英煤のKT400搭載マザーであるA7V8Xの普及版。元々売れ線の英煤だが、このシリーズもその例に漏れずかなり売れた。発売当時は価格の安さで注目されたらしい。

a7v8xx
 お蔭でジャンク市場に於けるタマは豊富であり価格も非常に安い。マザーボードだけでなくCPUもDDRメモリも安いのでジャンカーにはうってつけの存在と言える。廉価版で空きランドが多いが、我々はネットワークとサウンドが付いていればそれで充分だ。筆者は当時から今に至るまでKT400を全く使った事が無いので楽しみ。


★ノース
mlcc_out
 袋を振ったら微妙にパラパラいう音が聞こえる。なんか小さな部品が取れているんじゃないか?よく見たら何とMLCCが落ちているではないか。ビニール袋の封を切る前から既に修理確定の赤ランプが灯った。面倒な所でなければよいが…それよりも取れた部分を確定する方が先か。


north_dc
 袋の中に落ちているという事はジャンク箱の中でもまれて剥がれたのだろう。という事はどう考えても裏面に付いていたに違いない。それもDCコンでMLCCが多用されるチップセット裏が怪しい。その辺りを見たらノースブリッジ裏に早速発見!他に脱落は無さそうなのでこれを付ければ元通り復活だ。尤もせっかく手を掛けるのに態々元通りにする気は無いけどね(^^

 このノースのヒートシンクはダメだね。FSB266のA7V266-Eですらもっとマシな奴が付いていたのに、333のコイツにこんなものを付けて良いのだろうか?イヤ良くない(反語)。たとえプロセスの進化で発熱が下がったとしても、せめて同等のヒートシンクが欲しいところ。HSDLはOCする事もあるのでこれは交換しかない。


kt400
 ノースはクロック的にはKT333のマイナーチェンジに過ぎない。Windows98と98SE程の違いも無いんじゃないか?(^^ KT333にAを付けるだけで良かったと思う。サウスの関係でUSB2.0になったのが最大の進歩か。AGP3.0は実用上は全くと言っていいくらい速度に寄与しないし、SATAもまだ無い。このマザーはDDR400に独自対応しているがDDR333との差は微妙なものだ。


mem_slot
 KT400チップセット自体は4GBまで搭載可能だが、このマザーは3スロットしかないので3GBしか搭載できない。尤もこのAthlonXPプラットホームで大量にメモリを積んでも無駄の一語。大容量メモリを使う作業やマルチタスクなんて、余程の気の長い奴しか我慢できないだろう。当時は用途別にそれぞれPCを組むのは当たり前に行なわれていた。AthlonXPなら1GBも積めれば充分だ。まあ限度一杯まで積んで我慢大会をやる楽しみもあるが(^^


ce18
 このCE18はどうもメモリ2.5VのDCらしい。何か昼行燈っぽいけどね(^^ だから生産屋に省略されたんだろう。筆者が見た感じではCE19の位置に置いた方が良いと思う。加えてDIMMスロットの反対側のファンの辺りにもう一本欲しい。どちらかと言えば信号線重視で隙間に押し込まれた感じ。6層基板なら楽勝なんだけどな。

 CE13はCE18の至近にあり、しかも直流的には繋がっているが交流的には切れて別物である。CE13はチップセットの2.5VのDCだろうが、CE18以上に効いていないように見える。だから生産屋に省略されたんだな。この場合は省略されているC184(1005MLCC)の必要性が高まる。元設計では0.1μFだろうがHSDL的には1μFだな。


ce4301
 CE4301はシリアルドライバの電源らしい。ずいぶん大きなコンデンサが指定されているな。それより何でこんな所に付いているんだろう(^^; これは復活好きのHSDLでもスルーだな。そもそもシリアルなんてBIOSでディスってるし。


★VRM
vrm
 VRMコントローラはFAN5093MTCでPentium4用(VRM9.x)だ。1.10〜1.85Vを25mVステップで出力できる。コントロールは5ビットのVIDで行なう。このコントローラを採用する最大の利点は「パワーMOSFETドライバが不要」という事だ。ドライバは2組内蔵なので、2相までならコストだけでなくスペースの点でも有利だ。実際このコントローラはパッケージから考えても、スペースの厳しいノートPC等モバイル機器を意識しているのだろう。当該マザーの場合は省スペースの特徴を有効に生かせているとは言い難いが…。スイッチング周波数は実測で249kHz×2であった。データシートにある定格500kHzは×2した周波数と思われ、DDRのクロックと同じ実効クロックだ。入力コンの計算では実効クロックを用いる。


r69
 スイッチのパワーMOSFETは上下共にTO252パッケージのInfineon IPD09N03LAである。飛び抜けた高性能ではないが信頼性は中華メーカー製より高い。基板設計では上下パラパラなのだが片側は省略された(^^ このマザーの対応CPUで最上位のバートン3000+などではパラにしたくなる。尤もバラック以外でバートン載せるのは止めといた方が良いが(注1)。

