この記事はレビュー記事でも懐古記事でも買い物ガイドでもありません。「ラジオを製作・組立した事がある」「ラジオの回路に深い関心がありスーパーヘテロダイン方式について理解がある」「感度・選択度・安定度・多信号特性について其々完全に理解している」「HSDL用語集を全部読んでいる」「前回までの記事を全て読んでいる」の条件を全て満たしているラジオ好きで超マニアックな変人以外はここでお帰りください(^^/~

TECSUNのアナログSWポケットラジオ”R-818(PL-818)”


 2019/08/24に540円という高価格でゲトした物件。買うのはイヤだったのだがTECSUNのアナログラジオを見た事が無かったのでどうしても見たかったのだ。で買ったらこれがまた失敗なんだが、まあ五体満足ならこの価格で出る事は無いだろうから当然と言えば当然か。愚痴は後にして詳細を観察してみる。テクスンのアナログ技術は信用していない筆者だが、果たしてどんなものが出てくるのか興味深い。もっともICラジオだろうから他と同じで面白味は無いかもしれない。


★外観&動かす
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 これも高解像度写真が有ったので見ていただこう。よくあるタイプのICラジオに時計付きのワンチップカウンターICが組み合わされているタイプ。この手のラジオは電源を切っていても電池がドンドン無くなるので好ましくないと思う。何でこのIC(恐らくアレ)はこんなに電力バカ食いなんだろう?現代の時計ICなんて普通の電解コンデンサに溜まった電荷だけでもかなり長い間動くのだぞ。少なくとも今世紀に見合った技術の進化が望まれる(これでは1980年代レベルだ)。


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 裏面。周波数カバー範囲が書かれている。SWは5.90-18.0MHzで意外と狭いな。おや?ここの銘板だとR-818とRの後にハイフンがある。ラジオの正面とどちらが正しいのか?型番だから銘板の方を正解とするか。


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 電池は単3×2本で標準的。これが3本だとキレるところだが…。BCLラジオと違って眺めて楽しいラジオでもないので早速動かしてみよう!

 …で電池を入れてスイッチを入れたけど全く音沙汰なし(^^; 大体この手のラジオは電池を入れただけで時計が点灯するものだ。時計が出ない時点で電源が入力されていないかカウンターICが死んでいるかだ。しかしこれはラジオICは別になっている上にアナログスイッチなのでカウンターICが壊れていても音くらいは出るものだ。音も出ないという事はICの故障ではなく電源が入っていないという事になる。これが唯一無二の結論だ。電池室の液漏れが気になるので磨いてみたが全く何も起こらない。これはもう開けて調査するしかないようだ。恐らく単純な故障だと思うのだが。この辺りでもうヤル気が無くなってきた。


★割る
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 割りました。ハイ終了!電源のリード線が腐ってやがります(^^; 電池が液漏れ→電池はマイナス側から液が漏れる→マイナス側のリード線が腐って切れた。これがこのラジオの不動原因だ。原因調査も修理もへったくれもありゃしねえ。そこらのうんこブログレベル。


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 テレスコピック・アンテナにもかなりのダメージが見られる。当然ながらアンテナのリードも切れていた。絶縁用に入っていたと思われる厚めの紙が腐って消滅していた。タブと言うかラグが腐っていて折れかけている。ハンダ付けは困難だろう。何しろテレスコピック・アンテナを止めているネジが全く回らない。何かもう修理するのがイヤになってきた。

 この状況を推理すると、恐らく電池室が比較的きれいなのは前ユーザーが掃除したからだと思われる。「あ、電池が漏れちゃった…動かない!よーし、おじさん頑張って掃除しちゃうぞ!あれやっぱり動かない…捨てよう」が真相だろう。ネジを開ける選択肢は無かったか、開けてもハンダ付けまでは無理だったかもしれない。この場合は電池が液漏れした時点で負けなんだよ(^^


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 光線の関係で見にくいが粗ニーだ(^^; CXA1691ね。SMDだから1691Mか。


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 オオッこれは!HSDLでもおなじみの修正か?(^^; でもよく見ると横に並べているだけだな。


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 CFは黄色いコアのIFTの手前にある水色の奴だ。どうやら2エレっぽい。曲がりなりにもSWラジオなのだから当然と言えば当然。本当はCFUクラス(4エレ)を搭載して欲しいところ。


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 このラジオで唯一良かったのはこれ。なかなか作りの良いFRアンテナだ。HSDLの精密計測(笑)は不可能だったがサイズは5×8×50mmだった(但しリッツ線ではない)。ポケットラジオの中では感度が高そうに見える。選択度も高いしER-C54/55Tと同じくMWラジオとして使用するのがイイかも。


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 ANTコイルが既製品とは言えシールドケースに入っている奴なのは良い。この点ではER-C55Tに爆勝している。アレは既成の固定インダクタだったからなあ(^^;


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 アンテナ手前の省略されたTRが気になるね。RFアンプでも付くのかな?


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 本名はPL-818(Ver4)でした。1999年の生産らしい。


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 さて切れた線を繋ぐのだが、電池を入れる時にコンタクトが飛んでどっか行っちゃったのとアンテナのラグが腐って折れたのでヤル気が無くなった。


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 でも動く事を証明するために無理やり電源を繋いで動かしてみる。動いた。オールバンド正常に受信できたが何故かMWだけカウンターの表示が出ない。これだけ腐っているラジオなのでバンドSWの接触不良かも知れない。SWでもこのようにNRBCが受信できた。アンテナを全く伸ばさない状態でガンガン受信できるので高感度だと思われる。電池の液漏れさえなければ普通に動いていたのだから前ユーザーのアホさ加減が惜しまれるね(^^;


★終わり
 という事で修理は途中で断念したがそのテイストは味わう事ができた。気が向いたら修理してみたいけど次が押しているので無理だろうな。