短波放送のお邪魔虫?である中国局を無理やり楽しむ(^^;


 ご存じの通り短波帯は中国局によって半分以上?占拠されている。特に昼間となると「中国以外の短波放送ってもう無いの?」と思うほど中国局しか聞こえない。プチブームに乗って中華DSPラジオや懐かしのBCLラジオを買って「こんな筈では無かった…」とお嘆きの貴兄も多いだろう。確かに筆者も短波受信復活後はそう思った。ただ筆者は嘆いてばかりではなく見方を変えて、これら中国局でも楽しんでみることにした。と言っても流石に国際放送は詰まらないので別の路線を行く。国内放送だ。中国の国内放送は国土がデカいだけあって短波も使われているのだ。

 当初は省レベルの地方短波局を楽しんでいたのだが、これがDX局並みの難易度の局が多い事に気づいた。国内放送用のローバンドを使用している場合が多いからだ。これでは他国の放送と変わらない!(^^; もともと中国局を楽しむ気になったのは「それなら劣悪な環境の当地でも楽に聞こえる」からであり、DX局のように難易度を楽しむのとは別の目的だ。いわばDXとBCLの違いなのだ。

 そこでCNRだ。これは中国のデカい国土をカバーするために100kWクラスの送信機で短波が使われている。日本人のようにちっさな中継局を山のように作るなんて大陸の人は考えない(^^ 「チマチマ作らずにデカいの一つで良いじゃん?」と言うわけだ。これだと流石に地方局よりも受信は楽だ。しかもこれらの中には少数民族向けの特殊な放送も多数ある事に気づいた。聞いてみれば解るが中央の局とは明らかに違うテイストの番組で楽しめる。特に音楽は全く違うので面白い。

=中央人民広播電台プログラム=
CNR 1 中国の声
CNR 2 経済の声
CNR 3 *音楽の声
CNR 4 *経典音楽放送
CNR 5 中華の声(台湾向け放送、普通話放送)
CNR 6 神州の声(台湾向け放送、普通話・ミン南語・客家語放送)
CNR 7 *大湾区の声(珠江デルタ・香港・マカオ向け放送、旧・華夏の声)
CNR 8 民族の声(モンゴル語・朝鮮語)
CNR 9 *文芸の声
CNR10 *老年の声
CNR11 チベット語放送(チベット自治区・青海省・四川省・甘粛省・雲南省内)
CNR12 *閲読の声(旧・娯楽放送)
CNR13 ウイグル語放送(新疆ウイグル自治区内)
CNR14 *香港の声(香港内、普通話・広東語放送)
CNR15 *中国交通放送
CNR16 *中国郷村の声
CNR17 カザフ語放送(新疆ウイグル自治区内)
CNR18 *国家緊急放送(非常状態時に放送)
*は短波放送は存在しない

 久々にヤル気になったので下にリストを作ってみた。同じ事を考えた人はこのリストを使って試してみれば?但し情報元はネット情報なので正しいかどうかは確認していない。一部聞いたのは正しかったけど、全部鵜呑みにせず自分でも確認するのを忘れずに。

CNR(中央人民広播電台)の少数民族・台湾向け放送(時刻はJST)

5925kHz:CNR 5 05:55-09:00(Chinese)
5925kHz:CNR 5 19:00-02:04(Chinese)
5975kHz:CNR 8 15:00-00:05(Korean,Chinese)
6010kHz:CNR11 06:55-09:00(Tibetan)
6010kHz:CNR11 19:30-01:04(Tibetan)
6145kHz:CNR17 00:00-03:04(Kazakh)
6165kHz:CNR 6 06:55-10:00(Chinese,Amoy)
6165kHz:CNR 6 18:00-01:04(Hakka,Chinese)
6180kHz:CNR17 21:00-00:00(Kazakh)
7350kHz:CNR11 18:00-01:04(Tibetan)
7360kHz:CNR11 06:55-08:57(Tibetan)
7385kHz:CNR 5 05:55-09:00(Chinese)
7385kHz:CNR 5 18:00-02:04(Chinese)
9410kHz:CNR 5 19:00-02:04(Chinese)
9420kHz:CNR13 19:57-03:04(Uyghur)
9480kHz:CNR11 06:55-10:00(Tibetan)
9480kHz:CNR11 17:00-01:04(Tibetan)
9530kHz:CNR11 09:00-19:30(Tibetan)
9610kHz:CNR 8 05:55-14:57(Chinese,Mongolian)
9620kHz:CNR 6 18:00-01:04(Hakka,Chinese)
9630kHz:CNR17 21:00-03:04(Kazakh)
9665kHz:CNR 5 05:55-09:00(Chinese)
9685kHz:CNR 5 09:00-19:00(Chinese)
9730kHz:CNR 6 06:55-10:00(Chinese,Amoy)
9785kHz:CNR 8 15:00-00:05(Korean)
9890kHz:CNR13 08:55-10:57(Uyghur)
9890kHz:CNR13 20:00-03:04(Uyghur)
11620kHz:CNR 5 09:00-19:00(Chinese)
11630kHz:CNR17 08:55-21:00(Kazakh)
11685kHz:CNR11 08:57-18:00(Tibetan)
11810kHz:CNR 8 05:55-15:00(Chinese,Mongolian)
11905kHz:CNR 6 10:00-18:00(Amoy,Hakka)
11935kHz:CNR 5 09:00-18:00(Chinese)
12055kHz:CNR17 08:55-20:57(Kazakh)
13700kHz:CNR13 10:57-20:00(Uyghur)
15390kHz:CNR13 08:55-00:00(Uyghur)
15570kHz:CNR11 10:00-17:00(Tibetan)
15710kHz:CNR 6 10:00-18:00(Amoy,Hakka)

