前回簡単に不具合をテストしたが問題は無さそうだった。今回はもっと詳細にテストしてみたい。もちろん詳細テストが終わったらバラしも敢行する。中身がどうなっているのかを知らないラジオなんて気持ちが悪くて使えない。たとえ日本製であってもそうなのだから況や中華製をや(^^ なお大部分の記述は基板が共通なER-C55Tにも当てはまる。特に欠点は全部同じである。


★概要
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 ER-C55Tは短波を聞くため、このER-C54Tは中身を知るために買ったのでいずれ分解される運命にある。筆者はポータブルラジオやポケットラジオを開けた経験はあまり無い。正確には覚えていないけど全部で20台くらいのものではないだろうか。それでもラジオはいつ見ても新鮮で飽きない。基板と回路図を眺めて余裕で一日潰せるくらいでないとこんなブログの筆者は務まらない(^^ 閑話休題、

er_c54t_01
 歴史的にはSONY TR-4400の流れを汲むバンドスプレッドタイプだ。デジタル周波数カウンターなどは無いので、あまり正確とは言えない大雑把な周波数スケールを見ながら経験と勘で選局するしかない。デジタルリードアウトに慣れた人はこの辺で脱落だろう。筆者も少なくとも今世紀に入ってからは初めてなので当初は戸惑った。付け加えると周波数スケール表示は明らかにズレている。

 本質的には「ごく普通のAM・FMポケットラジオの入力コイルと局発を拡張してSWも受信可能にした」感じ。ワンチップICを使用しており性能的にはICの性能以上には絶対にならない。そこには製造メーカーの技術は殆ど関係せず、各個の個性が出るとすればそれは性能の低下として現れる。パーツの手抜きと製造時の調整のバラつきだ。実はSWとFMではそれが見られてICリファレンス回路より性能が低下している。特にSWのANT_COILとFMのCFが代表的な手抜きだ。更に驚くのはこのラジオの前身ER-20T-Nよりコストダウンによる品質の低下がみられることだ。アレもかなり手抜きだったがまだ削れるところがあったという事か。これについては次回以降で書く。

 見た目シンプルでケース以外壊れる所は無いように見える(テキトー)。致命的に壊れるとすれば経年劣化でポリバリコンが逝った時くらいかな。ICは汎用でそこら辺で安価に売っているので、例えこれが死んでも諦める必要は全く無い。その他受動部品にしても特殊なモノは皆無で、この辺りの汎用性は安さにも勝る中華製品の最大の良さだと思う。ごく単純なだけに弄る楽しみもあるからね。筆者は専用パーツ・特殊パーツ・陰険実装・情報隠蔽は日本製の悪の象徴だと思っている(^^

 価格が安いのでエンスージアスト(笑)の改造ベースや遊び道具としては推奨できる(注)。価格が安いからと言ってキットのスーパーヘテロダイン方式ラジオも組み立てられないような初心者は買ってはいけない。機能は低いし楽もできないし、ドツボにハマった悲しみで涙を流す事になるだけだ。何がラジオが原因の不具合で、何が自分のヘマなのかハッキリ分るまでは手を触れないこと。こう言ったら実も蓋も無いかもしれないけど、このラジオは他に優秀なラジオを持っている人が遊びに買うものだ。

注:但し部品取りには向かない。まともな部品は全く付いていない。ICは安く売っているしその他部品も同じ。損します(^^


★周波数範囲
 いつものように(ブログ記事は初めてだが^^)最低受信周波数と最高受信周波数を計測してみた。ここで問題となるのは、このC54TはC55Tとは違って周波数を読み取れないという事だ。この場合DM(デジタルマーカー)があれば計測は確実だ。周波数カウンターで局発を計測する手もあるが中間周波数がCF依存なので誤差がある。

MWローエンド:521kHz
MWハイエンド:1690kHzあたり*
FMローエンド:75.4MHz
FMハイエンド:110MHzあたり*
*ポリVCは抜けた時に絶縁体がフニャフニャなので回し方依存(^^; 無理に回すとVCが高確率で壊れます。

 SWはバンド外には用が無いため省略する。前回のER-C55Tの計測結果と比べ上が伸びている。下限はアナログポケットラジオとしてはかなり正確だ。恐らく下で合わせて上は成り行きだろう。ポリVCは小容量になると不安定で個体差が出るのでこれで正解だ。何はともあれ返品する必要は無いという事だ(^^ 個体差はある程度あるので読者の参考にはならないだろう。

