(下側SBD):B55QS03(SBD15〜20A?)
SD2(下側SBD):B55QS03(SBD15〜20A?)
SD3(下側SBD):B55QS03(SBD15〜20A?)

LL1(出力インダクタ1):T50-52B,#16-5T
LL2(出力インダクタ2):T50-52B,#16-5T
LL3(出力インダクタ3):T50-52B,#16-5T
LL4(5V入力インダクタ):6x20FB,#18-6T

EC1(出力コン1):OST[RLX]3300μF6.3V
EC4(出力コン2):OST[RLX]3300μF6.3V
EC9(出力コン3):OST[RLX]3300μF6.3V
EC13(出力コン4):OST[RLX]3300μF6.3V
EC16(出力コン5):OST[RLX]3300μF6.3V
EC18(出力コン6):OST[RLX]3300μF6.3V
EC22(入力コン1):OST[RLX]3300μF6.3V
EC23(入力コン2):OST[RLX]3300μF6.3V
EC24(入力コン3):OST[RLX]3300μF6.3V
EC45(AGP1.5):G-Luxon[LZ]1500μF6.3V
FC51(5Vフィルタコン):G-Luxon[SM]1000μF10V

その他:
G-Luxon[FX]100μF16V×2
G-Luxon[LZ]1000μF6.3V×8
G-Luxon[SM]100μF16V×8
G-Luxon[SX]10μF25V×13

LL1,2,3=3.5〜2.0μH/2.9mΩ
LL4=1.5μH?/?mΩ
OST[RLX]3300μF6.3V=14mΩ/2780mA
G-Luxon[LZ]1500μF6.3V=55mΩ/1070mA
G-Luxon[LZ]1000μF6.3V=85mΩ/670mA
FX,SM,SXは一般用105℃品

 コンデンサは10φで改造は比較的やりやすい。但しコントローラやスイッチが低性能なので改良の素質は低い。B55QS03は15〜20AのSBDか?残念ながらデータシートが見つからなかったので詳細不明。まあSBDだと分かっているのでどうでもええけど。

 このマザーの出力コンデンサに求められているESRは3〜4mΩ程度。新品なら2.3mΩなので問題は無い。入力は容量が大きすぎ。ここの容量はスイッチング周期だけ耐えられれば良いので、誤解を恐れずに言えば「高性能・低容量のコンデンサを付ける」と言うことになる。高性能にはある程度の容量が付き物なので、それだけあれば足りると言うこと。動作編で書いたように1本あたり600μFあれば足りる(単相108kHzとして計算)。

 HSDL版はRLXの代わりに6ME3300WGを使うことになるだろう。但し入力はもっと容量の少ない奴を探す。3300μFは明らかに大き過ぎ。


★次回に続く
 長くなってきたので動作編は次回。