当初この原稿は「気になるリンク」の為に書いたがあまりにも長くなりすぎたために独立した文章になった。

第11話:Panasonic RF-NA030の嘘っ八?を調べる話


 このラジオは一度も所有した事は無い。店頭で少々弄った事があるだけだ。ちなみに放送は聞こえずスプリアスだけだった(^^; 何でそんなラジオが気になるのか?しかも通勤オヤジでもヨイヨイ散歩ジジイでもない筆者には一番用の無いハズのライターサイズのポケットラジオが。

https://panasonic.jp/radio/p-db/RF-NA030_points.html
 気になったのは最近このサイトのカタログを読んだからである。特徴に「クリアな音声で番組が楽しめる!AM FETアンプ搭載の高感度設計」と明記されている。ラジオに詳しくない頭死老なら全く気にも留めないだろうが、筆者のようなエンスー(笑)にとってはこれは絶対に見逃せない。

 まず思ったのは「ウソこけ、しょぼいライターサイズのICラジオのくせしやがって!RFアンプってICに入っている奴だろ?」だった。超小型ICラジオに態々RFアンプを追加するなんて聞いた事が無いレアな事例だ。ラジオ用ICには現在残っている物にはRFアンプは入っている。例外はあるけどな(U700系の奴)。況してやポケットラジオ、それもポケットラジオの中でも小さい部類に属するライターサイズでRFアンプを追加するとは思えない。要するに筆者には信じられないのだ。

 イヤそもそも「AM FETアンプ搭載」とあるだけでRFアンプとは書いてないな。記述トリックと言うかインチキでIFアンプかもしれないぞ。実際これはU700系などでも多数実例がある。MIXOUTとIFINの間のCFのところにアンプを入れるだけなので容易い。少なくともRF二段重ねよりはよっぽど現実感に溢れている。但しIFアンプは通常は感度を上げるには役に立たない。感度の改善というのは事実上はS/N比の改善なのでミクサー以降のアンプでは効果は極小だ(ミクサーノイズも増える)。エンベロープ検波で検波切れが起らなくなるのと、あとは音が少々デカくなるだけだ。


rfna030_sch
 と言う事で激しく興味を抱いた筆者は回路図を見てみる事にした。ガビーン!本当にラジオICにFETのRFアンプを追加搭載している!(^^; ライターサイズICラジオでは初にして最後の事例か?いやNA系に他にもあるかもしれないな。カタログを見れば発見できるだろうが面倒なのでパス。ヒマ人は探してみてね。こういう技術はアナログだけだからDSPには無いよ。


rfna030_rf
 変形しているので解り易く書くとこうなる。このように、このアンプはソースフォロワなのでゲインは期待できない。ソースフォロワなんてインピーダンス変換くらいしか用はないけど、それでもカタログのは丸っきりウソではないのね。ちなみにこれはTRIOの大昔の有名ステレオチューナーのMW回路でも見た事がある。あれも(散溶)ICラジオに2SK61Yのソースフォロワがプラスされたものだった。RFが効いているかどうかは分からないけど製品自体は非常に高感度だったね。


ta2142fn
 それにしても何でこんな小さいラジオなのに頑張るのか?それともそうしなければ感度が足りないほどTA2142FNは低感度ICなのだろうか。よく見たらこのICはRFアンプを搭載していなかった。ちょうどU700系のICがそうであったように。直繋ぎした時にどのくらい違いが出るのか気になる。実用上は違いは無いと思うのだが…。


 最後の疑問は何故このICを採用したかという事だ。このICは電子同調向けなのだがこのラジオはアナ・アナなのでそうではない。このラジオは倒芝製品でもない。であればもっと別の最適なICを採用する方が自然だ。例えば粗ニー系の省電力統合ICとか、極低電圧使用ならTA7792もある。ワザワザRFアンプを追加してまで使いたいような優れた石にも見えない。やっぱり謎だ。