HSDLブログに於いて「その後」記事が出るのは担当者が甚くお気に入りの製品という事だ。今回はオール固体電解にモデφする。何故壊れてもいない電解コンを交換するか?それはHSDLの戦略的事情によるものだが今はまだ知らなくてもいい(^^


★テキトー観察
 カード上を一見すると、まるで付け忘れたかの様に疎らにしか部品が付いていない。これで動くのならばチョロイもんだよな。だがしかし、部品自体はそれなりに良い物が付いている。OEM先の要望なのかもしれないが、アルミ電解は全ニチコンでタンタルは全AVXでキッチリ揃えられている。生産を分離してから部品メーカーがバラバラになったASUSとはえらい違いだ。省略された電源や部品が多いが、追加機能を使わない限り必要ないモノが多い。


esd_diode
 今まで気にしてなかったけど、静電気・ホットプラグ対策のダイオードが全部省略されている。ついでにEMI防止のFBもCも何もついていない(^^; このラインを辿って行くとVPU直結に近い(Lが2段ある)ので保護は必要だと考える。現状ではVPUが死亡する可能性は皆無ではなかろう。今まで気にしていなかったけど、この時期以降の奴ってみんなこうなのかな?同形状のBAT54S系を入手できたら暇潰しに付けてもいい。


ap431
 黒い5本足はシャントレギュレータで、T3C3(TL431)やA26CL(AP431)が使われていた。基板上の大部分の電源がこれで賄われているのでパーツが少なく見えるわけ。シャントレギュレータ電源はECSの得意技だったな。ちなみにATIリファレンス設計からしてこうなっており、MSIが手抜きしたわけではないので念の為。


c323_324
 C323/324は疑問だ。これはC321/322と並列に入っているタンタルコンだが、ハッキリ言って何も効いていないと思う。リファレンス回路でもオプションとなっているし、筆者なら真っ先に省略するだろうね(^^ 銘柄は不明だが、例えこれがTPSだったとしても高々400mΩ×2でしかない。カタログ上は30mΩ(カタログ上だけだけど^^)のHC470μF10Vに並べても意味が無かろうに。POSCAPかMLCCならまだ解るけど、これだとただの予算の浪費だと思う。このように無用ではあるが、既に実装されている物なので除去はしない(^^


 ヌビリファレンス回路図だと、例えばSII_A3V3_REG(3.3V出力)の出力コンは「47μF6.3Vのアルミ電解コンで、ESR≦760mΩ/リプル150mA(105℃時)を満たす面実装型の5φの物を使え」とか、性能からサイズまで事細かに書いてあるのだが、ATI(AMD)リファレンス回路だと容量と耐圧だけで他は何も書いていない。生産側としては楽で良いが、この辺りが市販製品の品質に影響を与えている可能性もある。この辺り、曾てのintelとVIAのポリシーの違いを思い出させる。


★交換する
 さて、大部分の人は意味がサッパリ判らない解析記事はこの辺でお終い(^^ メインのコンデンサ交換に移る。先ずはVDDC(1.2〜1.3V)から行ってみよう。言うまでも無くVPUのメイン電源だ。


c301
 C301はパッと見て近くに稍大きめのフェライトビーズがあるから入力コンだろう。耐圧が16Vだからソースは12Vということか。HMと言えばカタログデータ上はWGと同じだが二個チンなので一枚落ちのKZH程度だな。ここはラジアルリードしか使えないのが難点だな。


c301_after
 ジャンクコンデンサ入れにOS-CON SVP82μF16Vがあった。その容量と大きさから使い道が無いのだが、能力もサイズ的にもここにピッタリじゃないか?多数並べて使うほど量が無いのでこんな所しか使い道が無い。粗末な上に原価50円のカードにOS-CONはもったいないけど、この部品は全く使うアテが無いのだから構わない。


c321_322
 このC321、322がメインのVDDC出力コンだ。ノーマルはHC470μF10Vが使われている。VDDCは上記の通り極低圧なので、市販の電解コンなら耐圧は何でも良い事になる。上手い具合にSMDのパターンMC321、322も切ってある(Multi Footprint^^)から選択肢は∞だね。これでHC470μF10Vが2本手に入る。

 ここにはマネ下のUD330μF2.0Vを付ける。あまりにも高性能すぎて発振が心配だが、これはノートPCからの外し品で、しかも付け外しを繰り返しているので劣化しているであろうという読みだ(かなりテキトーな希望的観測^^)。発振したら対策するという事で。


c325_r254
 …と思ったけど、転ばぬ先の杖で位相補償用のC325とR254も付けてみた。PWMコントローラがMAX1954だったら必要は無いが、当該板はISL6522なので意味がある。ちなみにR15とC156はスナバである。EMI等が気になる時は付けると良いかも?原作ではR15が1.0Ω、C156が2.2nFとなっている。


c183
 これは3.3V直流しだが、もし電源が付いているのならC183とC184が並列繋ぎで出力コンとなる。これは電源無しなのでC183だけでメモリ電源のDCとなっている。シリーズレギュレータなので代わりは何でも良さそうだな。

