貧乏籤を引いて修理をさせられる羽目に陥った。まあいいか、どうせ今はヒマだし…。


★まずはちょっと見る
 まずはボード上の観察から。高価なELSAだけあって部品は割とよさげなものが付いている。製造はいつものようにLeadtekかと思ったがMSIっぽく見える。基板は2006年35週、BTI製造。


aod420
 このカードのパワーMOSFETは全てALPHA&OMEGA製だった。これはAOD420だが低性能なので交換したくなるな。たぶんメモリのVrefなので換えてもしょうがないだろうけど。実は余っているCEB6030Lを消費したいだけだったりして…(^^;


c510
 C510は3216のMLCCだが脱落している。上側スイッチのQ508のドレイン横なので入力コンの補助だな。12V入力なので値は4.7μF16Vかな。同じ働きのC520が省略されたように無くても動くけど、何故C520側を実装しなかったのか不思議だ。こちらの方が明らかにQ508のドレインに近いのだが付け間違いか?


mza100uf25v
 この6S 100 EZAと書かれたSMDアルミ電解コンはNCCのMZAという品種である。SEIで言えばCE-AX相当の低インピーダンス品だ。製品ロットによってはCE-AXが付いているものも当然あるだろう。ここで必要とされる容量は100μFで、12Vラインなので耐圧は16Vあれば足りる。何故16Vを使わなかったかと言えば、ごく僅かでもケースを大きくするため(予想)。

MZA100μF16V[360mΩ/240mA](6.3φ×5.8mm)
MZA100μF25V[340mΩ/280mA](6.3φ×7.7mm)

 電解コンはその性質上大きな方が性能が高い。12Vラインのサージで壊れるから25Vにした訳では無い(はず)。同じ電解液ならケースが大きい方が性能が高い。これは電解コンの基本中の基本なのだが、今も勘違いしている人が居るので念のため書いておく。

 ちなみにこの部分に耐圧16Vを超えるような巨大サージは間違っても発生しない。更に言うと数μsやns単位なら電圧倍掛けしても壊れたりはしない。L分やR分によりコンデンサ内部に行くまでに減衰するから。


c143_144
 脱落しているC144は入力コン。テストの時にこれを付けずに動かしたように、もっとグレードが低い品種でも大丈夫。ついでだから今付いているC143も取っ払ってOS-CONで統一するかな。主に見栄えの問題だが、背が低くなるので折れにくくなるメリットもある。カードエッジに近い部分に背の高いコンデンサを付けると折れやすいので避けたい。

C144:PXA180μF16V[16mΩ/4360mA]
     ↓
C144:SVPC150μF16V[22mΩ/3220mA]

 SVPCよりPXAの方が稍容積が大きいので性能は高い。だが上にも書いた通り多少ESRやリプルが落ちても全く問題は無い。静電容量が減るのもこの程度なら全く問題無し。スイッチング周波数600kHzとして33μF程度(注)で足りるくらい。リプルは2本合わせて5A程度で足りる。本当はもっとヤバい品種(中華とか)を付けて色々試したかったが、ここにはラジアルリード用のホールが開けていないので無理だった。


c125_126
 C125(C126)は出力コンだ。1200μF4Vは既に同品をQuadro FX1400の廃品から頂いてきている。問題があるとすれば狭いのでハンダ付け作業がしにくい事だけ。


a2v5
 これはA2V5電源だが、入力部分のフィルタは省略されている。アナログ出力画面に縞々が出る場合はこれを復活させれば直るかも知れない。

 具体的にはLB11に付いている0ΩをFBに交換し、C20(C21)には入力コンを付ける。12Vラインなので耐圧は16Vだ。また出力C14のCE-AX47μF6.3Vも劣化していたら交換する。これもタンタルなど個体が望ましいが、MLCC以外なら何でもよい。C48(C49)は裏の7805用の入力コンなので付けなくても良いが、付けるとLB11のインダクタ外コンデンサ代わりになるかもしれない。ひょっとすると効果あったりして…。

C20(C21):Empty→100〜470μF
LB11:0Ω→FB

 Cの容量は上の範囲でテキトーで良い。FBの値はZが大き目の奴なら何でも良い。要は縞々が出なくなればいいのだ。ちなみにDVIはこの改造は不要、と言うか使わないので効果は無い。その点から見れば時代的に省略は致し方ない。ついでに言うとヌビP455リファレンス回路にはこのフィルタは存在すらしていない。所詮はデジタル技術者か(^^ ちなみに回路と基板が違うのは双方の設計者がそれぞれ違うから。


注:MLCCの場合は容量は少なくとも倍以上にする。安心できるのはだいたい3〜4倍かな。

★実装
after
 最初はクーラーを外さないで作業していたがやはり無理だった(^^; 余計に時間が掛かってしまったな。OS-CONに統一されて見栄えが良い。もうこれで外的破壊が無い限りコンデンサ交換する事は永久に無いだろう。電気的寿命が来る前に形而上学的にカードが使えなくなる可能性が高い。


c520
 C510はC520に変更した。いけねえ、またレジストが傷だらけで汚くなってしまった。これはハンダ吸い取り線を押し付けすぎたため。何しろベタパターンなのでハンダが溶けないのだ。TPにハンダが乗ってしまうのもイラつく。それにしても、客の物件じゃないと扱いがテキトーになるな…。


★テスト
 ドライバを入れて動かしてみた。マザーは先日の半分死にかけたP5W-DHである。


GD979-256EBGS
 ELSAのGF7900GSでシッカリ認識されている。あとGTXとGX2で7000シリーズが全部揃うけど、予算に限りがあるので無理だろうな。


bench_GD979-256EBGS
 ハイハイ大丈夫だね。ちょっとベンチマークを回したら動物電源がかなり過熱している模様。これ以上回すのは色々と危険なので止めとこう。


 という事で初のGF7900GSは完全体となった。めでたし^2