 もしこのテストの結果、周波数が規定内に収まっていないと不良品として返品することになる。簡単なので返品しないで自分で調整するのもアリだが。中華製は無暗に返品するともっとヒドイのを掴まされて泣く事がある。安いものだし「お客様は神様」風を吹かせるのも程々にしておいた方が良い(^^


★動作テスト
 まずは初期不良返品交換のため?動作チェックしてみる。紙一枚のショボイ取説を見ながら全ての機能をチェックする。機能は僅かしか無いのでチェックするまでも無いだろうが義務だと思って真面目にやる。それが終わったら実際に放送を聞いてみる。当地はMWもFMもローカル局が低い方に偏り過ぎなのがイヤなところ。特にMWだと高調波がバンド内に落ちてきてツライ。

=MW(昼間)=
 夜は無数に受信できるので昼間でのサービスエリア内に限った。MWの感度チェックは昼間にやった方が正確だ。一般的にはこれだけ受信出来れば文句は言えないはず。受信は主に鉄筋マンションの室内で行なった。以前も書いたが生半可なラジオではローカル局の受信すら難しいくらいのシールド効果がある。勿論ノイズもあるのでそれを乗り越えなくてはいけない。

◎ 594kHz:NHK1
◎ 693kHz:NHK2
◎ 810kHz:AFN
◎ 954kHz:TBS
◎1134kHz:文化放送
○1242kHz:ニッポン放送
○1422kHz:RFラジオ日本
△1458kHz:茨城放送(土浦)
△1530kHz:栃木放送(宇都宮)

◎強力で実用になる
○一応受信可能
△微弱・条件付き

 当然ながらローカル局は受信できた。ただRFはかなり弱くてサービスエリア内とは言い難い。ラジオの方向によっては実用にならない(この局はラジオ関係無しに弱い)。LFは普通に聞こえるが部屋の中だと弱くなってしまう。これは強力∧高音質なFM補完放送で受信すべきだろう。補完放送は強力でノイズ一つ無い高音質で受信できる。茨城放送と栃木放送はベランダ受信限定である。見た目は高い方が感度が低いようだが実際は高い方に強力局が無いだけである。計測器を持たない場合は勝手な判断で弄ってはいけない(が弄りたくなるくらい感度は低い^^;)。

=おまけの海外中波(夜間)=
 夜中にわざわざベランダに出て受信してみた(^^

△ 621kHz:平壌放送
△ 657kHz:平壌放送
△ 711kHz:KBS
△ 855kHz:平壌放送
△ 891kHz:KBS
◎ 972kHz:KBS
○1044kHz:中国国際放送
△1089kHz:中国局(遼寧?)
○1170kHz:KBS
△1206kHz:中国局(延辺?)
△1323kHz:中国国際放送?朝鮮語
△1467kHz:KBS
△1548kHz:中国局(山東?)
◎1566kHz:FEBC(HLAZ)
△1566kHz:中国局(延辺?)
△1593kHz:中央人民広播電台

 昔取った杵柄…しかしダメだった。NHK2終了後にもチェックしたが、残念ながら半島と中国以外には何も聞こえなかった。ロシアなどはソ連時代にはウザいくらい聞こえていたのだが、全く聞こえなくなると何か淋しい気もする。

=FM=
 FMは多数受信できるが部屋によっては受信できない局がある。またロッドアンテナの方向も大きく影響する。向きによっては受信できない局もある。

△76.5MHz:Inter FM(横浜)
◎77.1MHz:放送大学
△77.5MHz:NACK5(秩父)
○78.0MHz:bay fm
△78.2MHz:むさしのFM
○78.6MHz:FM-FUJI(三ツ峠)
◎79.5MHz:NACK5
◎80.0MHz:TOKYO FM
○80.7MHz:NHK FM 千葉
◎81.3MHz:J-WAVE
○81.9MHz:NHK FM 横浜
◎82.5MHz:NHK FM 東京
○83.2MHz:NHK FM 水戸
○83.4MHz:エフエム世田谷
△83.8MHz:調布FM
◎84.2MHz:FM西東京
◎84.7MHz:FMヨコハマ
◎85.1MHz:NHK FM さいたま
△85.4MHz:FM東久留米
◎86.6MHz:FM東京(檜原)
△88.3MHz:J-WAVE(みなと)
◎89.7MHz:Inter FM
◎90.5MHz:TBSFM補完中継
◎91.6MHz:文化放送FM補完中継
◎93.0MHz:ニッポン放送FM補完中継
△94.1MHz:栃木放送FM補完中継
○94.6MHz:茨城放送FM補完中継

