続・古のマザー Abit BP6


 今回は先日手に入れたAbit BP6を早くも取り上げる。このマザーは世間で既にクソマザーと評価確定しているが、本当に世間の評判が正しいかどうか確かめたい。この手の変態マザーはベテラン(だけ)が使うべきものだが、何故かドが付く初心者が金蠅のように群がってくるのでトラブルが絶えない。そのため冤罪に近い症例もあるかもしれない。解析は簡単に済ませてテキトーに動かしてその真相を探る。


★まずは訂正
 動作チェックでQ17のAME1084ACDTについて「昇圧できるように独立させてある」と書いたがウソだった(^^; 電圧は約3.3V固定で変化はできなかった。最初はそのつもりだったのかもしれないが、少なくともBIOSメニューには無かった。


★いきなり洗う(^^
yani_bp6
 このマザーの黒いホコリはブロワーで吹いても微動だにしない。これはヤニ食っているか、若しくはワンルームで台所の湯気などを浴びている可能性が高い。どちらにしても洗わなければダメだ。PCの前では禁煙しよう。不可解な症状はすべてヤニによる接触不良と考えた方が良い。CPUソケット、AGPスロット、メモリスロット等の内部から接触不良なので、接点をアルコールでチョロっと拭いて治るものじゃない。無駄無駄。


clean_bp6
 一発で動作しないといきなり扱いが手荒になる(^^ 現在バスマジックリン(互換品)で洗浄中。キレイにすればそれだけ愛着が沸くというものだ。シャワーでお湯が出てくるので濯ぎも捗る。おまけに夏の日差しはバカ強く、しかも風も強いので完全乾燥までに半日も要しない(8月上旬の話)。


★EC10問題
ec10
 おなじみEC10だ。筆者も10年以上前から(自分には無関係なのに)存在を知っている。当該マザーは幸いオリジナル電解コンが付いている。このEC10はシルク印刷を見れば判るように8φ(JACKCON1000μF又はTAYEH1500μF)の電解コンが付く設計だったはず(注1)。それを生産で小さいのに変えたんだろう。勿論それなりにバリデーションを通っている筈だがテキトーだったのか?これで不良が出るとすれば設計ミスでは無く生産ミスと言えよう。


ams1085cd
 これがVttを生成しているAMS1085CD(注2)だが、CPU×2なのに1つしかない。シングルならこれで足りるが、デュアルなのにシングル仕様で良いのか?イヤ良くないから不具合が出ているんだよな。CPU×2だから単純に倍電流必要とはならないだろうし、1085のカレントリミットは約5Aなので大丈夫なのだろう。がしかし、発熱なども考慮すれば1085じゃなくて1084を付けてみれば?もしTO-252の1084が手に入ったら交換してみたい。

 108x系は準LDOなので超低ESRコンデンサを付けると発振するか不安定になるが、EC10はかなり離れているのである程度低くても耐えられる可能性はある。負荷周波数にもよるので絶対安心は無いだろうけど。ちなみに108xの推奨はIC直近で50〜500mΩである。

注1:EC12、16、26、27、29、30、32も同様のケチり。

注2:3AのリニアレギュレータIC。AMS以外にもある。xxx1085が同じならどれも互換品。ちなみにIvttは2.7Aとなっている。CPUが2つ同時にピークに達する確率は非常に低いので足りるといえば足りる。

★VRM
cs51313
 VRMコントローラはチェリー時代のCS51313である。Vcore用の上下PWM信号とVrefが出ており、VttやVclkが欲しければLM358を使った回路を外付けする…こんな面倒なモノ誰も使わんだろ(^^; Abitもこれは使わず上記のLDOを使っている。もっと新しいVRMコントローラならパワーMOSFETの外付けだけで生成できるのだが。