 ここでユニークなのはR69である。これはGの電荷を抜くためと思われ、パラならば効いてくるのだろうがシングルだとコストが上がるだけかも。筆者が生産なら抜いちゃうね。ここを改造するなら下をパラにする。上パラは電位差の少ない5V入力だし、スイッチがこれ以上に遅くなるので止めておく。


l24
 入力インダクタはフェライトバーの貧乏くさい奴。コストとスペース的にはこれが一番だが、EMIブチまき等デメリットがあり現在は廃れた。出力はT50-52(互換品)×2だが、Htが6.35位なのでT50-52D(互換品)だろう。この場合AL値は66.0nHとなり、巻き数が3P×7なので3.2μHとなる。電流を考えると絞り過ぎじゃないか?まあ後ろの電解コンが情けない面子なのであまり広げられなかったのだろう。ASUSの回路図を見せてもらったらこの値は1.6μHだった。これは最大電流が流れた時のインダクタンスと一致する。


ost_rlx
 その電解コンだが出力はOSTのRLX1500μF6.3Vという情けない奴である。しかも設計8本のところ5本しか付いていない。電解コン実装率(注2)は62%だ。これでうまく動けば生産屋の間では「You the man!(^^)」等と称賛されるのだろうが。加えて8φなので自由度が下がった。一般的には出力電解コンは出力インダクタ至近が望ましいので、省略が両端と言うのは理に適っている言えない事もない。

注1:VRMは5Vソースなので、回路自体は耐えられてもATX電源コネクタがヤバい事になる。試しにコード触ってみ?これで不安にならない方がどうかしている。バラックで監視しながら動かさないと危険だ。

注2:HSDL用語である(^^ 実装率%=実装本数/設計本数*100だ。

http://www.digital-daily.com/documents/3240/big_board.jpg
http://www.motherboards.org/images/reviews/motherboards/1216_p1_1.jpg
 これはA7V8X無印。電解コン実装率は83%(^^; 10φなのがちょっと裏山氏。この方が自由度が高い(10φスペースに8は付くけど逆は難しい)。電解コンは恐らくルビコンMBZとニチコンHDだと思う。

 入力は破損すると危険なので手抜きできない。NCCのKZE1500μF6.3V×3である。本当は更にもう1本欲しい所だがRLXが完全死亡するまでは持つだろう。触ってみた感じでは発熱もなく問題無し。耐圧6.3Vでお分かりのように5V入力である。電源ケーブルやコネクタの発熱には細心の注意が必要だ。この期に及んでも12Vソースにしないのが不思議(と言うかクレージー)。恐らくVIAのKT400リファレンス回路がそうなのだろうが。

//input
CE4:KZE1500μF6.3V
CE6:KZE1500μF6.3V
CE12:KZE1500μF6.3V

//output
CE1:Empty
CE3:RLX1500μF6.3V
CE10:RLX1500μF6.3V
CE11:RLX1500μF6.3V
CE16:Empty
CE55:Empty
CE56:RLX1500μF6.3V
CE57:RLX1500μF6.3V

OST RLX1500μF6.3V[21m/1650mA]
NCC KZE1500μF6.3V[23m/1820mA]

 カタログデータ上はKZE(WXやZLと同等)よりRLXの方が性能が高い。がしかし、実際はそうでもないのは皆様もご存じのとおり。


cpu_dc
 ついでにCPUのデカップリング。OCには最も効果が高い部分だが、このマザーの場合は可もなく不可も無くと言った程度。


★サウス
vt8235
 USB2.0には対応したがSATAは付いていない。HSDLにとっては全く問題が無いが。ちなみにUSBメモリブートに対応している。FDDがFDメディアと共に消滅寸前の今となっては必須だろう。英煤はUSBメモリ対応が遅く、AOpenやGIGABYTEは対応が早かった。英煤はこの辺りも時代遅れの部分が見え隠れしている。

 内蔵NICの物理層はRTL8201BLで100BASEだ。GbEはバスも厳しいのでこの辺りで納得するのもあり。無理して載せてもAthlonXP1500+程度ではCPUを持っていかれて悲惨な事になるかも。


ce2501
 AC97コーデックはAD1980である。AC97の規格があるのでどうでもいいとも言えるが、ドライバサポートは各社違ってくるので重要だ。78L05の出力コンCE250が省略されているのは嫌だな。無くても動くけど曲がりなりにもAVDDだぜ。ノイズ低減の為にも入れるしかない。DVDD3.3Vは流用なので専用電源は無い。改造しても良い事になったので、出力カップリングのOST100μF16Vも交換するか。もしこれを換えるならマザー全体からOST全廃する。


pci_dc
 PCIバス・スロット周り、メモリ周りはRLS1000μF6.3V[80mΩ/600mA]である。省略されたモノは多くないが、基板設計段階で既に少ない。

 このPCIBUSスロットのDCコンだが、PCIの規格書に規定は無かった。挿すPCIカードが完全にDCされているとすれば必要は無いし、二重になってしまうので付けない方が良いかもしれない。だが現実のカード製品には完璧なDCを施した製品は皆無である。恐らく「マザーボードの方でやってくれているハズ」と考えているのだろう。マザーボードの方も同じように考えたら困った事になる。やはり現実的には省略は出来ないのだ。


★続く
 この時期のマザーは各社オリジナリティ溢れる基板で面白い。現代のマザーはリファレンスのベタコピーだから見ても全く面白くない。次回は動かして遊ぶ(動くかな?)。