 FM感度はこのクラスとしては充分だが、これだけ強力局が増えたために前世紀のラジオ用ICでは多信号特性がヤバくなって来ている。イメージは下の方の局がワイド側に出るが大した事は無い。むしろ局間が詰まってきたので今までは気にしなかった選択度が気になってきた。80-82MHz近辺は強力局が並ぶので切れ目が感じられない。選択度は音質とトレードオフなので高音質がウリのFMとしては難しいところ。

=SW=
 このラジオの唯一の売り物である短波帯はシールドされた室内ではノイズもあって真昼間はほぼ受信できない。ラジオNIKKEIは室内で常時良好に受信できる周波数は皆無に等しい。こんなに弱かったか?ラジオたんぱの頃とは比べ物にならない。特に31mbはどちらも全くダメ。受信状況は時間帯によって大きく変化するのでよく選ぶ必要がある。海外日本語放送はそれなりに入感しているがDSPのRAD-S600Nと比べ感度は低い。

○ 3.925MHz:ラジオNIKKEI第1
○ 3.945MHz:ラジオNIKKEI第2
△ 5.875MHz:ラジオ・タイランド(日本語)
◎ 6.055MHz:ラジオNIKKEI第1
◎ 6.115MHz:ラジオNIKKEI第2
◎ 7.410MHz:中国国際放送(日本語)
× 9.455MHz:RAE(日本語)
× 9.525MHz:インドネシアの声(日本語)
△ 9.595MHz:ラジオNIKKEI第1
◎ 9.650MHz:朝鮮の声(日本語)
◎ 9.735MHz:台湾の声(日本語)
△ 9.760MHz:ラジオNIKKEI第2
○ 9.765MHz:イラン・イスラム共和国放送(日本語)
○ 9.805MHz:KBSワールドラジオ(日本語)
○ 9.840MHz:ベトナムの声(日本語)
○ 9.910MHz:KTWR(日本語)
○ 9.930MHz:KWHR(日本語)
○12.020MHz:ベトナムの声(日本語)
△12.085MHz:モンゴルの声(日本語)
○12.935MHz:HLG(SEOUL RADIO)、CQ CALLING
○15.400MHz:HCJB-Australia(日本語)

◎室内受信可能
○窓際のみ受信可能
△微弱・ベランダのみ
×現時点では受信不可能

 中国国際放送、朝鮮の声、台湾の声は昔と変わらず強力だ。KTWRはノイズが無ければ◎クラス。9.765MHzのイランの朝の再放送は予想外に良好だった。モンゴルは入感しているが変調が悪く確認はしていない。アルゼンチンは予想通りダメだがインドネシアの声は過去の実績からすれば確実に受信できるはず。時間の許す限りチェックしているがかすりもしないというのは実際は出ていないのではないか?

 日本の短波海岸局は全て廃止されたようだがお隣の海岸局がまだ受信できた。一時これでDXやっていたのでちょっと懐かしくなった。でもこのラジオでは海岸局のメインストリートである8MHz帯が受信できないのが残念。放送バンドでバンドスプレッドされているので当然だが業務局受信には使いづらい。

 ちなみに6〜11MHz台を受信中に、ロッドアンテナの先端をDAISOのLED電球に20僂らい近づけたら激しいノイズを感知した。SWを聞く場合は切った方が良いかも。ダイソーに限らずスイッチングで電圧を落としている電球は全部ダメだろう。実は真っ当なメーカーの製品は全て当て嵌まるのだが。

 それはさておき、昔は「短波放送の銀座通り」と言われた9MHz台が受信不調なのは悲しい。前回記事ではSWの感度評価は保留していたが、こうやって真面目に受信してみると「SWの感度は低い」と断定せざるを得ない。次回記事で内部を見れば低感度なのは納得できる(^^


★続く
 久々にアナログダイヤルのラジオを使ったが、最初は戸惑ったものの昔の経験が生きてすぐに慣れた。やはりガキの頃の経験ほど身になるものは無い。と言うかジジイになってからの経験など殆ど役に立たないのだ。閑話休題、

 このラジオに関して言えば、ラジオを扱い慣れている筆者のレベルには楽(苦)しく遊べるが短波ラジオを初めて買う人は買ってはいけない物件ということだ。千円台の格安ラジオであり、勘違いした初心者が群がってくると思われるので一発叩いておく。もちろん叩くのはラジオではなく初心者の方だ(^^