これは12月14〜15日にかけてのドキュメンタリーである(^^;


 12月の頭から毎年恒例のインターネット不通が始まった。症状はモデムが全くリンクしなくなるというどうしようもない状態。これまで数年は一週間程度で動き出した事から騙し騙し使ってきたのだが今回は全くダメ。偶にリンクしても数分で切れてしまうのだ。症例が主に寒い時期に集中しているので以前から「電解コンが腐っているのでは?」と言う疑いも持っていた。事実HSDLが始まった時に使っていたDIONのADSLモデムは2、3年で電解コンが膨張して不調になった為当然のように自分で交換した。使用されていた電解コンは何と中華製で交換要員は東信UTWRZを起用した。それで2008年6月に返却するまで快調に動いたわけだが、今回もそれを疑いつつ既に数年が経過していた。相変わらず気の長い話だ。そこら辺のイナカオヤジなら数日繋がらなかったら真っ赤な顔してサポート電話で怒鳴り込むはずだ。実はこのインターネットはマンションに備え付けのタダなので筆者的にはあまり強く言う気にもなれない。おまけだしな。もちろん客なので強く言っても良いんだけどね。

 それにしてもモデムは確実に寿命があるハズなのに何で定期交換しないのか?明らかにプロバイダの怠慢手抜きだろう。サポートに電話したら交換してくれるのかもしれないけど電話が繋がらないし、恐らく作業員が来て交換・設定作業をしなければならないのだろう。それはイヤだな。この年末のクソ忙しい時になるべくなら人は来てほしくない。やはりここは自分で作業しなくてはいけないだろうと決めつけて電解コンの交換を試みた。結論を先に言うと電解コンは全く無実で設計上は最低でも10年くらいは持つようだ。電解コンは中華ではなかったからね。当該モデム固有の不良という事になる。プロバイダとしては偶発故障の不可抗力という事になるのかな?


★開ける
 言うまでも無いがこのモデムは貸与品であり、開けてはいけない事になっているのでこの作業は非公然の秘密作業である(^^ 表面上は開けたと判らないように作業をしてしらばっくれなくてはいけない。

 モデムの機種はモトローラのSURFboard「SB5101J」である。当然開けられないようになっているんだよね。でも開けなければ作業どころか調査もできないので開けた。判らないように壊さずに開けるのはなかなか難易度が高かった。マネする人が居ると困るので方法は公開しない。それと開けたのも後悔しない(^^


★基板の部品を見る
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 キター!こんな簡単な基板なのか。ブロードコムのメインチップとケーブルに繋がるインターフェイスユニットとROM・RAMが2つ、あとはVRMが載っているだけだ。基板は2009年の33週製造という事で8年が経過している(注)。8年も経過している上に全部通常電解コンだし24時間つけっぱだから寿命は過ぎていてもおかしくないか?ただ破損している訳ではないので直ぐに動作不良になる事は無いのだがなあ。日本製で固められた電解コンを見ていたら当初の電解コン不良という筋書きは怪しくなってきた。


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 電解コンは全て日本メーカー製なのはDIONモデムよりは断然良心的だ(^^ だが当方としては時代的にOS-CON等ポリマー電解か、せめてタンタル電解コンが出て来るのを期待していただけに通常アルミ電解コンの堂々登場に落胆した。

C104:日本ケミコンMZA 470μF25V[80mΩ/850mA]
C106:パナソニックFCV 470μF10V[150mΩ/670mA]
C111:ニチコン UD470μF6.3V[170mΩ/450mA]
C556:ニチコン UD470μF6.3V[170mΩ/450mA]

 電解コンは全部でこれだけで残りはMLCCだ。いずれもSMDタイプの105℃低インピーダンス・アルミ電解コンである。スイッチング電源の高信頼品なのでこの程度は当然だが、上にも書いた通り10年以上使うには心もとないラインナップである。面実装タイプはインダクタンスが低いが熱が伝わりやすい事もあって寿命は長くない。MZAは2000時間、FCVは1000時間、UDは5000時間だが各社の基準がバラバラなのでアテにはならない。アレニウス法で一生懸命計算している働き者のおバカさんもいるけど全く意味が無い。実験室でのテスト以外は保証もされないし。恐らく実測ではなく設計値・理論値であり役所への報告書か上司への資材調達のための報告書にでも使うものだ。ま、こんなのは気分ですね(^^

 閑話休題、交換の前に電圧を測ってみる。ご存じの通りHSDLでは元に付いていたものをそのまま付けるようなことはしない。著しい劣化や破損した場合は元から実装されていたものに問題があるからという可能性もあるからだ。そのまま付けたらまた同じ道をアホのように歩くだけである。それに今回は寿命を長くするという目標がある。動けばよいというものではないのだ。今回の場合は曲がりなりにも7〜8年持ったのだから設計ミスではないが充分とは言えないかもしれない(この時点ではそう思った)。

