昼間にMWで何局受信できるかという当地ならではの遊びだ。何故当地ならではかと言うと他地方では細かい中継局が多く、環境も良いから多局受信は難易度は高くないからだ。例えば同じ東京でも南多摩や西多摩方面ならもっと楽に受信できるのは(だいぶ昔だが)確認済みだ。前世紀にHSDL群馬受信センター(笑)では未確認ながら海外も含めこれの三倍くらい受信できたのを記憶している。とにかく各チャネル何かしら入っていたので当時は面倒で調べる気も起きなかった(^^; 閑話休題、地表波はフェーディングが全く無い為に、ある程度の信号強度で入感すれば確認は容易である。電離層を使わないため伝播状況が日によって変わる事もほぼ無い。つまり聞きたい時にいつでも聞こえるサービスエリア内と同じ感覚で受信できる。

 ここで言うMWDX受信とは地表波を使った昼間(08:00〜15:00)の伝搬である。以前は16時までだったが(次回記事で書くけど)15時後半から電離層反射が始まるので時間を早めた。昼間であってもロケーションによっては数百キロの遠距離受信が可能である。


★地表波長距離伝播の条件

・地面の上より海の上の方が伝わりやすいらしい
 例えばRF小田原100WよりもSBS熱海100Wの方が強い。小田原は海の方ではなくやや陸に入った酒匂川の川岸にある。それに対しSBS熱海は海の上の初島にある。SBS熱海の方がRF小田原より遠距離だがロケーションの差なのだろう。周波数にほぼ差はないしそれ以外に考えられない。高山を越えねばならない長野県や新潟県の局も難易度が高い。がしかし大昔は新潟のNHKがこの近くでも普通に受信できたらしい(おまけ記事)。

・東より西の方が伸びる?
 NHK名古屋は受信できるがNHK仙台は受信できない。単に名古屋のロケーションやアンテナが良くて伸びすぎるのかもしれないが。

・やはり出力は重要
 いくら西や海の上が伸びると言っても100Wではやはり無理っぽい。10kW未満だと遠距離には届かないようだ。クリヤーチャネルのNHK浜松(1kW)、豊橋(100W)、尾鷲(100W)、熊野(100W)等を狙ったが現時点では聞こえない(注1)。夜間の電離層反射では10kでも100Wでも信号強度にこれほど差は付かないので地表波は減衰が激しいのだろう。

・高い周波数より低い方が伸びる?
 NHK名古屋やNHK静岡を見るとそう思わざるを得ない。もっとも受信機がそういう性能なのかもしれない。通常は同調型のバーアンテナでは低い方がシャープな同調特性になる。

・民放よりNHKの方が伸びる?
 感覚的なものだが遠距離の民放は聞こえない。アンテナが良くて実効出力に差が付くのだろうか?送信所のロケーションも良いのかもしれない。特に接地抵抗が低いとか。唯一逆転しているのはNHK熱海とSBS熱海。NHKは熱海市内だがSBSは相模湾の初島にあるのでロケーションの良さは圧倒的だ。結果としてNHKは殆ど聞こえずSBSは聞こえる。


 ノイズやバンド抑圧効果が無ければ地表波でもっと多くの局が受信できるハズ。何故なら数十ワットというアマ無線並みの灯台放送が過去に地表波で受信できたからだ。例えば近隣の「のじま」「いぬぼう」だけでなく「へぐら」「たこばな」といった遠距離も24時間受信できた(注2)。これらは周波数が高い(1670.5kHz)からではなく、海上の灯台というロケーションや周囲に強力局が無いのが大きいと思われる。信号強度的に言えばこれらが受信出来て数百ワット以上のMW放送局が受信できないわけはない。


注1:ここで言うクリヤーチャネルは当地で「相互変調波やイメージやサイドの混信の不安が無い周波数」という意味だ。当地は受信できる周波数に限りがあるんだよ(^^; ちなみにER-C5xTではMW全120チャネル中で30チャネル程度しかまともに受信できない。

注2:受信できると言っても普通の人には何を言っているか全く分らないレベルだったが。なお群馬ではハッキリ誰でも了解できる強度だった。


=西東京市(商店街の真ん中^^;)で昼間受信できるMW局=
Date:2018/07
Time:08:00〜15:00
Rx:ER-C5xT、RAD-S600N
ANT1:Ferrite-Rod Antenna(内蔵)
ANT2:室内3mワイヤー+自作カプラ

E1R1R2
◎◎◎ 594:NHK東京1
△△△ 639:NHK静岡2
◎◎◎ 693:NHK東京2
×△△ 729:NHK名古屋1
×△△ 765:YBS(どの局かは不明^^;)
◎◎◎ 810:AFN(マジうぜえ^^; 停波しろ!)
×△△ 882:NHK静岡1
×△△ 909:NHK2名古屋2
×△△ 927:NHK甲府1
◎◎◎ 954:TBS
×△△1062:CRT足利
◎◎◎1134:QR
△△△1197:IBS
◎◎◎1242:LF
××△1332:東海ラジオ
×△△1404:SBS
○○○1422:RF
△△△1458:IBS土浦
×△△1485:RF小田原
△△△1530:CRT
×△△1557:SBS熱海
×△△1602:NHK甲府2(未確認)

 E1はER-C5xT+ANT1、R1はRAD-S600N+ANT1でR2は+ANT2である。こうして見ると距離や出力はあまり関係せず、送信所のロケーションが重要となっているのが判る。未だに地表波が高い山脈を越えた事実は無い。長野や新潟局は全く受信できないし、東北方面も白河の関を越えた事が無い(^^; 遠距離伝播はほぼ確実に海を経由している事が判る。恐らく中京方面の海沿い(静岡西部・愛知・三重など)や東北地方の海沿いでは東京の民放が真昼間から普通に受信できるのではないだろうか?


★おまけ:ジジイの昔話(^^
 もうだいぶ前になったが某ジジイに有益な話を聞いた。この話題は筆者のラジオ話から発展して出てきたのだが、意外な事にジジイからラジオ情報が得られてしまった。聞けばまだ若い頃(1960年代前半)に昼間MW放送がどれだけ聞こえるか調べた事があるという。その調査に拠れば東京杉並区荻窪にてJOAK、JOAB、FEN、JOKR、JOQR、JOLF、JORFの7大局以外にNHK名古屋、NHK静岡、NHK甲府に加えNHK新潟(何れも第1、第2共)も受信できたとのこと。民放は中部日本(CBC)等も受信できたらしい。

 つまり東京で真昼間に名古屋が受信出来ても不思議でも何でもないばかりか、うちではカスリもしない新潟の第1、第2も当時は普通に受信できたのだ。クソが!何故今は受信できないんだ?ノイズとスプリアス以外には無いな。それでも上記事では無理だろうと予想した地表波の山越えは余裕で可能と分ったのは収穫だった。単に感度やノイズだけの問題なんだな。何かムカついてきたので「中華ラジオ+内蔵バーアンテナで新潟の受信」がHSDLの目標になりそう。

 ちなみに当時の荻窪で一番強かったのはFENとのこと。Sメーターの針が振り切れていたらしいので相当だ。コイツ昔から迷惑かけてやがったのか(^^; 以上、「ジジイの昔話は生きているうちに聞いとけ」という話でした。