以前パワーMOSFET実装法という記事を書いたが、その記事では剥がし方は簡単に触れただけだった。SMDとは言え剥がし方は説明しなくとも解るだろうという読みだったのだが、現実に検索で来る人が居るので剥がし方も説明してみた。さしあたって急ぎのネタも無い事だし(^^
★現状
これが今回剥がす面実装タイプのパワーMOSFETだ。これをハンダゴテだけで剥がすのが今回の目的。このマザーは前出の記事で上だけ交換したP6ISA-IIだが下側も交換する。ちなみに同形状(TO-263)のレギュレータICも同様に扱える。今回は「外した部品は再利用しない」前提で進めるが、チェックする方法を知っている人は再利用も可能だろう。尤もその手の知識のある人が今更この入門記事を読むとも思えないが…。
★必要な道具
最低限用意するのはハンダゴテ、コテ先、ピンセット、ハンダ吸い取り線である。コテは温度調節機能を持った物が望ましい。gootで言えばPX-201、ハッコーで言えばFX-600等である。ヘタな人ほど良い道具を使うべきだし、名人でも悪い道具ではロクな仕事はできない。新たに買うのであれば一生使うつもりで良いモノを買おう。
コテ先は実装の時と同じこのD型を用意する。小型であれば普通のB型でもできるかもしれないけど、これを読んでいるあなたはシロートなので素直に買ってください。これから何度も使うのでケチらないように。
★作業開始
付ける時と同じようにまずは両足からだ。ハンダを溶かしつつピンセットで足を基板から僅かに持ち上げる。このTO-263は大丈夫だが、TO-252だと脚を浮かせる作業で石が割れる可能性が非常に大きい。再使用するならヒートガンの方が良いかな。
ハンダを盛った後に吸い取り線で吸い取るやり方もある。これはコツが必要なので何回か練習しないと完全にハンダを除去するのは難しい。この方法だと脚は曲がらないので再使用する場合は良いかな。完全に除去しないで剥がそうとするとランドを剥がす危険があるので、初めてやるなら上のやり方が失敗が少ない。周りに邪魔物が多いとやりづらい方法でもある。この吸い取り線法はTO-252用かな。
両足が浮いたらパワーMOSFETのタブと基板の合わさった所にコテを当てて熱する。この際、コテ先を当てる位置に多少ハンダを盛った方が確実だ。充分に熱が伝わればズルッと言う感じでパワーMOSFETがズレるので素早くピンセットで除去する(高熱注意)。ハンダが溶ける時間はコテや季節にも依るが、何分も掛かる場合は恐らくコテ先を当てる位置が悪いのだろう。大切なモノをやる前には要らないマザー基板で付け外しの練習をしよう。動作しているマザーの石を取り外してまた付ける。それで動けば作業は問題が無い事になる。
実装の時のように位置決めの時間が無いし、ハンダの量の判断も無いので楽だ。剥がし終わったらいつものようにハンダ吸い取り線でランドをキレイにする。ここまでやって作業終了だ。
剥がした奴をもう一度使う場合はハンダを掃除しておこう。
★実装も行なう
さて剥がしただけで今回の記事は終了だが、このマザーは剥がしっ放しにもできないので実装も行なう。オリジナルのパワーMOSFETはIRL3103Sだが、今回はHSDLお勧めのSKI03036に交換する。これはRdsONが低い割にはスイッチング速度もソコソコ速い。しかも性能に対して価格は安く言う事無し。アキバ巡回[14/12/23]で手に入れた物件が漸く役に立つ日が来た。
その前にゲート抵抗R17も換えておく。ER7というシルク印刷の上にあるのがR17だ。ER7ではないので念のため。元は10Ωだが1.5Ωに変更する。石がノーマルでも下側は1.5Ωの方が良いと思う。元のパワーMOSFETのままで抵抗だけ0〜1.5Ωに変えても効果が有るかもしれない。この場合、効果が有るのは下側のゲート抵抗である。上側は波形が乱れる場合があるので確認できない場合はさわらぬが吉。
