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主にラジオを中心としたジャンク・各種実験の同人誌

GA-6BA

GA-6BA[Rev2.4](下の下の下)

 前回決定した通りに部品を並べてみると、WG3300×5本、PXA×3本というのは外見的にバランスが悪い。そこで両方とも4本ずつとした。容量は約15000μFで、ESRは約1.88mΩとなる。後はRC5051Mに期待する(^^;


 しかし実際に組まないとどうなるのか分らない。やはり実際にやってみることだ。とりあえず全部抜いちゃいました。もったいないけど、使っていれば近い将来に寿命が来るのは明らかなので仕方が無い。しかし第6世代はコンデンサが抜き易いなあ。S875WP1を弄った後なので尚更そう思う。
before


 差し替える…インテルみたいで(笑)かっこいいじゃん。河童P!!!1.1GHz以上まで対応可能。実際は親会社で余っているWG3300μF6.3Vを使いたいだけだったりする。
after

 正直こんなクオリティは必要無いのだが、これだけ贅沢に使ってもWX1500μF6.3V×8の半額以下で済む。仕入れ値の関係だが何となく理不尽な物がある。寿命は10年は大丈夫なので、もう交換することは永久に無いだろう。


 動作状態で波形を観察してみたが、な~んと発振しているではありませんか?(元波形)。RC5051Mはそんなに根性が無いのだろうか。でもこの波形はいわゆる異常発振とは違っている。何となく前からあったリンギングの周波数が極端に下がった感じ。
hasshin


 でこの後色々試したら直ってしまった。意外な真犯人は何とC37で、この1μF16Vのパスコンを外したら問題なくなった。安易な埋め趣味は反省しなくてはいけない。ここには本来PF単位のMLCCを付けるべきなのかもしれない。回路図上はコア出力コンデンサと並列なんだけど、このくらいの周波数になると位置によっても大幅に変わってくるのだろう。


 これが最終のスイッチング波形。元波形と比べてリンギングが明らかに減少している。またアンダーシュートが別物と言ってよいくらい減少した。
kansei

 スイッチング波形に影響が出るとは思っていなかったが、これは嬉しい誤算と言えるかもしれない。Vcoreのリプルは、以前の設定ではトリガが掛からないくらい減少した。全体の回り込みノイズレベルも下がっているはず。苦労の見返りはあったのかな?



 面倒と言うか完璧に飽きてきたのでこれで止める事にした。エージングが終わったらさっさと納品してしまおう。しかし本当に採用されるだろうか(^^;

GA-6BA[Rev2.4](下)

 今回は愈々コア電圧出力コンデンサを交換する。前回の終わりに書いたように交換しないという選択肢もあり、また現時点では交換の必要も無いのだが、このマザーを実用し始めたら原則として交換は出来ない。ということで二度と変えなくても済むようにここで交換してしまおう。

 コンデンサは劣化し始めると一気に進むことが多い。それまでは全く何ともなかったのに、劣化の早い1本が閾値を切ると雪崩の如く他のコンデンサも劣化する。これはESRが増えると抵抗が増し、更にその抵抗が熱を発して劣化を促進するからである。金利で言ってみれば、損失は(元金も増える)複利みたいなものだ。

 ここに手持ちの三洋WX1500μF6.3Vを8本並べればそれで万全なのだが、かなり前の段階でそれはやらないことにした(結局WXは入力側に使った)。何故かというと普通すぎて面白くないから。同じくWG1800μF6.3V×8に交換する案も却下する。これも普通に思いつく案だ。

2014年1月5日:この辺りのシミュレーションは規格が変わったので削除する。

 と言うことで結論が見えてきた。理論通りと言っても良い。

・静的リプル改善にはESRだけが効いてくる。
・動的リプル改善には主に容量が重要。

 このことから、よくエンスーの方々(←バカにしています)がやっているOS-CONを使って容量を落とすのはあまり良くないんじゃないかと思えてきた。固体を使っても容量はある程度は確保した方が良い。どのくらいが良いかはケースバイケースなので各自試すより他はない。人の話を聞いたり見たりして楽をしようとしているm9(^Д^)、それは考えが甘いのだよ(まあGA-6BA[Rev2.4]ユーザーは楽できるか)。

 踏ん切りを付けるためにやってみたシミュレーションだったが、反って迷いが出てきてしまった。と言うことで交換はまた今度。…いいのかそれで(^^;

GA-6BA[Rev2.4](中)

★旧部品撤去
 調査、プランニングが終わったところでいよいよ実作業に入る。まずは交換するコンデンサを全て抜き去る。写真ではコア出力コンデンサが抜いていないが、これはまだ迷っているため保留する。
zenkei1



★資材調達
 抜いたのは殆どがJENPO[WR]330μF25Vであるが(全部で16本)、全て同じ物に変えるわけではない。ノースは三洋主力、サウスはルビコン主力、あと日ケミが少々。この中で一番高価格なのは三洋WX。

・PCI周り
JENPO[WR]330μF25Vx6⇒ルビコンZL470μF16Vx6

・サウス周り
JENPO[WR]330μF25Vx5⇒ルビコンYXG220μF25Vx6

・Vtt周り
JENPO[WR]330μF25Vx3⇒日ケミKZH390μF25Vx3

・起動部分など
CHOYO[MR]22μF16Vx2⇒日ケミKY22μF50Vx2

・メモリ周り
JENPO[WR]330μF25Vx2⇒三洋WG1800μF6.3Vx2

・コア電圧レギュレータ入力
三洋DX1200μF6.3Vx2⇒三洋WX1500μF6.3Vx2

・コア電圧出力部(C37追加)
不明(忘れた)日本製MLCC1μF10Vx1

 新顔のYXG220μF25V以外は、HSDLでは何れもお馴染みの面々である。ケチらないようにとお達しがあったのだが、やっぱり何となくケチっている気がする。コア電圧出力コンデンサはケチらないようにしたい(^^;
buhin



