先の稲城遠征で手に入れた物件。かなりの美品で見た時から動作の予感はあったが、予想通り不具合も無く完動だった。AthlonXP初期のメジャーなマザーである。メジャーなマザーは通常HSDLは取り上げないのだが、これについて書かれている文書がもはやインターネット上に現存していないので書く価値はあるかな。もちろん他人とは全く違う事を書くわけだが(^^


★英煤のKT266Aマザー
a7v266_e
 A7V266のエコノミー版という位置づけなのか?ボード上のオンボードデバイスが省略されている。尤も省略されたのはPROMISEのRAIDなので無くても良い、というかIRQの邪魔なので無くて良かったくらい。シンプルさを愛する人にはこの方が上だね。LANも100BASEは陳腐化したので無くても良い。ただAC97はPC用ではこの程度で充分と言うところはある。

 基板が大型の割には部品が疎らで効率が悪い。恐らく余白を削ったATX版とか、M-ATX版とか色々バリエーションがあるのだろう。基板はPWC製2001年38週製造。

http://ascii.jp/elem/000/000/327/327029/
 2001年10月か。既に12年半の時が流れている。使用状況にもよるが、ボード上の電解コンデンサの寿命も気になってくる。あまり使われていない板なので消耗は激しくないだろうが、それでも自然に乾いてくるので油断はできない。直流的な性能はこの程度では劣化しないが、交流特性は大幅に劣化するのだ。


★VRM
vrm_in
 入力部分がドーナッツ状のパターンになっている。入力回路の真ん中からソース5Vが出ているのだ。このようなパターンは経路が二通りになり高周波回路では禁忌とされているのだが、横にズラズラと細長い2相VRMのパターンといいイヤな感じだな。スペースの関係で仕方が無かったところはあるが、かなりアクロバティックなパターンだ。もっとも基板シミュレーションで「全く問題が無い」と計算されている可能性もある。


ncp5322
 構成はオンセミのNCP5322使用の2相VRMだ。ONのリファンレンス回路では12Vソースも提示されているが、これはVIAリファレンス通り?なのか5Vソースである。電流的には12Vの方が楽だが部品的には5Vの方が楽。何故ならこの時期はP6時代の資材が多数余っていたからだ。シロートや設計屋には解らないだろうが生産は色々厳しいのだ(^^

 スイッチング周波数は400kHzが標準らしいが実測では約220kHzだった。もしかしたら標準400kHzと言うのは2相の実効周波数(×2)なのかもしれない?それだと440kHzとなって辻褄が合うのだが。これは28ピンのRoscを調べれば分るが、R70=61.9kΩなので220kHzは狙い通りという事か。なお5322自体は200〜800kHzまで対応している。

 スイッチ素子のパワーMOSFETは上下共にInfineonのIPB05N03Lで特に驚くモノでは無い。英煤はスイッチ素子は昔からギリギリのありふれた奴を使っている。下側がぶっ飛んだら素直に秋月のIRLB8721PBFに換える。上がぶっ飛んだら下側のを上に移動して下側にIRLB8721PBFを付ける。両方ぶっ飛んだら?考えたくないけど、無事な方の相の下側を飛んだ方の上に付けて、下側には両相共にIRLB8721PBFを付ける。両相共とも飛ぶことは確率的に皆無に近いだろう。片側が飛ぶと自動停止するからだ(^^ 色々面白いじゃろ。


★電解コン
vrm
 出力コンは4本しかない!P6かよ。設計でも5本しかないのにさらに減らすか。新品の時は良くても、A8N-SLIの如く経年劣化でマージンを割り込む可能性はある。まあ筆者は出力コンなど動けばどうでも良いという主義なので英煤と同じく手抜きしまくりだけど。その分は入力コンに力を入れる。入力コンは出力品質を上げるのには全く役立たないが、これを手抜きすると致命的に壊れるんだよな。筆者の考える重要度は{メモリ・チップセット周りのコンデンサ≧VRM入力コン>VRM出力コン>その他}となる。

 ところでコイツ、省略するのは良いけど位置が間違ってないか?これはCE11が省略されているけど、本当はCE12を省略するんじゃないの?何故かというとこれがαとかのデカいヒートシンクにブチ当たるからだ。画像検索するとCE11が省略されたものも有るようだが徹底していないな。今思いついたけど、4本にしたのは各相2本ずつでバランスを取ったのかもしれない。もう一方の相と同じという点でCE11省略の方が電気的にはバランスが取れるのかもしれない。だが低レベルでバランス取らんで欲しいとは思うのだ(^^ つか何でこんなにバックパネル側に寄せるんだろう?VRMとCPUソケットをメモリの方側にちょっとずらせば全部解決なんだが?分らねえ。

