某ファミレスにおける定例会席上で友人にFIREGL V3200を貰った。AGPカードのRADEON9600 XTのPCI-E化+改良版であるX600 XTの「本当の姿」とも言えるこのカードだが、非常にキレイな外見であるにもかかわらず全く動作しないらしい。2枚の内1枚は動くので、不動品の方を研究材料に頂いてきたわけだ。


★不良個所?
 ジャンクビデオカードが電源を入れても全く反応しない場合、高確率で部品の脱落によるものと見て間違いない。実は頂いた段階で別の友人が不具合らしきものを発見した。


c607_608_1
 これだ。PCI-Eカードエッジ付近にあるMLCCが2つもげている。通常MLCCは動作に影響を与えないが、この場合はPCI-E×16のレーンの内の1つなのでダメ。当初は簡単そうなので楽観していたが…。


c607_608_2
 帰って写真を撮ったらランドが消滅していた。肉眼では判然としないが、このようにハンダを除去して撮影するとよく分る。

 取れていたMLCCはPCI-EエッジコネクタのA16・A17に繋がるPER0のpnペア信号線のCだった。通常MLCCは取れても実害はないがこれはダメだ。容量は0.1μFでサイズは1608なので部品はいくらでもあるが、前記の通りC607のランドが消滅しているのが問題だ。ここは長さやグラウンドとの距離、間隔やインピーダンスも規定されている部分なので、本来は可能な限り原型を回復する必要がある。しかし今回は面倒なのでジャンパを飛ばす。それで動かなければ捨てる。


c8_before1
 更にSMD電解コンも脱落寸前になっていた。C2(タンタル47μF)と取れたC8は並列になっているので無くてもどうってことは無い。気付いたからには付けるけど。


c8_before2
 ちょっと力を入れたら呆気なく崩壊した。この方が剥がすのが楽なので好都合だ。上のMLCCみたいにランドが剥がれなくて良かったね(^^


★修復
 原因が判れば作業するだけだ。この段階で修理は99%終了しているので、あとは作業が可能か不可能かというそれだけの問題。


c607_608_3
 まずは生きている3か所のランドを使ってMLCCを固定する。1つはこれでもう大丈夫。残りの一つはこれではまだダメで、配線を繋げる必要がある。オレンジ色のマジックインキは位置を間違えないようにするためと、ハンダのレジストの意味もある。作業後にフラックス掃除をすると全部消える。


c607_608_4
 カッコ悪いけどこれしかない。スズメッキ線がどっか行っちゃったので仕方なくコンデンサの脚を使った。ハッキリ言ってテキトー。10分以上経過したので既に飽きてきている。


c8_after
 これは1、2分で終わる。修理が全部こんなモノなら苦労は無いんですけどね。


★完成
firegl_v3200
 これで部品の脱落は全部修復した。他に悪い所は無いはずなので間違いなくこれで動くだろう。


hwinfo_fglv3200
 普通に起動した。ドライバは入れていないけど感覚的には正常に動作している。いずれWindows上でもテストしてみたい。