この記事はレビュー記事でも懐古記事でも買い物ガイドでもありません。シロート向けの使い勝手などの一般的評価は書いていないので、ラジオ好きで超マニアックな常連以外はここでお帰りください(^^/~

TWINBIRDのAMステレオ対応ポケットラジオ”AR-321”(^^


 ジャンク箱(その3)の中の一台である。MW専用機である。当初はよくある中国製の廉価ポケットラジオであるかと思われたが、シールをよく見たらAMステレオ対応だった。AMステレオ対応のラジオはHSDLブログでは初めての製品であり興味深い。


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 丸みのある本体でポケットにすっぽりと収まりやすいが、逆に飛び跳ねただけで落ちる可能性もある。ジャンクの状態としては大きな傷も無く悪くない。突起は少なく汚れは雑巾で拭けば落ちてしまう。

 電源は単4乾電池×2本で3Vとなっている。+電極のコンタクトが手抜きのワイヤーを丸めたものなので収まりが良くないし電池が落ちやすい。


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 外見は全く特徴が感じられないので中を見るしかない。殻割するには電池ボックスのネジを一つ外すだけだ。


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 ダイヤル機構は簡易なものが多いが、この機種はダイヤルに直接スケールが印字されたものだ。但しギヤが入っておりそれなりに減速される。同調操作で困る事は無いだろう。


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 心臓部のワンチップ・ラジオICはステレオ用のモトローラMC13024DWである。サトー電気のカタログでは2022年4月現在の価格は1650円となっておりかなり高価だ。これは貴重品とあるようにレアなICなのだろう。


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 おなじみHSDLの精密計測(笑)に拠ればサイズは8.1φ×50.5mmでフェライト指数は409となっている。基板の印刷文字に拠れば本名はAR-321/322 R11となっており、TWINBARDのオリジナル製品である可能性が高い。


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 IFフィルターは4エレメントのSFP450Gだ。これはムラタの最終製品の型番で言うとSFP=CFUでSFR=CFWである。廉価ポケットに於いて4エレメントが採用されていることは非常に少ない。Gランクなので選択度が高まっても音質が悪化することは無い。

 実はこのBBSに別バージョンの内部写真があった。それに拠ればどうもSFU450が使用されているものもあったようだ。ハズレ品と言っていいかもしれない。ICは全く同じでFRAも同様である。


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 ラジオ用のメインチップMC13024DWはAFパワーアンプを持たないので別にICを搭載しなければならない。ステレオなのでAFパワーアンプもステレオ対応である。このラジオはTDA2822のピン互換であるNJM2073Dを搭載している。


★動作チェック
 電池を入れ、電源を入れてまず初めに気付いたのは音量VRが殆ど用を為さなくなっていたことだった。これはよくある症状だが最近のHSDL所有ラジオでは無かったのでイヤホンからの大音声で驚かされた。これは分解して直すのが筋だろうが手抜きしてシリコーン・オイルを吹いて多少左右に回して何とか誤魔化した。

=周波数範囲チェック=
MW下限:468kHz(規定520kHz)
MW上限:1620kHz(規定1650kHz)
*メーカー規定が不明のため一般的なICラジオの規定となっている

 恒例の周波数範囲のチェックは上記のようになった。下が一寸低すぎるが、上は有っている新野智とこの程度だったと思われる。恐らく出荷されてから調整は変わっていないのだろう。受信してみた限りでは他のラジオよりもノイズが明らかに多く、感度も選択度も上々だった。AMステレオ放送はニッポン放送しかないが、右から左に抜けるような音ではハッキリとステレオの効果が判った。感度はモトローラ製ICということで気になっていたが、モノラルでは感度はかなり高くポケットラジオでは最高峰であるのは間違いない。


★終わり
 モトローラ製ICとポケットラジオとしては大型に分類されるFRAと相まって感度はかなりの高感度と言える。ステレオ放送が1局になってしまったので有難味は無いが高感度ラジオとしての存在価値はありそうだ。