この記事は「ラジオを製作・組立した事がある」「ラジオの回路に深い関心がありスーパーヘテロダイン方式について理解がある」「感度・選択度・安定度・多信号特性について其々完全に理解している」「HSDL用語集を全部読んでいる」「前回までの記事を全て読んでいる」この条件を全て満たしていることを読者の条件とする(リンクについての条件はこちらを参照)。

”木目調”OHM RAD-F620Zを解剖する(^^


RAD-F620Z

 今まで書いてこなかったけど、このラジオは入手した時から振るとカラカラ音がするので気になる。何かが折れて脱落しているのだろうか?特に不具合は無いけど。何しろ新品の時から中に異物が入っている事は多いのが中華製の特徴だから不思議でもないけど。

 F770Zとの比較では裏蓋を止めるネジがF620Zの方が一本多い。気になる開封歴だが、見た目では開けられた跡は無いので元々の不良品説が有力になってきた。何しろあのF1691Mと同時期の製品だからヤバいんだよね。


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 内部に仄かなヤニ臭を感じた。F620ZはHSDLで絶賛されたF770Zと違ってかなりみすぼらしい。コネクタなどは一切使用されていないので分解は非常にやりづらい。「接着剤が汚い」「油でベタベタ」という世間での中華イメージにぴったりの内部だった。もう一つ定番の「ハンダ付けがテキトー」はあまり無かったけど、これ本当に製造者は同じなのだろうか?今まで770を「後継機」と書いてきたが全然違う気がしてきた(^^;


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 カラカラ音の正体はこれだった。何だろう?黒くて突起があると言えばバンド切り替えや音質切り替えのスイッチの先端くらいか?


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 いや折れている所は無いね。全くの正常品だ。あとは黒い所と言えば裏蓋しかない。ザッと見てみたが何処にも折れた所は発見できなかった。不具合が無ければ気にしなくていいか。


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 何だこりゃ!同調つまみが得体の知れない粘り気のある油でベタベタだ!ここだけでなく糸の周りは色々なところが油でベタベタ。これを取るのに20分はかかってしまった。


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 糸にも油が付いているよ(^^; 僅かなバックラッシュの原因はこれか。可動部に闇雲に油をベタベタ塗りたがるバカはどの世界にも確かに存在する。これ必要無いと思うよ。

 ハッキリ言ってこの手のラジオに油は申し訳程度〜皆無で良い。もしかすると磨り減って20年後にはガタガタになるかもしれないけど、それより前にどこかの可動部のプラスチックが割れてしまうので同じ事だ。同じくダイヤル以外の他の部分も20年持つように作られていないので可動部だけ20年持たせても意味は無いだろう。80年寿命を持つジジイの入れ歯なんて意味があると思うか?生産の時にはそのようにバランスを考えなくてはいけない。そんな事は解っていて精度が低くて動作が重いから油を注したと言う可能性も大いにあるが…(^^; ちなみに中華製だけでなく日本の30年物もプラ部品は多くが崩壊している。プラ製品は寿命を気にしても無駄なのだ。


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 基板はやはり熊猫T-16そのものだった。版数はREV 03(2006/02/15)とある。この基板自体は2011年30週に製造されたようだ。アセンブリはその直後だろう。基板はもうだいぶ前から再設計はせず何年も使いまわしているみたいだね。


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 この辺りを見ると悪い意味でF1691Mソックリ(^^; 特にPVCの端子の切り方と言うか切って使う事自体がF1691M臭が漂う。調整していないのは確定的だ。


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 うっわー!何これキタネー。コイルぐちょぐちょなのに目が行くが、VCに付いている手付けのコンデンサがもっとイヤな感じです。


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 基板が割れてるよ!これって割れたんじゃなくて割らないと付かないから意図的に割ったんじゃないかと言う疑いがある。この製造者なら何でもあり。