CNR 5:「中華の声」台湾向け標準語
CNR 6:「神州の声」台湾向け方言
CNR 8:「民族の声」モンゴル・朝鮮語
CNR11:西蔵向け
CNR13:新疆向けウイグル語
CNR17:新疆向けカザフ語

 当方のお勧めはCNR6とCNR11かな。CNR13とCNR17もお勧めだがCNRなのに意外に難易度が高い!恐らくこれらは地方送信なのだろう。案に反してDX的な楽しみもあったりして(^^; Enjoy!


★For Example
 筆者の受信時間である正午〜13時頃を例にとると以下のようになる。この時間は短波帯には厳しい時間で、特に41mb以下の周波数は半島局以外は何も受信できないのでダイヤルを合わせる必要は無い。31mbも大半は受信できないので目標は主に25mb以上となる。

CNR 5:11620kHz他多数
CNR 6:11905,15710kHz
CNR 8:9610kHz
CNR11:11685,15570kHz
CNR13:13700,15390kHz
CNR17:11630,12055kHz

 まずCNR5だが、これは使用周波数が多い上に近いので受信は容易。しかし標準中国語の上に番組も詰まらないので普段聞く事は無いですね。これを聞くなら”中国の声”でも良いわけで(^^; その次のCNR6は方言の上に番組も面白いのでお勧め。15710kHzの信号が強い上にS/N比も高いのでBGM代わりになる。ただロケーションによっては11905kHzの方が良いかもしれない。厦門語?や客家語は中国語とは方言以上に違うので中国局とは違った味わいがある。なお15MHzは11MHzに比べてディレイが入っている。

 8は周波数が低いので意外に受信が難しいが、9610kHzのモンゴル語プログラムが良好で独特の番組を楽しめる(音楽を聞くと中国とはやはり違う)。朝鮮語プログラムはこの時間は受信出来ないがこれは夜聞けばいいし、そもそも朝鮮語を聞きたければ半島局を聞けばよいのである(MWには大出力で超ウルセー延辺1206kHzもあるし^^)。但しこの9610kHzはこれらの中で一番早く15時には終了してしまいます。

 この中で読者が興味を引くのは11、13、17だろう。11のチベット語は15570kHzが良好で環境音楽に良い(^^ 11685kHzは11680kHzの朝鮮中央放送が混信するので安物受信機では良くない。13はこの中で一番受信が難しい。13700kHzは混信は無いのだが信号が弱く、ポータブルのER-C57WRでは感度が足りない場合が多い。ベランダだと受信できるのだが…。15390kHzに至ってはキャリアしか確認できない。17は11630kHzが非常に良好で、筆者にとってはソ連局DX時代を思い出すカザフ語を堪能できる。聞いていると中国局とは思えないし、時報の時に北京時間が出るので辛うじてそれと判る程度だ。このように同じ中国局と言っても地方局とCNRのマイナー番組はハッキリ言って欧米の国際放送なんかよりはるかに面白い。


erc55t2
 ER-C55T+内蔵アンテナまたは3mリード線で受信してみた。これの意味するところは何か?それは「ER-C55Tで受信出来れば全ての短波ラジオで受信できる」という事だ(^^ リード線をDC接続していない事に注意。このラジオはACカップリングじゃないと混変調でメチャクチャになります。まずは内蔵で行ってみましょう。

CNR 5:11620kHz→良好に受信できた◎
CNR 6:15710kHz→良好に受信できた◎
CNR 8: 9610kHz→弱いが受信できた△
CNR11:15570kHz→弱いが受信できた△
CNR13:13700kHz→信号が弱くて不良×
CNR17:11630kHz→11620kHzのSSが被るが受信できた○

 CNR13だけは信号が弱かったのでアンテナに3mリード線を追加したらこのように受信できた。このER-C55Tは受信機の基本性能である3Sの内で安定度に一番問題がある。短波帯の特に今回のようなハイバンドの場合は最低でも10分くらい前に電源を入れる必要がある。また選択度も比較的マシな2エレCFとは言え短波BCL用としては今一歩。残る感度は今回くらいの局であれば問題は無い。元々超DX局は受信できないのだから。それはさておき市販されているモノであればどんな短波ラジオでもCNR5〜17は楽しめそうだ。

注:この受信状況は11月前半のモノで、現在の状況とはかなり異なっているようです(^^; あくまでも参考という事で。