 ここはノートPCから外したT520 220μF6.3Vが2つあったので並列にして載せてやる。一寸性能が高過ぎるが劣化しているだろうという読み(^^ これでHC470μF10Vが更に1本手に入った。何故ニチコンHCを集めているかというと他で流用する計画が進行中なのだ。更にそこからまた流用…と「風が吹けば桶屋が儲かる戦略」的な今回の記事なのだ。


c8
 C8は裏のC2と並列になっている3.3VのDCだが、ATIのリファレンス設計では47μFのタンタルコン以上の物を使えとある。劣化はしない部分なので放置でも良いけど全固体式にする為に交換するしかない。

 ここは永久に使うアテが無いと思われたHDDからの外し品T491をここで使う。47μFなので丁度良い。3つあったのでC2とC8両方に付ける(^^ 無駄かもしれないが、外し品は劣化している可能性もあるからな。


c2_after
 裏面のC2も付けたが…邪魔くさい(^^; Dケースは高さがかなりあるのでカードを置いた時にぶち当たるんだな。Vだったらよかったのだが、完璧に付いてしまったのでこのまま行く。


c5
 これで完成かと思ったのだが、3.3VのDCがあれば12Vもあるわな。VGAコネクタの右にある空きパターンC5がそれだった。考えてみればPCI-EピンからB17まで画像信号線の下を電源が通っているのだから、やはり電源ラインにノイズが乗ってしまうのは拙いかもしれない。ということでこれも付ける事にした。

http://www.nix.ru/include/view-photo.html?good_id=47971&pid=2245
http://www.nix.ru/autocatalog/msi/msi_video/42724_top.jpg
 同じ基板でC5が実装されているRX550-TD128E。このC5は省略して良いモノではないと思うのだが…。それにしても似てはいるけどいろいろ部品が変わっている製品だな。

 12Vラインに使える16V以上のタンタルが無い…。必死に探したらHDDから外した10μF35Vを発見した。リファレンス回路では100μF16Vとなっているので、これだと容量が1/10と圧倒的に足りないが致し方ない。心残りだが低周波はマザーのDCに頼ろう(^^


★使用部品
 今回の改造の表目的は固体化だが、裏目的はHC470μFを分捕る事なのだ。今回は殆ど中古部品なので部品代はロハに等しい(^^

=out=
C183,321,322:nichicon HC470μF10V[30mΩ/1230mA]
C301:nichicon HM470μF16V[30mΩ/1140mA]
C8:nichicon SMDアルミ電解100μF16V[NA]

=in=
C5:KEMET T491 10μF35V[1.0Ω/387mA]
C2,8:KEMET T491 47μF10V[700mΩ/463mA]×2
C183,184:KEMET T520 220μF6.3V[7-40mΩ/2.2-5.2A]
C301:OS-CON SVP 82μF16V[40mΩ/2120mA]
C321,322:SP-CAP UD 330μF2.0V[9-15mΩ/3.0-3.4A]
C325:MURATA MLCC 0.1μF50V
R254:KOA 1608 1.5kΩ

合計3円(税込、副資材・電気代・人件費別^^)

 値段が付くのはKOAの抵抗とMURATAのMLCCだけ。HM470μF16Vはいずれ廉価ビデオカードの補修に使われる予感。SMDアルミ電解は再使用はしないで破棄する。


★テスト
 まあ交換前は完全に動いていたカードなので問題無いだろう。固体コンは変動が少ないのでエージングも必要無し。逆に言うとダメージからの復活もしにくいわけだが、今回使用したポリマータンタルはハンダ付け2回目でも性能に問題は無いようだ。今後LDO等に使用する場合は発振などにも留意しておく必要があるだろう。今回の一番の収穫は、はずし部品が問題無く使えたという事(だけ?)。


★一旦終了
ms8964_151111
 何か部品をはぎ取られて捨てられる寸前のカードに見えるな(^^; 欲を言えばC321とC322をSP-CAPではなくT520のような黄色系のタンタルにすれば統一されて良かった。T520の330μF6.3Vがあったはずなのに見当たらなかったんだよね。見栄えの点でちょっと心残りだ。

 だがしかし、これで電解コンの劣化は無くなったので実用価値は高まった。パーツの背が低くなったから、大型ヒートシンクでファンレス化も視野に入ってきた。クリスタルとインダクタに当たらなければ相当大型のヒートシンクでも付けられる。HSDLにはビデオカードのクーラーは山のようにあるのでしばらく遊べそうだ。