この記事は「ラジオを製作・組立した事がある」「ラジオの回路に深い関心がありスーパーヘテロダイン方式について理解がある」「感度・選択度・安定度・多信号特性について其々完全に理解している」「HSDL用語集を全部読んでいる」「前回までの記事を全て読んでいる」の条件を全て満たしていることを読者の条件とする(リンクについての条件はこちらを参照)。

ANDO ”ライトラジオ” FL-017


 通常はこんなハンパ物のラジオは決して手を出さないが、100(110)円と言われると動くかどうか試してみたくなる。キワモノであっても中に入っているのは紛れもないICラジオなのだから楽しみはある。同期で一番最初に取り上げられたのは「興味深いので早く見たかった」からではなく「目障りなので早く処分したい」からである。特にこの割れているケースは邪魔なので一刻も早く捨てたい。


★外見
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 いきなりやる気をそぐのはこのセロテープ(^^; 恐らく懐中電灯の前のレンズ+反射器部分がとれてしまうのだろう。


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 電池ボックス部分だが…いきなり折れやがりました(^^; これでは電池を支えられない。ここはトン単位の力が掛かるので接着剤などは通用しない。不動確定か?


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 クリップも折れているよ…もちろん使用者の問題もあるが折れやすいんだよ。触るたびにポキポキ折れるこのケースはダメだろう。ラジオに限らず製品として一番重要なのは筐体(設計)だという事が痛いほど良く解る。


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 一応捨てる前に銘板を記録しておく。


★電源を入れる
 さて観察していてもめげるだけなので動かす。曲がりなりにもTV音声も聞けるAM/FMの2バンドラジオだから中身はICラジオだろう。電池蓋が死んでいるので手で押さえながら電源を入れたがプツリと言うノイズも聞こえない。音量全開にしたがシーとも何とも言わないので、これは「電源が入っていない」と断定できる。おかしいよね?こんなに単純なラジオで電源が入らないなんて。原因としては、

・コンタクト接触不良:一番考えられる。
・SWの故障:二番目だね。
・配線が切れている:これは開けてみないと分らない。

 が考えられる。状態がアレなので調子が悪いとは思っていたが、全く電源が入らないとは思っていなかったので驚いてしまった。ICラジオってまず故障しないものなんだよね。


★バラし
 動かないのでバラすしかない。ICラジオなのだから壊れる所なんてありゃしない。致命的な破損が無い限り絶対に動かせると信じているのだが。


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 早速割った。ネジを外すだけなのだが。みろ、何て事も無いごく普通のICラジオじゃないか。これはもう99%動くはずだ。


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 アンテナ線に巻いてあるセロテープは何のため?この「ストラップがアンテナワイヤー」と言うのもスゴイ発想だ。これ切れるよ絶対(^^;


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 前のツマミが取れないので力を入れたら同調ツマミが割れてしまった。何か投げやりだなあ(^^; バンド切り替えは外さなくてもよかったのだ。VRと同調ツマミは器用に合わせになっていて、キャップを外すとネジが現れて外すようになっていた。ここだけはプロの仕事をしている(^^


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 コンタクトが完全に腐食している。動かない原因は電池の液漏れによる電極の腐りという事か。まあこの手の「一見便利だけど実際は役に立たない」ラジオを買う奴はチョット足りない奴だろうから致し方ない。これで動く目途が立ったことになる。


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 一番驚愕したのはこれ。SPに電池コンタクトが配線されているのだが…(^^; なんでSPに電源を繋いだのか?もちろん製品なのでそれで動くのだろうが、音声ラインと電源ラインを共用して何のメリットがあるの?頼むから意味不明オリジナルじゃなくてのアプリケーション回路通り作ってくれよ…(^^; あまりに奇怪な設計なので呆然としてしまった。次回判明するが実はこれは濡れ衣で、メーカーの仕業ではなく前ユーザーが季違いだったらしい。そりゃそうだよなあ(^^;


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 これはもう捨てます。ネジはもちろんとっておくよ。


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 ツマミは動かすのに備えてシアノアクリレートで接着した。力が掛かる所ではないので大丈夫だろう。


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 基板名はTR-207NとTR-208Nだった。これがこのラジオの本名なのね。基板は香港の堅統有限公司(CAINEBO LIMITED)で製造されている。あのRAD-F620Zの基板もここで製造されたらしいぞ。


=メインIC=
 メインと言ってもこのラジオはワンチップなのでラジオICしかない。部品面を見れば直ぐに判る通り粗ニー系ICなのだが…。


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 何と初顔のLS1191Mだった。これはかなりのマイナーチップですね。CXA1191と言うのは粗ニーのは見たことがないのだが、中華で1019というのが無いので1019の代わりなのかもしれない。ピンアサインも仕様・性能も同じなので狼狽える必要はない。ただのCXA1019Mです(^^ 粗ニー互換と言うよりUTC互換なのかもしれない。UTCのデータシートは極めていい加減(ICの等価回路図が全部同じだったり^^)なのでそれを朴っていると直ぐ判る。


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 よくみるとフェライトロッドアンテナのリッツ線の3本の内の1本が解れて他と接触している。このラジオは感度が悪かっただろうな(^^; 

 さていつも気になるグラウンドピンだが、この製品はFE-GNDが空脚になっている。それで11ピンのNCをFE-GNDとして使っているのだ。内部では同じようだからこれでも動くのだろうけど、粗ニーが裏切って仕様変更してもついて来られなくなる。もっともICの下で繋がっているかもしれないので評価は保留だな。また手抜きで18〜20ピンまで全部接続されている。パターンカット若しくは危険な足上げしないと同調指示ランプが付けられない。


=フェライトロッドアンテナ=
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 現状は動かないので意味は無いけどフェライトロッド・アンテナのサイズは、おなじみHSDLの精密計測にて4.0×9.9×38.85mmだった。公称は4×10×40mmなのだろう。驚いた事に産経のロッドより微妙に大きかった。フェライト指数は280(270)となる。HSDLでのランキングでは25中20位となるので威張れない。巻き方は例のガラ巻き風のハイQ(予定)巻き(^^; 出力線は4本で明らかにリンク出力となっている。配線はどうだろうか?


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 片側2本がGNDで1本がRF-INなので正確だ。どれか出力線を間違えていない限り「リンク方式」として正しく動いていると考えられる。うるさい事を言えば片方はFE-GNDに接続しなければならないのだが考え方としては正しい。中華ラジオで真っ当にリンク方式だったのはこれが初めてではないだろうか?何でここだけ正確なのか理解に苦しむ(^^;


=CF=
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 これはAP-152でも見たHLB455Bだね。言うまでも無く中華SFU455Bと同等品だ。泡沫ラジオの中では意外と大きなシェアがあるのかもしれない。って言うかあのラジオとこのラジオって製造工場が同じなのではないだろうか(製造が汚いし^^)。AP-152でのテスト結果を見ると性能はかなり低そうな気がする(^^; あまり期待しないでおく。TOHOというコイルメーカーはTOKOの朴李なんだろうなあ。


★続く
 HSDL初のアンドーだが(注)残念な物件であることが判明した(^^; それでも随所に見どころが有ってそれなりに面白かった。次回は配線し直して動かせるようなら動かす。動けば受信テストもする。イヤホン端子が無いので受信音は無理だが。

注:この記事はANDO AR-138よりだいぶ前に書かれています。