 HSDLに於いてコンデンサ交換する場合にはコンデンサに掛かっている電圧を計測する事から始まる。マザーボードは各部電圧を全部知っているから測らないけど(^^ このように謎のハードウェアは計測が欠かせない。この場合の各部電圧はこうなっていた。

C104:13.7V
=入力コンだろう。今回はあまり重要ではなさそうだが、マザーボードなどで入力コンが汚染原因だったことはある。負荷が掛かると13.5Vまで低下する。200mV程度の低下は全く問題ない。

C106:3.25V
=メインチップやメモリ電源等だろう。2.5Vじゃないの?まあいいかカツ入れ仕様という事で。メモリのVdd端子の電圧を測れって?それやってパチンコ食らわせてGA-7ZXRを燃やしたのでやらない(^^; メモリは廃肉巣のDDR-SDRAMである。

C111:3.21V
=また3.2Vだよ。何で二つあるのだろうか?単純に考えればAVCCとDVCCだろうな。ちょっと待て!これ地味にヒデエぞ。実はこれ上の3.2V(恐らくDVCC)をL103とC111とMLCCのC110でDCしてAVCCにしているのだ。つまり「この食べ物、床に落としちゃったけど洗ったからキレイだよ!食べなよ」と言っているに等しい(^^; このC111は単なるDCであり出力コンではないんだね。通常はアナログ・デジタル電源は分けるものだが。

C556:2.5V
=これが2.5Vか。アンテナ部分のシールドケース内に入っている。小電流だから関係無いと思うがノイズDCが超厳重なので固体の方が良いのかな。後から判ったがこの電圧はケーブルに重畳されるものでDCはケーブル伝いに外から来るのを防いでいる可能性もある。

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 これも電源?蟹のNIC(RTL8xxx)のようにメインチップ内にコントローラが入っているのだろうか。明らかに基板表面が焼けており不安になる。小さすぎなんじゃねえの?

注:基板は2009年33週、メインチップは2009年35週、メモリは2009年22週なので35週以降の近い週だろう。


★この時点での無理やりな結論?
 えーと結論としては「不調原因を電解コンが原因とすると、第一位:3.2V出力のC106が劣化している、第二位:AVCCのDCであるC111が劣化している」という事で良いかな?これだけ換えれば動きそうだけど…ホントかね〜?こんな小電流で劣化しているとは思えないんだけど。現段階では半信半疑どころか28で電解コンは無実だと思っている(^^;


★何に交換するか?
 さて何に交換するかな?ポリマーでも何でも良さそうなのは恐らく入力コンと思われるC104だけだ。この基板の入力は12Vだから16V以上なら何でも使える事になる。実は一般用は在庫が無いんだよね…面実装は数年前に固体に切り替えたからだ。しかもあまり品種が豊富ではないので参ったな。ちょっとイヤだけど中古で行くか?ジャンク電解箱を探したらOS-CON SVP 330μF16Vというのが見つかった。これはもったいないなあ。ビデオカードの個体化に使おうと思っていたのに。でもまあイソターネットには代えられないので仕方が無い(結局は真犯人を見つけて入力コンは交換しなかったわけだが)。

 それより更に問題なのは出力だ。入力は構わないけど出力にポリマー系を使うと発振するか不安定になるかもしれない。でも無いんだよなあ(^^; ここは一発冒険でポリマー電解で行ってみるか?イヤここはハイブリットだな。EP-CAPの外し品があるし。

C104:OS-CON SVP 330μF16V[16mΩ/4720mA]
C106:SEI EP-CAP 470μF6.3V[25mΩ/2090mA]
C111:OS-CON SVPC 390μF6.3V[22mΩ/3220mA]

 それにしてもHSDLの面実装の通常電解は穴だな。今後もこういう交換用途があるかもしれないのでちょっと困る。


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 C556はリアパネルは外すとしてもインダクタがかなり邪魔なのでシカトする(^^ もし他の全ての手を尽くしても動かなかったら換えよう。しかしデジタル時代なんだからこのような年中24時間無休の用途には固体電解を使ってほしい。通常電解なんて手抜きも良いとこだろう。


★作業
 交換する気にはなったものの、日本メーカー製高信頼電解コンが10年以内でこんなに動かなくなるとは思えないんだけど。マザーボードのような大電流ではなく入力12V0.75Aに過ぎないのだ。電圧を計測しても正常っぽいのでなんだか交換して動くようになるとは思えなくなってきた。苦労して動かなかったら徒労感も大きいだろう。齢を重ねるたびに嫌いになるハンダ付けをやりたくないという気分も大きい(^^;

 はあー。ハンダ付けなんて何ヶ月やっていないんだろうか?今年ハンダ付け一度でもやったっけ?失敗する気がしてきた。何しろランドの広い面実装基板である。ハンダ付けは出来るとしてもPbフリーを剥がすのは容易ではない。ちなみにC111とC556はグラウンド側が熱DCされているからランドを剥がす可能性が非常に高い…やりたくねー(^^; 基板が良くできている事を願うよ。


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 まずはC106から行ってみよう。季節がら温度が上がらず非常な苦労の末に剥がした。ランドは何とか無事だった。何故C106しか剥がさないのか?それは一つ一つ交換して動いたらそこで止めようと思っているからだ(^^ 全交換なんて趣味以外では絶対にやりたくない。他人の物だし。で、仮組テストしたら動かねえでやがんの(^^;


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 次はC111を除去する。ヤバそうな奴から順に交換してはテストするのだ…やっぱり動かない(^^; 長年のカンではこれは電解コンが原因ではないと思う。止めた止めた!ハンダ付けなんてもうやらないぞ。ぶっ叩いて動かしてやる!


