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主にラジオを中心としたジャンク・各種実験の同人誌

BKV8601

続・古のマザー BKV8601(その2)

続・古のマザー④ BKV8601(その1)

 BookPCの中身であるECSのマザーBKV8601である。


★部品
 前回書いたがコンデンサはいつものG-Luxonだけでなく、要所にTEAPO製アルミ電解が使われている。少しは懲りて反省したのだろうか(^^ もっともその後G-LuxonもTEAPOに買収されてしまったのだが…。

・コンデンサ
5φ=31本
6φ=5本
8φ=16本(低ESR品8本)
10φ=12本(全て低ESR品)
合計64本

 BKi810でもかなり驚いたが、更にそれを上回るアルミ電解の本数だ。アルミ電解密度では現在ナンバーワンだろう(^^;これはサウンド出力にアンプが付加されたのが効いている。この周りだけで20本くらいのアルミ電解が見える。あまりにも多いので用途は一部しか調べていない。

VRM出力(EC31-36):LZ1500μF6.3V
VRM出力(EC59,60):LZ1000μF6.3V[省略]
VRM入力(EC29,30):TEAPO SC1000μF16V
Vmem(EC276,277,278):LZ1000μF6.3V
Vtt1.5(EC37):LZ1000μF6.3V
Vcc1.8(EC38):LZ1000μF6.3V
Clock_Gen(EC11,12,13):SX10μF25V
12V入力(EC40):TEAPO SC1000μF16V
UC3843B(C283):マイラ0.015μF100V
USB5V(EC26):TEAPO SH470μF10V
WOL用?(EC27):TEAPO SH470μF10V


G-Luxon LZ1500μF6.3V(64mΩ/810mA)
G-Luxon LZ1000μF6.3V(100mΩ/700mA)
G-Luxon SX10μF25V(?mΩ/30mA)
TEAPO SC1000μF16V(43mΩ/1140mA)
TEAPO SH470μF10V(?mΩ/315mA)
TEAPO SH100μF25V(?mΩ/145mA)


・インダクタ
VRM入力(L45):T50-52相当品,#17×8(2.1μH/2.7mΩ)
VRM出力(L46):T50-52B相当品,#17×9(2.7μH/3.0mΩ)


・半導体系
VRM上下スイッチ:PHB55N03LT
VRMコントローラ:L6911B(HIP6004)
PWMコントローラ:UC3843P
ノースブリッジVT8601
サウスブリッジVT82C686B
Clock_Gen:ICS9248-39
SuperI/O:サウスに内蔵
LAN:RTL8139C
Sound:CMI8738/PCI-SX
TV_out:無し


★1Giga Pro(Samuel2)
 1Giga Proの中身はSamuel2コアのC3そのもの。性能に特に見るべきものはなく、低価格と低消費電力だけが売り物のCPUである。3DNow!ではなくSSEが搭載されていれば幾らかマシだったが。CMOVもないので、K6~K6III+シリーズと共にP6互換とは言いがたい。現代のソフトウェアはスピード以前に起動させられない。

C3 667(6~10.1W)
C3 733(6.6~11.1W)

Vcore1.60V(3.8~7A程度)
定常リプル=25~50mV
動的リプル⊿V=75mV

 何しろ極度に消費電力が少なく、しかも負荷によって電流が振れないので、定常リプルさえ満足できればほぼ合格と言える。出力インダクタは多少大きめでも良いはずだ。もっともこのマザーのVRMは12Vソースなので、素で定常リプルもかなり大きいと思われる。


★動かしてみる
 アダプターを自作するための部品はおろか、専用電源の部品まで手に入れたにもかかわらず面倒になってきた。そこでBKi810で使ったATXアダプターを使う。2ピン足りないので隣のピンと接続して誤魔化そう。ところが実は最初の調査が勘違いで、直流的には内部で両方とも繋がっている事が判明した。これで楽が出来る(^^


bkv8601_wf
 ON・OFF共に非常に遅く、効率はかなり悪いだろうな。ピークでも7Aしか流れないCPUだから12Vソースはよろしくない。5Vだったらもっと美しい波形になっただろう。CPUが非交換式なので条件を整えやすいのは楽で良い。ゲートスイッチング周波数は標準に近い193kHzであった。もっとスイッチング周波数を上げたいが、ただでさえ効率が低く発熱も多いので躊躇する。でもまあ300kHz位なら行けそうな気もする。


