TYAN TITAN TURBOである。HSDLでソケ7系を扱うのはP/I-P55T2P4(Rev2.1)以来だろうか。正確にはあれはソケ5だから純粋なソケ7は初めてかも。GA-5AX+(Web版)、5114VUFW-TI5VGFAX59Pro等は互換系のSuper7だから。


★概要
 自作用の高級機を除けば、PC用マザーボードの基本はP6時代の昔からUEFIの現代に至るまでほぼ変わっていない。P6マザーボードさえ完全理解できれば基本的に問題は無い。ところがそれより前のP5世代だと、P6世代以降と稍様相が異なる。たとえフォームファクターはATXではあっても、ボード上の風景は486以前のATマザーによく似ている。事実この時期はAT版を手直ししただけのものが多く、このマザーも例外では無い。

 その為いつものようにハードウェア解析するよりも、現在の基本的なPC用マザーとの大きな違いを確認した方が有意義だ。P6以降のマザーしか見た事が無い人は戸惑うかもしれない。筆者も久々に見てちょっと戸惑ってしまった。これが現役の頃にはマザーボードに対する関心は殆ど無かった記憶がある。


titan_turbo
 これがTYAN TITAN TURBOの全景。現代のマザーを見慣れた目には、一見してアルミ電解コンの少なさに驚くと思う。小容量電解コン自体は無い訳ではない。むしろP6時代より省略が少ないため多い方で、それらは全て面実装型のタンタル電解が使われているのだ。この辺りを見ると、このマザーがそれなりの高級(高価格)機であったと想像される。

 古いソケ7とは言えATX化しているので周辺は近代化している。キーボードやマウスは直でPS/2が使えるのだ。ATX電源やキーボードは新しいのが使えるって事だね。USBはチップセットは対応しているがコネクタは直付けではない。筆者の使っていたFICのPT-2007もそうだった。これらレガシーデバイスがUSB対応しているかはUSBブラケットが無いので確かめていない。


socket7
 最も大きな違いはCPU周り、特にVRMだろう。ソケット周りにP6以降でおなじみの大き目の電解コンがほとんど見られない。このマザーで一番違和感を感じるのがこの部分だ。左に2つ並んでいるUMCのチップはL2キャッシュだ。P6以降のマザーしか知らない人には驚きだろうが当時はCPUにオンダイのL2キャッシュは無く、チップセットにS-RAMが繋がっていた。もちろんメモリクロックと同じなので速度はあまり変わらない。つまり効果もそれなりだ。右側下で見切れているがTAGRAMというのもあり、これはL2の目次のようなもの。


vrm_s1572
 このマザーのVRMはシリーズレギュレータだ。現在の厳しいCPU事情からは考えられないが、当時は数W単位の消費電力なのでそれで足りた。現在のCPUは溶接並みの100A以上なので、電源だけで言えば数十倍も優しい。高クロックK6-2・慧の大電力の石は、たとえピンアサイン的に載ったとしても載せてはいけない。調子に乗って動かし続ければ確実に損傷する。まあ試しにK6-233でも載せてTRのヒートシンクを触ってごらん。規格外の石を載せる気なんてどこかに飛んじまうから。それどころか現状の熱対策で慌てる事になるだろう。

 レギュレータICはCS5207-1(現在はON製)である。これは7Aの大電流リニアレギュレータICである。ドライバがPNP、パス・トランジスタがNPNなので典型的な準LDO(quasi-LDO)レギュレータである。もちろん発振には注意しなくてはいけない。大電流とは言え7Aなのでそれを越えてはいけないし、接合部温度が150℃を越えれば破壊される。このLDOは間違いなく高価なので注意しなくてはいけない。この点ではP55T2P4の方が良かったなあ。アレは汎用の安いバイポーラTRだったから。部品の値段が重要なのは何も製造メーカに限った事ではない。修理屋にとっても重要なのだ(^^

 VRM入出力コンデンサには両方ともELNA RE2 470μF10Vが1本ずつ使われている。RE2はHSDLでも以前PC Chips BKi810で使った事がある。この場合はリニアレギュレータなので一般用85℃品でも問題無さそうだが、極度に高熱のヒートシンクが隣にあるので連続使用だと嫌な感じ。このマザーの場合は使用歴が浅いらしくエージング後は問題は出ていない。


430tx
 430TXの位置づけはエントリーモデル向けだが、ハイエンドの430HXと違ってSD-RAMが使える。上級機より一部機能が優れているのは、P6時代の815と440BXの関係に似ているかもしれない。HSDLはSIMMが滅亡しかかっているので地味に助かる。PC66対応のDIMMなら山のようにあるからね。もっとも430TXはローエンドだけあって256MBしか積めないが。なおチップセットの関係で64MBを超えるメモリを搭載するとL2が係らず速度が低下する。


simm_dimm
 これの現役時代に筆者も430TXを使っていたが、192MB搭載でスワップした事が無かった。邪魔になったのでスワップファイルは使わないようにしていたくらいだ。当時は市販PCには32MBなんてのも普通で、64MBなら快適と言われた時代である。普通の人はPentium133クラスを使っていたし、もっと遅いPC-98シリーズの人もいた。筆者はPC-9801シリーズ286/386改486+Windows3.1から430TX+K6-200+Windows98に乗り換えたので、その桁違いの速さに度肝を抜かれたものだった。恐らく4倍くらい速かったんじゃないか。


atx_s1572
 以前書いたCPUFANのコネクタが無い件だが、実はATXコネクタ脇のJ18がそれだった。ジャンパにしか見えないので分らなかったよ。誤ってジャンパすると電源がショートして起動しなくなるので注意。