・CE12を省略した例。電気的にはともかく、ヒートシンク取り付けという観点からはこちらの方が良いと思うのだ。ま、そうは言っても横長でCE11省略の方が良い場合もあると思うが。
http://mail.lipsia.de/~enigma/neu/pics/a7v266-e_klein.jpg
http://www.3dnews.ru/documents/2813/motherboard.jpg
http://www.motherboards.org/images/reviews/motherboards/1020_p2_1.jpg
http://i415.photobucket.com/albums/pp236/stingar2203/nostalgic%20hardware/DSCN52041.jpg

 電解コンデンサは入力がHDで出力がHMだ。ニチコンHMは要注意物件だがこのマザーでは全く問題は出ていない。HD1500μF6.3Vも全く問題無し。ニチコンHDはSEIで言えばWX、NCCで言えばKZEと(カタログ上は)同一。あまり使い込まれていないマザーなのでこれだけで充分かどうかはまだ分からない。劣化のサンプルも欲しいなあ。

nichicon HD1500μF6.3V[23mΩ/1820mA]
nichicon HM3300μF6.3V[12mΩ/2800mA]

 HMは10φ×25个諒。10φ×20个諒は性能が落ちる。カタログ上はWGと互換だが実際はハンダ付けでチョイ性能が落ちる(新品時にギリギリしかないため)。

 発売当時の石ならこれで良かったのかもしれないが、後付け設定でサポートしたパロ2100+やサラ2600+を載せるなら、やはり省略分も載せないとダメだろう。まあこの世界はメーカー自身が規格外OC品を発売してしまうくらいなので、少々規格を満たしていなくともイケイケなんだろう。筆者も止めはしないよ(^^

 メモリ周りはVRMと違ってOST一色だ。全てRLS1000μF6.3Vだけど、一応低インピーダンス長寿命品という事になっている。これは8φなのでLoad Life:3000Hrsとなっている。生産週は2001年13〜17週らしい。長期間放置されていたと思われるので完全に寿命と言うわけでは無いだろうが、HSDLではVRMは放置してもメモリ周りは換えたい。

OST RLS1000μF6.3V[80mΩ/600mA]

 カタログ上はYXGの8φ×11.5个茲蠅魯ぅ鵐圈璽瀬鵐硬には少しマシな程度。リプルではごく僅かに負けている。あくまでもデータシート上の能力で、実際はどちらも同じくらいだと思う。何故ならYXGバージョンも見た事があるから。


★インダクタ
l_22_23_24
 ソースは5Vなので入力電流はかなり厳しい。その割に何か可愛らしい入力インダクタが付いているのだが、これって線材が細いので電圧降下するんじゃないか?この回路の効率がどのくらいか分からないけど、最大電流の半分くらいは流れると思った方が良いと思う。

 ちなみにA7V333以降は充分に線材が太くなったのは良いけど、今度はコアがフェライトバーになってしまった。これは別の意味で嫌になる。結局ASUSのVIAシリーズは12V化しなかったので、ATX電源コードが発熱するほどの電流にはずっと悩まされた。この点はMSI K7N2G-Lの方が良かったな。

入力L23:T38-52(49.0n)[#17x4T]=0.8μH
出力L22:T50-52B(43.5n)[#17,3Px4T]=0.7μH
出力L24:T50-52B(43.5n)[#17,3Px4T]=0.7μH

 出力は一般的なT50-52Bだが意外な事にT38-52の方がAL(n)値が高い。肉厚のせいなのか?何でじゃ。しかし小さいなあ。入力のこんな小さなコアはP6時代のAB-BH6以来だと思う。飽和して抜けるのは…気にしなくても良いか?


★その他
socket462
 ソケット内のCPU_DCはこうなっている。真ん中のCT2が抜けている。他にも1608が4つ抜けている。


ics94228
 ICSのKT266用Programmable System Clock ChipであるICS94228BFが使われている。勿論I2Cでソフトウェアコントロール可能だ。手持ちソフトではClockGen(Ver 1.0.5.3)は対応していた。

 データシートを見るとFSB333はおろか400の石でも動かせそう。もっともKT266がそこまでは耐えられないだろうが…(^^;


kt266_ht
 ヒートシンクかと思ったらA7V266-Eはファン付きのクーラーだった。恐らく高クロックでは超発熱するんだろうね。と言いつつHSDLはヒートシンクで誤魔化す。うちはケース入りじゃないんでね。


vmem
 メモリ電源周り。DDR2やDDR3を見慣れた目にはアッサリしているように見える。この頃の電源は緩かったのでこんなモノでも動いたのだ。最近ではメモリの電力もバカにならない。


cmi8738_6ch
 サウンド機能は当時の英煤ではおなじみだったCMI8738/PCI-6CH-LXである。過去のテストではCMI8738シリーズの周波数特性の良さに驚かされた。


★続く
 上の方に厳しい事も書いてあるけど、同時期にECSのK7S5A+とかエポッ糞とかGIGAヤBYTEの粗悪コンデンサ使用マザーも売られていた訳で、それを思うとコイツでも「なかなかの高品質!」に思えてくるから不思議だ(^^ 要は他製品との比較の問題だから。

 長くなったので動かすのはまた次回。