ASUS P5LD2 SE

 前回は解析と言うにはあまりにも修理寄りだったのでもうちょっと見てみる。何かこのマザー、ずいぶんテキトーに見えるので…。SEは「凄惨」の略なのか?


★基板
 基板は4層で安上がり。しかし基板サイズも含めてそれによる弊害は至る所に出ている。2006年23週TRUSTECH ELECTRONICS製造のType CL-2である。

 驚いた事に部品番号が無い。これは全部品を完全自動実装しているからだろう。生産も来るところまで来ちまったな。手付けはヒートシンクだけかも。理由は良いとしてHSDLにとっては非常に困る。改造指定する時に説明のしようが無いじゃないか。どうしてもと言うなら写真に矢印マークでも付けるしかない。解析記事も書きにくい事この上ない。

 裏面に全く部品が無いのは工程を一つ減らすためであろう。かなりの生産性向上とコストダウンになる。不要なのでは無く明確な手抜きである。MCH、ICHともにDCは不充分であろう。これを見た当該回路の設計者はイヤな気分になるハズ(^^


★VRM周辺
p5ld2_vrm
 いつもは色々書くコンデンサだが、このマザーは特に問題無い。強いて言えば入力コンがKZGなのが気に食わない。これは性能は良いのだが寿命が短い。長く使うならPSCなどの固体に交換した方が良い。具体的にはPSCかPSFの270μF16V×4本だ。出力コンは全てパナ製で、FL680μF4V×6+FJ1500μF6.3V×4で、こちらは必要分は足りている。


p5ld2_pwm_drv
 ゲートドライバとMOSFETの距離が長いなあ。これは厳密に計算しない限りあまり良くない。計算はしてないのはミエミエだし(^^ ちなみにコントローラからドライバまでは長くなっても全く問題は無い。


★MCHデカップリング
p5ld2_mch_dc
 一番気に入ったのはこの部分。MCH電源がFBでDCされている。これは945マザーに限らず初めて見た気がするが設計者のこだわりか。だがここまでやったらDCコンの位置も考えて欲しい。部品番号が無いので説明しづらいが、この場合一番効果があるのはもっとも負荷に近い奴、つまりFBの内側になる。この製品の場合は生産者が何となく三つの中間に付けてしまった。個数を減らしたのは特に問題は無いが位置が悪い。実現されれば良い設計だったのに、設計者の意図はこうして生産者に無視されるのであった(^^


★メモリ周り
 メモリDCはあきまへんな。基板設計通りでもかなり不足なのだが、更に生産で少なくない本数が省略されている。電源も至近には無いし、これでまともに動くのか不安になるほどだ。このマザーを使い込んでいた人、メモリ周りはどんなものなんだろうか?トラブルとか無い?


p5ld2_mem_dc1
 …おいおい、かなり酷いぞこれ。ファンコネクタの横にあるCM8562はこのサイズで2AのLDOである。勿論この容量なのでVttだろう。メモリコア1.8Vは出力がHD330μF6.3Vが1本だけである。それに加えてCM8562に一番近いFJ820μF6.3VがVccmの全て。この本数はP6の廉価版並みだろう。Vttは6.3φが省略されているのでFJ820μF6.3V1本だけ。これも845時代より劣るかもしれない。真面目に使うなら全て設計通りに復活させないとマズイ。


p5ld2_mem_dc2
 赤がVttで緑がVcoreである。設計段階でも少ないのに生産で更に半分になっている。これほど少ないのはSDR時代まで遡らないと記憶に無い。

 付けるとすれば8φはFJ820μF6.3Vでいいだろう。6.3φはHD330μF6.3Vでもいいが時代的には固体だろう。HSDLだとSVP56μF6.3V[45mΩ/1700mA]かな。容量は減るけど性能は確実に上。どうせデュアルチャネルだから低周波のオン・オフは少ない。流れっぱなので直流の容量はあまり必要無い。

http://pics.klamas.ru/nix/motherboards_asustek/54539_top.jpg
 nichicon HDがSEI WX(同等品)に変わったくらいかな。やっぱりメモリ周りはヒドイ。

http://www.tekwind.co.jp/backup_uc/asus/motherboard/intel/lga775/p5ld2_se_r2/big_photo.jpg
 これはNCC主体である。もちろん同等品が使われているが、本数の少なさは同じ。


★LAN・SAUND
p5ld2_lan_sound
 解析するのが嫌になるくらいバッサバッサと切られている。サウンドなどは出力コンデンサ以外は全く付いていない。確かにこれでも動くことは動くけどねえ…(^^;


★終わり
 省略もヒドイが基板設計のレベル低下も著しい。アナログ回路は初めてですか?なんて質問したくなるね。回路図では同じ部分に繋がっていても、実装位置によって別の部品になるのが高周波のアナログ回路。コンデンサを一つとっても、負荷と電源の中間ならばどこでも良い訳じゃない。楽に早く設計できるようにはなったが、これも自動設計の功罪なんだろうね。ソコソコ動いて客(PCビルダ)が気にしないなら別に良いんだけどさ。