だいぶ前の話になったが、J師への誕生プレゼントで買ってきたMSI 880GM-P51(MS-7623)が「電源入らず」と言われたので引き取ってきた。まさかあんな状態の良い高価(笑)なマザーが動かないとは夢にも思わなかった。仕方が無いので引き取ってHSDLで直して使う事にしよう。

 HSDLはAM2以前のマザーしか無く、AM3マザーなんて今まで触った事も無いのだが果たして直るだろうか。結果から言うとAM2とかAM3とか全然関係無く、実に意外な見た事も無い壊れ方をしていたので直らなかった。


★故障原因究明
 返品されてきた880GM-P51を検証してみた。教科書通りに、まず板にATX電源の20又は24ピンコネクタだけ繋いで電源を入れる→電源が入った。これで通常ラインの不具合ではない事が判る。次に#12Vコネクタも繋いで電源を入れてみる→電源が一瞬入りかけて止まるようになった。ハイこれで賢い人はもう判りましたね?VRMコントローラ若しくはATX電源の過電流保護で電源が止まっているのだ。という事は大方パワーMOSFETの不良だろう。ほらほら、何か過去に見覚えのある展開になってきたじゃないか。


p0903bd
 この3相目の上側スイッチであるニコ蝉P0903BDがゲート抜けしてやがります。これでは動くわきゃない(注)。調査を始めてこの間1分以内、神速で故障原因判明だ。溜息が出た。

またお前か!
またニコちゃんか!(^^;


 何の事か分からないニワカ読者は「MSI 945GM4-FI修理」を読んでくれ。MSIよ、お前はニコちゃん或いは商社に騙されてるんじゃないのか?今の世の中、検査落ち品とかそういうのじゃないとこんなに不良品は出ないぜ。

注:MSI 945GM4-FI修理では#12Vコネクタが直間だったが、この場合はゲート抜けなので直間にはならない。前回と大きく違っているのはそこだけ。モノによって壊れ方が違うところにこのパワーMOSFETのいい加減な作りが判る。

★不良品じゃねえの?
 上で冗談のように書いたが本当かも知れない。実は証拠に近い実例をすでに入手している。後から手に入れた880GM-P51の完全動作品の事だ。


niko_rework
 御覧のように各相のパワーMOSFETに明らかなリワークの後がある。メーカーで交換されているのだ。これは不良品が多数出ているという証拠。そもそもこの若いマザーがジャンクで大量に出回っている事自体、不良返品がいかに多かったかを表しているのではないだろうか。現状分っている絶望的な奴はシリアルナンバーの最後の部分はこうなっている。
×140B101xxxxxxx
○140B110xxxxxxx
 ×が壊れていた奴で○が修復済みの奴。とにかくこれに似たシリアルのマザーは、補修していなければ近いうちに確実に壊れるだろう。使用を続ける限り遅かれ早かれで破壊から逃れる事は出来ないと思われる。このマザーを使っている人は多くは無いだろうが、壊れるとしたらこの部分だから覚悟しといてね。

 しかし小汚いリワークだなあ。プロとは呼びたくないレベルのハンダ付けなので、筆者が修理に出したのならやり直しさせる。もっとも最近は生産現場にハンダ付けができる人は少ないらしい。某有名企業の工場に行った時に「今ハンダ付けできる人がラインから外れている」って言ってたから。必要のない技術は廃れる。これは世の流れなのだろう。この際どうでも良い事だが。


★剥がす
 原因が判明したところで修理は終わり(^^ AM3マザーなんてDDR3メモリが殆ど無いから使えないし、ヘノム2はJ師の所有物となったのでもう無い。AM3はSDX140HBK13GQしか無いのだ(値段はヘノム2の5倍だがな)。でも時期的に暖かくなってきたし、ちょっとヒマがあったので交換してみるか。

 作業は剥がすのだけが難易度高い。破壊しても良いなら簡単だが。今回は「MSI 945GM4-FI修理」の時と違って内陸部なので面倒だ。熱風攻撃なら電解コンを抜いてから作業しなければならない。どちらにしても劣化するのでやりたくないなあ。今回はクソ熱くて電気代がかかるヒートガンは止め、よりアマチュアっぽくハンダ吸い取り線を使った。慣れればヒートガンより作業は早いかもしれない。要領としては{脚のハンダを除去→タブを熱して剥がす}となる。

 剥がした状態でもう一度ATX20Pと#12Vを繋いで電源を入れてみる。電源が入ってBLUE LEDが点灯した。この時点で上の故障原因は推測では無く確定となった。めでたし、めでたし。…この時点ではまだそう思っていた(^^;


★部品交換
 さて代わりに何を付けるか?9.5mΩ≧RDS_ONでゲートチャージが大きくないもの。もちろん形状はTO-252でなくてはならない。その線で在庫を探すとこのようになった。

IPD04N03LA[3.2〜 5.7mΩ]4個
FDD8896 [4.7〜 9.2mΩ]1個
IPD09N03LA[7.2〜14.8mΩ]3個
FDD6690A [7.7〜19.0mΩ]1個
NTD4302 [7.8〜13.0mΩ]4個
SDD50N03L [8.0〜12.0mΩ]6個
IPD12N03L [8.1〜14.7mΩ]2個

 高性能のはもったいないし、数が揃っているのも修理・改造用に残して置きたい。結局選んだのは一品モノのFDD6690Aとなった。Vgs等によっては最大19.0mΩとなるが、まあよほど環境が悪化しない限り大丈夫だろう(テキトー)。最悪このパワーMOSFETが燃えるだけなので大した事は無い。多少劣っていてもニコちゃんよりはマシだろう。


★テスト
 テストしようにもAM3テスト用物件がねえぞ。一応SDX140HBK13GQでも付けとくか。メモリはDDR3-1GBシングルで。あ待てよ、ヘノム2は無いけどアス2があったんだった。まあどっちでもいいか。壊すのもイヤだからセンプーで良い。

 動かない…(^^; 電源は動作しているのだが、動かす度に何か状態が変わる感じなのだ。例の青色LEDも付いたり消えたりするようになった。実はこのLEDは何を表しているか調べていないが、少なくとも壊れていた時には点灯しなかった。何でこんなに不安定なのだろうか?

 30分くらいしてハタと気づいた。これってもしかしたらゲートドライブが逝かれているのではなかろうか。だってゲート抜けした訳だろ?ゲートにドレインからの大電流が行っちまったんじゃないか。ゲートドライバがイカレテも不思議ではないわな。オシロで波形を見たがデューティー比がゼロ、つまり開いていない。ドライバを交換しようにも、都合の悪い事にこのコントローラはドライバ内蔵タイプなのだ。交換できないじゃないか!詰んだ?


★終わり
 という事で今回は直らなかった。直すとすればコントローラごと換える事だが、それを実現するには恐らく1000円を超えてしまうだろう。他マザーから移植すると言っても、部品取り用の板を買う金でこれが一枚買えるのだ(^^; 残念ながら現状では神風が吹かない限りこの板は破棄するしかなさそう。880GM-P51を買うのは止めとけ。

 しかし世間には本当にテキトーな半導体が流通してるんだな。一時期消えたけど、中華全盛でまた増えてきたのかもしれない。電解コンでマザーを選ぶ厨房は息してますか〜?コイツ全部ニッケミ固体なんだけど簡単に壊れるよ。これからはパワーMOSFETも見ましょう(^^