この記事は「ラジオを製作・組立した事がある」「ラジオの回路に深い関心がありスーパーヘテロダイン方式について理解がある」「感度・選択度・安定度・多信号特性について其々完全に理解している」「HSDL用語集を全部読んでいる」「前回までの記事を全て読んでいる」の条件を全て満たしていることを読者の条件とする(リンクについての条件はこちらを参照)。

FUJITSUの販促品?のライト付きペンダントラジオ(^^;


 2019/10/13に入手したFUJITSU製品のおまけラジオ。この手の販促商品はピカ厨を見れば分るようにヒドイ物が多い。世間的に普及しているカテゴリではないが、昔からこのラジオ界には暗黙のカテゴリとして「景品用ラジオ」という分野がある。景品用ラジオはおまけなので下級品はストレートラジオのような非実用的なものが多い。このラジオも景品用ラジオに分類される物件だがどうだろうか?先回りして言うとやっぱりヒドイのだが(^^;


★外観
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 全景はこんな感じ。首からぶら下げると…ラジオとすればそんなに不快なほどではないがライトだとすると大き過ぎる。ネックストラップは取り外し可能。


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 電池は単4×2本。御覧のようにこの赤は塗りなのだ。手抜きなのか手が掛かっているのかよく解らん(^^;


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 こちらはラジオとランプの操作系だ。バスブーストが笑えるが変化はある。ブーストは大げさだけど。ちなみに書き忘れたけどSPは無い。このサイズだから無理だよなあ。


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 同調ダイヤルはここにある。ポケット系は上に付けるのが常識だ。しかしこのダイヤルの場合は見ながら操作するのは無理。


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 先端にランプとイヤホンジャックがある。


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 御覧のように組み立ててから塗っている。結論、やっぱり手抜きなんだな(^^;


★電源を入れる
 草臥れた単4電池×2本を入れて先ずライトを試してみたが全く点灯しない。死んでいるのか?次にラジオの電源を入れたら動いた。動いたのだがこれは一体なんだ?イヤなんか昔覚えがあるなこの超低性能(^^; そうピカ厨だ!あれは今までで一番ヒドイと思っていたがこれはそれを軽く超えるかもしれない。

 まずAMだがAFNとTBSがグチャ混じって聞こえる(^^; これは選択度が低いとかそんなレベルではない。例えるならゲルマラジオだ。恐らくピカ厨と同じくストレートラジオなのではないか。スーパーヘテロダインでこんなに選択度が悪いわけがない。

 AFNはバンド全体に広がっているがダイヤルを下げた時に大きめになる。TBSはやや弱いがこれもバンド全体に広がっている。強いて言えばダイヤルを一杯に上げると強めになるという、当地のゲルマラジオそのものの挙動だ。MWバンドでストレートラジオが現代で実用になるわけはない。もうこれから先の楽しみはICが何なのか?と言う興味しかない。

 FMはAMに比べればマシだ。ローカルが受信できるし一応分離もしている。ただこのダイヤルは同調が非常に難しいので実用になるかどうか?イヤできるだろうけど使っているうちに宇宙の彼方に投げ捨てたくなるだろう。一度ハズレてしまった同調を取りなおすのは少なくともポケットの中では不可能に近い(^^;


★バラす
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 ネジ3本でアッサリ分解できる。粗ニーのような陰険な篏合などは無い。これはC国製の良さだろう。


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 衝撃だったのはライトがLEDランプではなく、ただの3V?豆電球だった事!(^^; これでは弱ったアルカリやニッスイで点灯するわけがない。点灯しなかったのは壊れているのではないのかもしれない。


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 AM部はTA7642互換品を使用した予想通りのストレートラジオとなっている。これと小さなFRAで真っ当な性能が出るわけはない。

 フェライトロッド・アンテナは3.4φ×25.5mmという極小品。HSDLのフェライト指数は87となり、過去にFINE WAVE STATION(セリア100円ラジオ)が記録した100を下回って史上最低となった。何しろHSDLで自作したものよりも遥かにプアーなのである(^^; こんな短小アンテナでもAFNとTBSはストレートラジオでガンガン聞こえるのだから強電界はイヤになる。


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 FMはSC1088という専用ICでIFを約70kHzに変換しているらしい。イヤおかしくね?70kHzではFMに必要な帯域幅が確保できないではないか。出来たとしてもかなりナローになってしまう予感。尤もアクティブRCフィルターと書いてあるからLCと違って帯域は自由に選べそうだし広いのかも。


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 外付けTRが二つなので恐らくRF付きだろう。アンテナが無くても使えるのはそのせいかな。あれ?この抵抗は一体なんだ?切ってあるじゃないか。繋いでみたけど特に何も変わった様子は無い。何なんだこりゃ?


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 本名はこれか。PA-688なんて特徴が無さ過ぎ。それよりもアンテナのリード線が基板穴を通っているのが目を引いた。

 これでもう知りたい事は無くなった。皆様ももう良いですよね?(^^;


★終わり
 以上でこのラジオは終了だ。「ライトが付いている小型ペンダントラジオ」とか書けば何か役に立ちそうで興味が湧くが実はこんなモノなのだ。中見も思った通りの「景品ラジオ」でラジオ製品としてはこれ以下は無い凄惨なものだった。こんなジャンクラジオを大枚300円で買ってしまったのは筆者の一生の不覚と言える(^^; メーカー機では見かけないSC1088の採用例が見られたから良いか。