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 フェライトロッド・アンテナはF770Zは60mmだったがF620Zは70mmだった。太さは10φで両者同一だ。このようなところで微妙にコストを下げたのか。感度は同一だろうから下がるならその方が良い。このガタイなら12僂詫澆靴ったが。

 間違いない!これはF1691Mと同じ製造者だ。だってこの通りアンテナ線が全部束ねてあるし(^^; 今回はしかもFMアンテナコイルと一緒に接着剤で止められている。接着剤を破壊するとFMコイルが狂うかもしれない。でもやるしかないな。


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 SMDパーツを多用していた770と違って殆どラジアル・アキシャルリードの部品ばかりである。基板の裏だけ見てもう2003系だというのは完璧に分る。IFトランスのパターンも実装も無いからだ。IC周りにはCFのパターンも確認できる。さてそろそろ基板を前板から外すか。糸掛けだからダイヤル機構が邪魔しなければいいのだが。


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 ゼーゼーハーハー!VRのつまみに粘着テープが巻いてあってなかなか取れなかった。一見して何だこりゃ…な基板である。部品の実装が疎らでデタラメ。日本メーカー製と比べアマチュアっぽいです。70年代以前の中小企業並み。


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 F770Zと同じくCFはSFU455B×2でCCは47pFとなっている。何で同じ道具立てのF770Zより選択度が悪いんだろうか?それにしてもスペースが無いので困った。これでは殆ど改造できないではないか…。この実装はどう考えても部品面が逆だと思うが、SWやVRの関係でこうなってしまったのだろう。機構や回路を決める前にまず部品ありき。こういう所がHSDLに似ている中華なのだった(^^;


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 崩壊が怖いけどダイヤル機構を外してみる。これを取らないとCFもICも拝めない。出てきたICはやはりネット上の写真と同じでCD2003GPでした。高感度だが多信号特性が良くないし安定度も悪い。ついでにバグ有りも存在するという出来れば見たくないICだ。CFは哀店道にMGの一期前に売っていたSFU455Bである。MGより性能が良くないのかも。HSDLには在庫まだ一杯あるんだけど…(^^;


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 何だこれは?このラジオは元々単相ブリッジ整流の基板だが、当該品は二相全波整流として使われている。どちらも同じ効果だが、どう考えても単相トランスとD4個の方が安上がりだ。二相のトランスがスポット品で安かったのかな?というのがHSDLの見立て。出力コンはショボそうな中華1000μFが1本だけ。まともに動いているのが奇跡みたいな電源だから見ただけでACで使う気が無くなってくる。しかしこれスペース的にデカい出力コンも付けられないな。AC電源の時だけでもレギュレータICを入れるべきかな。それだとノイズは消えないけど。


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 前板にはSP以外は何も付いていない。周波数スケールはここに貼られており交換も可能のようだ。熊猫と殆ど双子に近いくらい似ているのだ。


 …さて、これ元に戻るかな?一週間放置したら組み立て方をスッカリ忘れた。ネジも色々なサイズがあるが使いまわしも忘れた。部品取りにはならねえし、もし元に戻らなかったら中国製のクサい不燃ゴミだぞ。

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 何とか元に戻せた(^^; 別に複雑な機構で難解という訳ではないが、精度が低く割れやすいので間違えて組み立てたら壊れる場合があるのだ。どうせ修正するからいずれまたバラさなきゃならないんだけど。電源の配線がバラす度にキレるので参った。


★解剖終わり
 以前からF770ZをF620Zの後継と書いてきたが、骨格も回路もソックリなれど細部はリード部品と面実装である事を差っ引いても似ても似つかないものだった。後継のF770Zは心を入れ換えたのか別の生産者なのか?これだけではまだ判らない。ただ一つ言える事はF620ZよりF770Zの方が比較するのもバカバカしいくらい作りが良いということだ。それが判っただけでこれに大枚叩いた価値があったかな。当りもあるのだろうが中古で見つけても買わない方がイイです。これはマジで。