この辺り混み入っているのでハンダゴテで破壊しないように注意が必要だ。もし電解コンを交換する計画があるなら電解コンを抜いた後でこの作業を行ない、その後電解コンを実装するようにする。背の低い部品から付けるのが鉄則だ。
ちなみに上下スイッチを変えたのでカレントリミットが変わっているはず。もし高クロックのP!!!を載せて不具合が出たらER2の値を変えて実験的に決める。RdsONは温度によって不定なので計算でキッチリ求める事は難しい(注1)。現在のところHSDLでは不具合が出ていないので放置中。
これで本当に終了だ。下側のRdsONが1/3程度に下がったので厳密に言えばVRMの発熱が減少しているハズ。消費電力も低下するはずだが、メーターに影響を与えるほどに変化する訳では無い。元々P6系はVcoreはあまり流れないので、超効率VRMを搭載するのは少々もったいない気がしないでもない。本来これはK7以降で意味がある改造なのだ。
現在のVRM回路図はこうなった。もはや一部RとMLCC以外は全部置き換わっている。そろそろ正規版の出力電解コンに換えるか?予定では入力WX1500μF6.3V×2、出力WG3300μF6.3V×6だ。現在のALLNCC使用も気に入っているので踏ん切りがつかない。
★終わり
近年は面実装のパワーMOSFETも色々な形状が生まれている。底面電極でハンダゴテでは剥がせない物も増えている(注2)。その種類は非常に多くここでは説明できないが、いずれ特定の形状がPC関連に広く普及してきたらやってもいいかな。
★現状
これが今回剥がす面実装タイプのパワーMOSFETだ。これをハンダゴテだけで剥がすのが今回の目的。このマザーは前出の記事で上だけ交換したP6ISA-IIだが下側も交換する。ちなみに同形状(TO-263)のレギュレータICも同様に扱える。今回は「外した部品は再利用しない」前提で進めるが、チェックする方法を知っている人は再利用も可能だろう。尤もその手の知識のある人が今更この入門記事を読むとも思えないが…。
★必要な道具
最低限用意するのはハンダゴテ、コテ先、ピンセット、ハンダ吸い取り線である。コテは温度調節機能を持った物が望ましい。gootで言えばPX-201、ハッコーで言えばFX-600等である。ヘタな人ほど良い道具を使うべきだし、名人でも悪い道具ではロクな仕事はできない。新たに買うのであれば一生使うつもりで良いモノを買おう。
コテ先は実装の時と同じこのD型を用意する。小型であれば普通のB型でもできるかもしれないけど、これを読んでいるあなたはシロートなので素直に買ってください。これから何度も使うのでケチらないように。
★作業開始
付ける時と同じようにまずは両足からだ。ハンダを溶かしつつピンセットで足を基板から僅かに持ち上げる。このTO-263は大丈夫だが、TO-252だと脚を浮かせる作業で石が割れる可能性が非常に大きい。再使用するならヒートガンの方が良いかな。
ハンダを盛った後に吸い取り線で吸い取るやり方もある。これはコツが必要なので何回か練習しないと完全にハンダを除去するのは難しい。この方法だと脚は曲がらないので再使用する場合は良いかな。完全に除去しないで剥がそうとするとランドを剥がす危険があるので、初めてやるなら上のやり方が失敗が少ない。周りに邪魔物が多いとやりづらい方法でもある。この吸い取り線法はTO-252用かな。
両足が浮いたらパワーMOSFETのタブと基板の合わさった所にコテを当てて熱する。この際、コテ先を当てる位置に多少ハンダを盛った方が確実だ。充分に熱が伝わればズルッと言う感じでパワーMOSFETがズレるので素早くピンセットで除去する(高熱注意)。ハンダが溶ける時間はコテや季節にも依るが、何分も掛かる場合は恐らくコテ先を当てる位置が悪いのだろう。大切なモノをやる前には要らないマザー基板で付け外しの練習をしよう。動作しているマザーの石を取り外してまた付ける。それで動けば作業は問題が無い事になる。