 いつものようにFDDだけを付けて起動してみる。VGAが立ち上がりBIOS画面が出る。未開封・未使用なので当たり前だが動作品のようだ。BIOS Post画面にはBKV8601と出るので、これをそのままマザーボード名称としてもよかろう。不安な音もせず、怪しい挙動も全く見られない。では続いてテストに入る。


★MEMTEST86+
memtest86+
 MEMTEST86+を走らせるとご覧の通り、99MB/sとメモリがFSB133とは信じられないくらい遅い。それ以前にL1、L2キャッシュともメモリ並みに遅いのだが、本当にこれで実用になるのだろうか。鱈鯖がFSB66MHzのCeleron並みに遅くなるS520Lよりは微妙にマシかもしれないが。勿論品質テストはパスした。FSB133クラスでは問題となるメモリ相性は感じられない。まあこれだけ遅ければ相性の出ようも無いだろうな(^^;


★Windowsテスト
 今回は異例だがHDDを繋げ、Windows(98SE)をインストールしてテストする。これは興味深いSamuel2だから特別扱いで、遅いと噂のπ焼き等を試してみたいのだ。どんなワースト記録が出るのかな。言うまでもないが、(ワースト記録狙いの)わざと遅くするような馬鹿げた細工はしていない。知恵を絞って高速化に全力を尽くして記録を取るのだ。ライバルは能力的にSocket7かな?

=π焼き:ライバルの記録=
6分56秒:K6-2[115x3.5] GA-5AX+(NT4.0)
8分33秒:P55C[125x2.0] GA-5AX+(98SE)
10分12秒:K6-2[100x3.0] 5114VU(98SE)
10分57秒:P55C[ 66x3.5] NPV20(Note)
17分57秒:P54C[ 60x2.0] P55T2P4(NT4.0)

ASUS P55T2P4[Rev2.1]
Fujitsu NPV20
GIGABYTE GA-5AX+[Rev5.2]
Mitac 5114VU(Presario 7360)

 ところでHSDLではWin9xのインストールは通常HDDから行なっている。この方が速くて安定でしかも静かだからだ。今回はプライマリIDEのマスターにFBEX、スレーブにDTLA-305020を付けて起動した。そうしたらスレーブが容量65GBと表示され、しかもOS上では全く認識されない。容量はBIOS設定でスレーブをLBAモードに明示的に指定する事で正常な20Gに認識させられた。同じようなトラブルを持っている(いた)人は試してみると良い。また起動するたびに33になったり66になったりする場合がある。これは依然解決していないが、デバイスの規格を揃えるしかないのだろう。


★ベンチマーク
cpuid
 FSBやクロックだけ見ると、ソコソコ使えそうな気がしてくるのだが…。


mem
 L2キャッシュが全く意味を成していない。というかこれ正常に動いているのか?ちなみにAutoだと極度に遅いので、強制4Bankインターリーヴにしているが意味は無さそう。


3dm99
 ノーマル98SEでやったので3DM2000と2001は計測できなかった。もっとも3DM99がこの様なので「推して知るべし」と言う感じだが。


gogo
 CPUベンチとしてある程度信頼できるGOGOベンチ。今まで計測したCPUの中でもっとも遅いCPUという評価となった。逆にこのCPUは何が得意なのか探す方が良いかもしれない…。


 DX5のFR1.01は3.261とこれも遅い。注目のπ焼きは17分34秒とライバルのP54Cに23秒差で勝利!(^^; イヤイヤそれじゃ遺憾でしょ。相手はFP-RAMとFSB60MHz(120MHz)だぜ。