 但しハリネズミ又はそれ以上のクラスのクーラーならファンは回さなくても大丈夫。何たって省電力だから。むしろあまり大電力のファンをここに繋がない方が良いかも。配線が細いので基板が焼ける可能性もある。


amikey
 BIOSROMチップは懐かしのDIPタイプ。もちろんソケットなので抜き替えも楽々。ぶっ飛んでもライターで書き換えられる。当該製品に付いていたのはATMELのAT29C010Aで、5Vタイプの1MビットROMだ。ホットスワップ等で3.3Vで書き換えても上手く行かない。12Vしか使えないペッカーでも当然ダメ。

 BIOSはTYANの公式サイトでまだ手に入る。3.03と1.06があるのだが、何故か1.06の方が新しい。このマザーに入っていたのは1.06なのでこれより新しいのは無いようだ。ま、違いは殆ど無いので書き換える必要もなさそうだが。


pci_isa
 PCIバス・ISAバススロットはこの通り。ビデオカード、NIC、SOUND、その他で必要充分には足りている。


★CPU対応
 P5世代なのでMicrocodeが存在せずハッキリとは判らない。BIOS中のCPU文字列を見た限りでは一般的なCPUは全て対応しているようだ。

Pentium-S
Pentium-MMX
Cyrix 6x86
Cyrix 6x86MX
AMD-K5
AMD-K6
WinChip C6

 JP11,12,13をセットするとあとはオートで認識される。コア電圧も自動セットされるらしい。当時としてはなかなかの高機能だ。しかしその機能のせいかOCできない(下記)。


★周波数設定
ics9169
 クロックジェネレータICはおなじみICSの9169Cを使用している。マニュアルにはイソテル規定のFSB50/60/66しかないが、ICの規定だと75MHz設定もあるハズだ。正確には75.9だが、この場合でもPCIは32MHzなので規定内。またFS2をHに出来れば、55/68/75/83MHzといった当時おなじみのイレギュラー設定が(ICの機能としては)可能だ。

JP23(FSB設定)
1-2,3-4 50MHz fs1:0 fs0:0
3-4 60MHz fs1:0 fs0:1
1-2 66MHz fs1:1 fs0:0
JP無し 75MHz fs1:1 fs0:1(未定義)

JP4,5(倍率設定)
off:off ×1.5(3.5)
on:off  ×2.0
on:on  ×2.5
off:on  ×3.0

 がしかし、試してみると75設定にしても全くポストしない。その状態で電源スイッチは反応するので、固まったというよりはソフトウェア(BIOS)で起動しないようにしている可能性が高い。余計な事しやがって。BIOS解析は…面倒だからいいや。


★動かす
 このマザーは古代のソケ7だが、ATX板なので動かす上でのハードルは非常に低い。手持ちのP6時代の機材で使えないモノは殆ど無いと言って良い。ノースブリッジの関係でビデオカードがAGPではなくPCIとか、そういう古さは当然あるのだが。

 動かすにあたって、メモリを限度一杯256MB積む訳だがこれがまた参った。SDRなのに相性がバリバリ出まくるのだ。用意した30枚近くのDIMMの内、128MB×2で動いた組み合わせが現在一組しか無い。手持ちが少ないと動作チェックで故障判定するかも。加えてチップセットの関係で256MB以上のDIMMは勿論、片面128MBだってこのマザーでは動かないという事も思い出した。かなり昔だが、これで悩んでいる人をチラッと見た事があったような。


memtest_s1572
 MEMTEST86+を一応回したが、たった256MBしかないのに一周で1時間を軽く超える。気軽に回し始めた事をタップリ後悔させられる。


★OSインストール、だがしかし。
 OSは迷ったけど最初はやはり時代を考えて98SEで行く事にした。慣れてきたらXPを入れても良いけど。NT4.0という線もあったが、使い方を忘れつつあるのと、NT4上で動くソフトがあまり無いという事で却下。HDDは例の内側が死にかけているDAQA-32700を95%使う。9xならFAT16の100%でも良かったかな。それだと不良位置には届かないのでパーティション制限も必要無い。

 いつものようにDドライブにデータ取り用のLCT20の40GBを繋いだら見事にPOST画面で固まった!これが32GBの壁と言う奴だろうか?このデータドライブ中に98SEも入っているのだが…。CD-ROMから98入れるの何年振りだろう?少なくとも今世紀に入ってからやった記憶が無い。CDメディアがどっか行っちゃったので探さねば。

 という事で次号に続く。一発で終わらせようと思ったのに。