1月29日のローカル巡回で50円で手に入れたHercules 3D PROPHET II Tiである。WXが2本膨らんでいるので交換しなくてはならない。だが現在のHSDLでは闇雲に交換作業に移る事はない。不具合はコンデンサだけとは限らないからだ。作業した挙句の果てに「動きません」なんてくたびれ儲けはお断りだ。それを防ぐ為の回復見込み調査を行うのがHSDLの流儀。この辺りはAEOLUS 6600GTの記事で書いた通り。


★まずはちょっと見る
 基本的なビデオカードの構成が確立したのがこのGeforce2の時代。これ以降現在に至るまでローエンドの基本構成はこれと同じようなもの。もっとも部品は更に安物になり、回路は更に簡略化されているが…。それはさておき、この回路が判らなければ今のカードも判らないので勉強にはなる。


3dprophet2ti
 3D PROPHET II TiはGeforce2Ti搭載のカードである。2Tiは次世代GF3Tiとほぼ同時に発売された。次世代と同時に出たという事は旧世代在庫一掃商品なのか。発売が遅かった為かGTSと比べると見かけない。更にマイナーなProほどではないが。DVI出力はなくRGB出力だけなので、ワイド液晶世代の人にとっては「なんじゃこりゃ?」って感じだよね。更に数年後はHDMIだけになってしまうらしいが…またゴミの山だな。閑話休題、

GTS:200/333
Pro:200/400
Ultra:250/460
Ti:250/444

 手元の資料では上のようになっているが、メーカーによって多少上下する。これを見るとUltraのメモリが稍劣化したモノと言える。もっともDDR444メモリが460で動かない事は通常は無いので、微妙にOCすればUltra相当として使えるだろう。


3dprophet2ti_r
 ありゃ、裏面のメモリが無いぞ?基板は64MB仕様だった。ファームの辻褄が合えば2個1で64MBに出来るかもしれない。


3d_prophet_2ti
 ホコリはただのホコリではなく真っ黒で、臭いは特に感じないけど前オーナーは喫煙者かもしれない。全体を洗いたいところだが時期的に乾燥が難しい。今回はヒートシンク洗いだけで我慢しよう。


yogore
 …と思ったけどコリャダメだ。全体を風呂掃除洗剤、クーラーはレンジクリーナーをかける。50円のくせにコストがかかるなあ〜動かなかったらどうしよう(^^; しかも本体完全乾燥に何日かかるやら。もっとも生乾きだろうが作業は連続で行なうつもり。多分ハンダゴテの熱で乾くだろう(←テキトー)。


us3007cw
 コントローラはおなじみUNISEMのUS3007CWである。VRM8時代の立派なCPU用VRMコントローラである。同期整流のメインと非同期の2つのスイッチングコントローラ、2つのリニアレギュレータを内蔵しており、このカードではメモリ電源もコントロールしている。スイッチング周波数は200kHz標準のところ実測は約180kHzで稍低めだが問題になるほどではない。


nvvdd
 上記の通りメインスイッチングは同期整流だが、これは簡略化してどちらも非同期になっている。上スイッチがIRF9410とIRF7313、下側は両方共にSBDのGW5820だ。このSBDはデータ不明だが名前からして1N5820互換だろうから3A程度だな。この辺りは特に疑問点は無い基本通りの設計だ。

 コンデンサはOS-CONメインで2本だけWXが使われている。この2本のWXだけが膨張しているのだ。耳なし芳一の耳みたいなものだろうか(^^; これ見た限りでは不良ロットと言うより性能が足りない気がしてきた。これは10φ×12.5个世、10φ×16个覆藺りたのではなかろうか。その場合の性能は38mΩ/1430mAと大幅向上するから。