 このICは当時流行った?(Analog Devicesも採用していた)コンスタント・オフタイムと言うPWM方法を採用している。これは通常のPWMがスイッチング周期に基づいてオン・オフするのに対して、オフ時間を固定してオンタイムを伸縮させる。つまりスイッチング周波数と言うものは無いというか不定である。サイクルが{不定のオンタイム+一定時間のオフタイム}だからだ。これで応答性が上がるらしいのだが、電圧が±した時に直ちにオンタイムが始まったり終わったりするからだろう。コピーツールで言えばサンプリング方式のアインシュタインとタイムカウントのナポレオンの違い(注3)みたいなものか(^^ しかし2000年代に入って廃れたところを見ると大したメリットでは無かったのかも。一番大きな欠点として多相化が不可能だし。オシロで波形を見ると凄まじく周波数が変動しているのが分る。これを最初に見たのはまだ公開されていない「続・古のマザー FREEWAY FW-6400GX/150」の時だった(これも早く完成させたい)。


l18
 Abit BH6でもおなじみのチビトロイダルコア。これでも足りるだろうけど、排熱が悪いと恐らく下のように…。

http://www.burtonsys.com/badcaps_t27.html
 これはマザーだけが悪い訳じゃない。恐らくケースの排熱が極度に悪いのだろう。普通VRM付近がこんなに発熱(確実に180℃を越えている)したら気づくモノだが、よほど空気が読めないというか鈍感なんだろうか。

注3:一体全体、世界で何人がこの喩えで判るというのだ…(^^; サンプリング方式はサンプリング回数を決めて(スイッチング周波数と同じ)計測するが、タイムカウント式はリアルタイムに反応して変化した時間を記録する。厳密に言えばタイムカウント式もクロック限界でサンプリングしている訳だが、回数を決めるのと、力の限り連続してサンプリングし続けるかの違いは大きい。

★その他
 このマザーは信じられないくらい部品がケチられている。メモリスロット脇に通常のマザーならどんなマザーにも複数あるVmemの電解コンが1本しか無い。またPCIバス・スロットにも全くない。メモリを積めば積むほど、PCIスロットに何か挿せば挿すほど不調になるだろうね。AGPもショボイし、これで何で動いているのか不思議なくらいだ。特にメモリの脇のは安定性にかなり影響を与えていると思われる。ハード的にはクソマザー確定だ。


★補修
 HSDLでは既にP6世代以前の扱いはアグレッシブモードでは無くコンサバティブモードになっている。具体的に言えばオリジナル重視となっており、特にこのような迷板は出来る限りオリジナルで保存したい。だがこの場合は電解コンの破損で?動作しないので、怪しい電解コンを交換しなくてはいけない。

EC31:LEK1000μF10V→KZH390μF25V

JACKCON LEK1000μF10V[75mΩ/950mA]*
NCC KZH390μF25V[48mΩ/1210mA]

*JACKCONの品種は無記名なので推定。1000μF10Vで8φ×14个猟礇ぅ鵐圈璽瀬鵐紘覆呂海譴靴無かった。他の品種も10年前から変わっていないので、当たらずとも遠からずだろう。


ec31_remove
 取り敢えず抜いちまうか。この基板は昔の奴なので概ね抜き易く付け易い。しかしこの部分に関して言えばプラス側は広いランドに繋がっており、ハンダがなかなか溶けなかった。この基板はホールが小さいので無理すると抜けちまいます。


ec31_after
 オリジナルより容量は1/2に落ちるが、恐らく1000μFは要らないので気にしない。この3.3Vは容量が効いてくるような低周波ではオンオフしないから(しても足りる)。デバイスの直近では高周波で振れているけど、ここまで離れるとただの流れっぱと変わらない。


ec31_rev
 裏はこうなっている。表だけじゃなくて裏にもランドが広がっているので溶けないんだね。この頃のレジストは脆くてすぐに割れたり傷が付く。


bulged_cap
 Vcoreの出力コンもこの通りだが面倒なので放置する。このマザーに載せるMendocinoコアは静的リプルを-0.089〜0.100mVまで、言い換えれば190mV程度の巨大リプル(笑)を許容している。この程度なら現状の腐った中華コンでも充分に足りるばかりか、そこらの一般用85℃品でも足りるかも(注4)。ちなみに動的リプルはImax14.9Aで−0.144〜0.144mVである。緩い!緩過ぎる(詳細はイソテル24365820文書を参照の事)。必要以上に良いコンデンサを付けてもカネの無駄だからね。…と言いつつ本当は交換するのが面倒になっただけの話でした。

注4:Celeron533を1つに対して出力コンデンサは6本。テキトーに計算すると66mΩで470μF程度のコンデンサが必要だ。手持ちだとZL470μF16Vがこれに適合するがサイズが10φ。サイズが8φだとKZH390μF25V[48mΩ]があるが、これだと容量がちょっと足りない気もしないでもない。

★続く
 次回は実際に動かしてみる。HSDLにとっては蛇足のようなもの?いやこのマザーの場合はちょっと興味があるな。