 それと今回ハッキリわかったが、他社製の石と比べ(以前から言われている)浮動小数点だけじゃなくて整数演算も充分遅いと言う事だ。K6-2/400相当チップと言うのが正しい認識の仕方(^^ 例えこの時代であっても、よくこれを製品として売る気になったよな。いずれXPをインストールしてみたいが。


★終わりに
 ピークでも10Wしか食わないCPUのお陰でVRMの負担も少ない。効率の低い12V電源と言う事を考慮してもかなり消費電力の少ないPCが出来上がるハズ。問題は能力も電力分くらい低い事だ。特に浮動小数点演算はクロック1/2と考えても劣っている。その点でユーザーの使い方が問われる事になるだろう。C3を充分に活用できる人が「賢いPCユーザー」と言うことになるね。筆者は無理だと思うけど(^^ しかしIntelでもAMDでもないアウトサイダーCPUということで、ただ動かすだけでもワクワクする石だ。VIA製をはじめC3オンボードマザーは少なくは無いので、店頭で見つけたら手に取ってみよう(多分欲しくなる)。

 なお改造という点から見ると、現時点でも全く問題が無い事から必然性は感じない。唯一10年物のアルミ電解の寿命が問題になるくらいだろうか。これとて未使用なので喝入れ後は最低でも4、5年は問題なく動作する可能性が高い。VRMのパワーMOSFETの発熱も12Vとしては極度に低い。と言う事で暫くはノーマルにてテスト走行させる。何か気づいたら随時報告する。

続・古のマザー BKV8601(その1)

 またもやECS(エリートグループ)だが、これはECSのマザーがジャンクコーナーによく置いてある事を表している。まあダメな物のダメな所をよく研究する事が、逆に良い物を知るための勉強になると言うこともある。ちなみにボードの正式名称は判明していない。タイトルネームはベアボーンPC自体の名前だろう。実際は同機のマザーボードは複数存在する。


★BKi810より良くなった部分
1.C3で省電力・低温化
2.PLE133によりメモリが1GB積める
3.PLE133によりFSB133MHz化
4.IDEがUDMA33⇒ATA100化
5.VRMが同期整流化
6.入力コンデンサが低ESR品で強化
7.PLE133によりVGAがやや高速化
8.サウンド出力はアンプ内蔵

 8601が特に良くなったと言うよりBKi810が酷すぎたんだよな。BKi810のケースを持っている人はフォームが全く同じなので置き換えに良いかもしれない。悪くなった部分は特に認められないが、CPUが交換できない事とVideo出力が無くなった事がデメリットと感じる人もあるかもしれない。


bkv8601
 検索してみるとこのタイプは珍しい。多くの場合BookPCにもATXタイプのM787CLRが入っていたからだ。当該板はATX電源ではなく、例のオリジナル6ピン電源で動く。珍しくなくてもいいからノーマルな奴が良かったな(^^;

 チップセットはPLE133で、サウスは686BだからATA100が使える。IDE、特にHDDの速度はデバイスの中で最も体感に強く影響を与える(ボトルネック)ので重要だ。またFSB133になった事でメモリ帯域も不足無いものとなった。もっともC3自体のメモリ周りのスループットが極度に遅いので恩恵はあまり無いかもしれない。

 ここで気づいたのだが、ApolloPLE133のサウスって686BじゃなくてVT8231だよね。これは安かったのか、それとも余っていたから使ったのか(^^; でもまあV-Linkじゃ無いからどうでも良いか。

 機能的な変更ではコンポジットビデオ出力が廃止された。基板上には配線は存在しているので、バージョンによっては機能が有効なのかもしれない。このクラスのPCではTV出力は有用とは思われないので問題なかろう。


1giga_pro
 このマザーの唯一にして最大の売り物はオンボードCPUだ。1Giga Proという誇大な名前が付いているが、実態はただのVIAのC3(Samuel2)667MHzそのものである。発熱を減らすためかFPUがハーフスピードで、浮動小数点演算がCPUクロックの割りに驚異的に遅い事で知られる。加えてこのマザーのチップセットはVGAシェアメモリなので、Superπだけならクラペン133+430HXにも負ける可能性がある。これはクロックが1/2とかそういう問題ではなく、CPUのアーキテクチャー自体に欠陥があると言わざるを得ない。