SANYO OS-CON
SP510μF4.0V[14mΩ/4080mA]×4
SP620μF6.3V[13mΩ/4840mA]×1

SANYO(SEI)
WX1000μF6.3V[53mΩ/1030mA]×2

 SP510も620も現在の標準品には無い。これは同品種・同耐圧・近似容量のSP560と680と同性能と見てよい。サイズは全く同一のE(8φ×11.5)とF(10φ×11.5)サイズだ。


geforce2ti
 GF3と同時期だけあって2001年36週だった。2002年には4Tiが出ていたのだから、上に書いた「Tiは旧世代在庫整理」と言うのは正しくないかもしれない。在庫整理なら新たに旧世代を製造する訳はないのだから。事実、これを小改造したものが4MXとして売られた。

 GTSやTiの表示は無いね。Ultraは見た事があるが時期によっても違うのかもしれないな。そう言えば昔、ELSAかどこかのQuadro2にGeforceが入っていて返品騒ぎになった事があった。中身は全く同じだけど気分が許さなかったのだろう(^^

 探してみたら色々あった。ヒートスプレッダタイプのカネが掛かってそうな奴から、プラモールドの廉価版MXみたいなのまでいろいろある。

・GTS名義
http://www.ixbt.com/video2/over2003-p1.shtml
http://www.ixbt.com/video2/images/over-2003/gf2gts.jpg

・Ultra名義
http://en.wikipedia.org/wiki/GeForce_2_Series
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/GeForce2_Ultra_GPU.jpg

・Ultraのヒートスプレッダ無し
http://www.anandtech.com/show/601/2
http://images.anandtech.com/reviews/video/nvidia/geforce2gts/ultra/chip.jpg

・これと同じ無印Ti
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011023/hotrev133.htm
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011023/hothot03.jpg

・Ti名義もあった!
http://destroyerfx.deviantart.com/art/GeForce2-Ti-VX-Card-168579982
http://th00.deviantart.net/fs70/PRE/f/2010/173/4/e/GeForce2_Ti_VX_Card_by_DestroyerFX.jpg

 さすがに名チップNV15だけあって生産量もハンパじゃないらしい。時期によって色々変わるのだろう。Pro名義だけは見つからなかったな。


utsuri
 このカードをバラしてみて発見した異常な現象?何故かヒートシンクが青く汚れている…と思ったら、これもともと青い色のヒートシンクだったっぽい。つまり汚れじゃなくて色落ちしているんだな。よく見ると全体も銀色じゃなくて薄らと青みがかっている。チップのマーキングがヒートシンクに転写されているのも確認できる。写真では分りにくいけどヌビの渦巻きマークが見えるはず。どうやったら金属塗装の色が落ちるんだろう?自然に落ちるなんて絶対にありえない。

 グリス部分が残っているという事は付けたままの状態で色落ちしたという事だ。まさか全体を有機溶剤にドブ漬けしたと言うのか?でもそれならメモリヒートシンクも色落ちしそうなんだが。強力なアセトン系だとコネクタ等のプラ部品が溶けるから無理だし…。そもそも何で溶剤に浸けたのかという最大の疑問がある(^^; これ以上考えるのは疲れるので止めるが、今回このカードに強く惹かれたのはこの状態を発見したから。


★テストその1
 明らかな不動品を修理しても骨折り損。そこで修理の見込みがあるかどうかこのまま動かしてみる。この程度コンデンサが腐ったくらいなら不安定であっても画像はまともに出るはずだ。


aomidori
 BIOSPOSTキター!いやちょっと待て!何だこの青い文字は。明らかにカラーが異常な画面だ。件のWX1000μF6.3Vは稍発熱している。やはりESRが増大しているのだろう。もちろん要交換だが、これを交換しても正常動作にはならない。

 これって初心者トラップだよね。動かしてみたら青画像→ボード上を見たらコンデンサが膨張している→原因は電解コン膨張に違いない!→勇んで交換→しかし変わらない→ダメだ捨てよう…となるわけだ。実際は電解コン(通常は電源)不良でこのような症状になる事は無い。青画像は電源ではなく信号系の問題だからだ。騙されないように。


★次回に続く
 簡単なコンデンサ交換だけで済むと思ったのに画像まで異常とは…。面倒だけど他は正常なので修理させられる事になる。丸洗いといい、たった50円で物凄く苦労させられている気がしてきた。