★電撃的に真の原因判明!m9(^^
 以前から友人に「頭来てモデムをバシバシ叩いたら動きだしたよガッハッハv(^^」と話していた。「どういう動作原理なんだよ…」って呆れられたものだが、この会話に全ての解決の鍵が含まれていたのだ。昭和時代のまじないのつもりだったがこれが正しい直し方だったとは…。

 叩いて動くのだから温度も電解コンも関係無い。信号接点はケーブルコネクタしか無いのだから接触不良でもないだろう。二つのシールドケースの中に原因があるのではないだろうか?例えばインダクタが入っていてシールドケースに触れているとか。まずはケーブルが直接繋がっているシールドケースを開けてみよう。

 で開けてみたのだが中身はただのバンドパスフィルターだった。恐らく調整したのだろうが確かにコイルがぐにゅっと曲げてありケースに触れている。これが原因に違いない!と思って爪楊枝で直してみたが全く関係無かった(やべー調整が狂ったかも)。ケース内にはインダクタとキャパシタ以外には無いっぽい。ここは正常だね。

 更にもう一つのシールドケースを開ける前に天才(天災)の閃き!基板を見ているうちに電撃的に全ての犯人が判った。これはシールドケース内にあるケーブルチューナーの水晶発振子不良ではないか?だってCATVのケーブルのFコネクタを外した時の症状と同じだし、メインチップは正常だが信号が来ていないのは確実なんだからメインチップより前に決まっている。アンテナからバンドパスフィルターまでは今確認した通り正常だからその間にあるシールドケースが怪しい。シールドケース内には変換ICと水晶発振子があるばかりである。ICは通常故障はしないし動く時だってあるのだ。残る可能性としてはハンダ割れだが、それなら叩いて動くのはおかしいし過去数年間も実用するのは不可能だ。

 そう考えると叩いて動いた理由に納得がいった。水晶発振子のアクティビティーが低い時に水晶発振子を叩くのは昭和初期の基本テクニックだからだ(^^ という事でシールドケース内にある水晶発振子と、念のためメインチップの水晶発振子をドライバーでカンカン叩いて電源を入れたら何とリンクしやがったではありませんか!一発で解決である。だが発振子の交換はシールドケースがあまりにも厳重で無理っぽい。これを開けたら完全にバレバレになるほど変わってしまうだろうから。イヤそれよりも水晶発振子が特注になりそうなのでそこら辺で買ってくるのは無理だろう。このままだとまたいつか何かの拍子に止まるだろうけど取りあえず電源を切らずにこのままにして使ってやろう。


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 キター!苦節○年、遂に一発で正常にリンクした。まあリンクしたからこそこうやって修理記事が上げられるんだけどね(^^; もし直らなかったらケチのついたケーブルをメインに使うのは止めて今度こそギガ光を導入しようかと思っていた。クソマッハに速くならなくて残念でした。でも基板剥き出しで使うって言うのも参るな…(^^; ケースに入れるために電源を切ると動かなくなりそうだし。頼むからケースに入れさせてくれ…。苦労して交換した電解コンは全く無意味で自分に腹が立ってきた。もっと早く思い付けよ。

 しかしこれケーブル会社に原因の説明するわけにもいかず困ったな。「ケーブルモデムの不良だから交換しろ。モデムをバラしてみたら確かに不良だったし正確な故障原因も判明したぞ(ドヤ)」なんて言えるわけが無い(^^; 作業員が来た時だけ動いてしまう可能性もある。このまま何時止まるか分らない不調と一緒に暮さねばならないのか…この記事が上がった頃にまた止まっているかもしれないし(事実その後何度も止まった)。

 それにしても水晶発振子(水晶振動子)が5、6年で劣化して使用できなくなったのは初めての経験だ。水晶系は初期不良期間の故障が非常に多く、それを乗り越えて動けば数十年に渡って安定すると思っていたのでショックだ。まあ発振回路そのものに問題がある場合も多いが。発振回路は(省電力目的で)止める事が出来ない場合が殆どで、そのため発振出力(強度)を極力絞る傾向にあるようだ。そのため発振が止まる確率も増えるわけだ。当該製品の場合は回路も判らないので何も言えない。ああ…交換したいなあ(^^; すれば直るのが判っているだけに。そうも行かないだろうから来年にでも暇な折に電話して交換してもらうか。


この物語は一応フィクションという事にしておきます(^^