・C3と言えばDNRH-001(中身はEPIA-PDっぽい)なんてのもあるが、勿論BKV8601とは比べ物にならないくらいDNRH-001の方が良品だ(^^
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20110122/image/kdnrh1.html
http://pc.usy.jp/wiki/index.php?DNRH-001


vrm
 VRMは一般的な同期整流方式に変更された。これはBKi810のV7.xからだが、VRMコントローラはBKi810(V7.x)で採用されたHIP6004BではなくL6911Bが採用されている。RT9224も含め、これらは互換チップである(ピン互換でそのまま差し替えも可)。KA7500BのディスクリートVRMとの比較が楽しみ。上下スイッチはPHB55N03LTが使われている。FDB6030LやIRL3103Sと並ぶ当時の標準的な石だ。

 このマザーはGA-7ZXRの如くVRMが変な位置にある。メモリを迂回してるので配線が長く抵抗が大きい。出力インダクタがT50-52Bの#17×9回巻きだが、低電流のC3だからこれでもいいのだろう。入力インダクタが採用されたのは大きい。これはVRM入力の12VがDCされていないBKi810の方にこそ採用して欲しかった。

 入力コンデンサに低インピーダンス品が使われるようになったのも大きな進歩。しかもECSお得意のG-LuxonではなくTEAPOのSC1000μF16V×2で、信頼度は大幅に向上したと言って良かろう。出力コンデンサはG-LuxonのLZ1500μF6.3V×6である。12Vソースだと定常リプルが5Vに比べて大きいので本数を減らせない。なお8φのアルミ電解が2本省略されているのが判るが、これはLZ1000μF6.3Vと推定される。VRM出力コンはかなり疎らに立っているので、12.5φでも6本は立てられる。改造は(多分)しないだろうけど。


c3_dc
 CPUの裏面のDC。ケチで有名なECSがこれだけ厳重にDCしていると言う事はC3は不安定なのだろうか。もっともこのCPUはBGAパッケージなので、ソケット内に付ける事は出来ないのだから裏に付けるのは当然といえば当然かもしれない。


ics9248_39
 クロックジェネレータICはおなじみICSの9248-39が使われている。66~150MHz迄でこの時代の標準的な石。クロックはソフトウェアで可変できるハズ。


ple133_dc
 ノースブリッジはFSB133MHzでVGA内蔵と言う事もあり、比較的厳密にDCされている。無くても動くが、原因不明の不調はこれが原因の場合もあるので油断大敵。チップセット内蔵ビデオが高FSBで不調の場合はこれで解決する場合もある。他はDDRのようなミアンダ配線も無いし、特に気難しいチップとは言えない。


apl431
 APL431を使ったディスクリート非安定化電源も相変わらず方々で見られる。流石にツェナーよりは精度も安定度も高いが、態々PC用の電源に使うようなものではなかろう。既にこの時代では高性能レギュレータICに対する価格アドバンテージは無いに等しい。


5_3r3_dc
 5Vと3.3Vを生成している電源も健在だ。オリジナル6ピン12V電源と合わせてBKi810との互換性が保たれているが、代わりにATX標準規格との互換性が落ちるのは止むを得ない。


rtl8139c
 LANチップはDM9102Fから一般的なRealtekのRTL8139Cに変わった。CPU使用率がやや高いが、安定性には特に問題は無い。ドライバの更新が滞っているような製品よりははるかにマシ。


tda2822
 サウンドチップのCMI8738は変わらないが、サウンド出力にはTDA2822による出力アンプが追加された。ヘッドフォンや小型のSPドライブには必須と言える。


 1枚完結型のマザーだからPCグレードアップの愚行とは無縁で潔いが、セカンダリIDEが無いのがHSDL的には応える。HDD2台を別々のチャネルに繋げられればパラレルATA用HDD初期化用マシンとして使えるのだが。それはさておき、カメラに例えればレンズ非交換式のコンパクトカメラと言ったところか。

 続く。
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