実装の時のように位置決めの時間が無いし、ハンダの量の判断も無いので楽だ。剥がし終わったらいつものようにハンダ吸い取り線でランドをキレイにする。ここまでやって作業終了だ。
剥がした奴をもう一度使う場合はハンダを掃除しておこう。
★実装も行なう
さて剥がしただけで今回の記事は終了だが、このマザーは剥がしっ放しにもできないので実装も行なう。オリジナルのパワーMOSFETはIRL3103Sだが、今回はHSDLお勧めのSKI03036に交換する。これはRdsONが低い割にはスイッチング速度もソコソコ速い。しかも性能に対して価格は安く言う事無し。アキバ巡回[14/12/23]で手に入れた物件が漸く役に立つ日が来た。
その前にゲート抵抗R17も換えておく。ER7というシルク印刷の上にあるのがR17だ。ER7ではないので念のため。元は10Ωだが1.5Ωに変更する。石がノーマルでも下側は1.5Ωの方が良いと思う。元のパワーMOSFETのままで抵抗だけ0〜1.5Ωに変えても効果が有るかもしれない。この場合、効果が有るのは下側のゲート抵抗である。上側は波形が乱れる場合があるので確認できない場合はさわらぬが吉。
この辺り混み入っているのでハンダゴテで破壊しないように注意が必要だ。もし電解コンを交換する計画があるなら電解コンを抜いた後でこの作業を行ない、その後電解コンを実装するようにする。背の低い部品から付けるのが鉄則だ。
ちなみに上下スイッチを変えたのでカレントリミットが変わっているはず。もし高クロックのP!!!を載せて不具合が出たらER2の値を変えて実験的に決める。RdsONは温度によって不定なので計算でキッチリ求める事は難しい(注1)。現在のところHSDLでは不具合が出ていないので放置中。
注1:このマザーのVRMコントローラUS3004は上側パワーMOSFETのDS間で過電流を検出している。そのためパワーMOSFETの特性が大幅に変わるとカレントリミットに影響が出る。リミッタが効きすぎるとCPUの動作にも影響が出るし、効かなければVRM等が故障する。詳しくはデータシートに譲るとして、22.6AリミットだとER2はもっと減らさなければならない。
これで本当に終了だ。下側のRdsONが1/3程度に下がったので厳密に言えばVRMの発熱が減少しているハズ。消費電力も低下するはずだが、メーターに影響を与えるほどに変化する訳では無い。元々P6系はVcoreはあまり流れないので、超効率VRMを搭載するのは少々もったいない気がしないでもない。本来これはK7以降で意味がある改造なのだ。
現在のVRM回路図はこうなった。もはや一部RとMLCC以外は全部置き換わっている。そろそろ正規版の出力電解コンに換えるか?予定では入力WX1500μF6.3V×2、出力WG3300μF6.3V×6だ。現在のALLNCC使用も気に入っているので踏ん切りがつかない。
★終わり
近年は面実装のパワーMOSFETも色々な形状が生まれている。底面電極でハンダゴテでは剥がせない物も増えている(注2)。その種類は非常に多くここでは説明できないが、いずれ特定の形状がPC関連に広く普及してきたらやってもいいかな。
注2:例を挙げれば、ASUS P5Q無印のVRMに使用されているパワーMOSFETはルネサス製のWPAKと言う形状の底面電極品だった。
ところで、この記事の更新日時なのですが・・・
2015年08月08日08:08とは、、、中々面白いのですが、誰も突っ込みを入れていない様子がないので、書かせて頂きました。
それしても・・・ジャンカーは・・・無関心なのか、それともシャレなど関係ない世界の人なんでしょうか?