★実装
 交換部品を取り去り部品が揃えばあとは簡単。しかしスルーホールなのでハンダ付けには慎重さが要求される。多少時間が長くなっても、ハンダが完全に流れたかどうか確認しながらやる(ベタパターン部分は30Wでは2秒では流れない)。しかし1時間もあれば洗浄まで終わるだろう。
zenkei2


 これが追加したインダクタ付近のMLCC。何となくずれているのが気になるが、言い訳その1、周りが狭くてハンダゴテがうまく使えない。言い訳その2、左側のパターンのハンダが全く溶けない。
c37



★テスト
 ご覧の通りのバラック状態でテスト。CPUは長年愛用のSL3CCだが、カトマイながらファンレスとなっている。気温17.7℃、実測2.06VでCPUをフルに回すとヒートシンクが60℃を越える。実用していた時は1.75Vだったので、ケースに入れても50℃程度に収まっていた。
zenkei3
 メモリは先日のRegEccPC133SD-RAM256MBを使用。バンクの関係で半分しか認識しなかったがエラーは出なかった。マザー、メモリとも正常のようだ。コア部分の波形も変わらず良好。


 冒頭に書いたがコア電圧出力部分は迷っている。来週までに結論が出るだろうか。

1.全部三洋WG1800μF6.3Vに置き換える
2.WG3300μFx4+固体470μFx4に置き換え
3.交換はしない

 さてどうする[1-3]?

GA-6BA[Rev2.4](上)

 ずっと昔のまだ前世紀に買って、組み立てはしたが使わなくて放置していたマザー。ご覧の通りのATマザーである。ここ2、3年で起動した記憶が殆どない。ケースに入ったマザーとしてはいくら気の長いHSDLでも整理対象なのだが、このマザーがATフォームのため長生きしているのだ。しかしこのたび親会社(いまだにATケース使用)に採用されることが内定したので、オーバーホール&点検してやろうというわけだ。10年物だからアルミ電解コンデンサは全て交換対照となる。
zenkei
 いつものようにまずはコンデンサを電圧によって色分け。基本はATマザーだから3.3Vはボード上で作られ、ATX電源の3.3Vは使われていない。ボード上では3端子シリーズレギュレータによって5Vから実測3.4Vを生成している。あまり電力の大きなカードはつけられないが、品質から言えばこちらの方が断然良い。要は使う人間(の頭)次第である。



rc5051m
 このマザーはリヴィジョンによって河童対応とそうではないのがある。これはコントローラがRC5051Mなので対応している。本来ならRev2.4は対応していないはずだが、Web上の情報だけではアテにならないので自分で確かめるしかない。動かないと思っていただけにちょっとラッキーな気分(今まではカトマイ550MHzを使用)。



glaycore
 珍しい灰色のトロイダルコア。これは何だろう、灰色を使っているのは28材とか33材とかだけど。まさか3材じゃないよね?アレはRF用だからなあ。C37は追加したいところ。



coreout
 CPU周りは三洋DX1200μF6.3Vが使われている。まだギガバイトが安定していると信じられていた頃のマザーである。実際はそれはウソで、BIOSで思いっきり緩めてあるのと殆ど弄る所が無いからだ。例を挙げればFSBなど66/100MHzの二通りしかない。つまり遅くて弄れないから不安定にならないだけだ(品質は違うがインテルマザーと同じ)。チップセットのレジスタを弄ると速くて不安定になるのは他社製と同じ。しかしMLCCが省略されていないのが21世紀のギガヤバイトm9(^Д^)との違いだ。ここはポイント高いですね。



jenpo
 JENPO330μF25Vですか…後のギガヤバイトm9(^Д^)の萌芽が見られる。全部交換だが何に変えるかが資材担当者の腕だ。CPU周りは三洋WG1800μF、それ以外は優先的に消費したい奴に変える。Vtt1.5Vはシリーズレギュレータだから容量に迷いますね〜。あまりESRが低くなくて、容量が470μF程度の物が良い。LT108x(及び互換品)程ではないと思うが、超低ESRコンデンサでは発振したり不安定になる危険がある。LX838xはP54C時代のCPUコア電圧レギュレータ向けらしいが、当時はこれで足りてたんだねえ。



atx_at
 P2B-Bもそうだが、過渡期の製品だから電源はATXと両用である。このお陰でACPIに対応できるわけだが、古いACPIリヴィジョンだからまともに動作するかは分からない。恐らくS3、S4は無理でしょうなあ。

 間抜けなところも見てほしい。CPUFANコネクタがメモリの向こう側にある。勿論リテールファンはコードが届かないので普通には使えません。GIGAヤバスww。だが大きな欠点はこれくらいである。



vmem
 これらは恐らくVmemのデカップリングと思われる。台湾製なので勿論交換だが、オリジナルの330μFでは足りない。ここは三洋WG1000μF6.3Vを2本使用する。実用マシンなのであまりケチらない。



3vreg
 このレギュレータICが3.3Vを生成している(実測3.43V)。出力コンデンサが1本に省略されているので元に戻す。しかしあまり低ESRな物は使えないので、ルビコン220μF25Vを使用。買ったものが早速使えて嬉しい。チビコンは2本ともCHOYO22μF16Vなので、これはいつものニチコンPJ22μF50Vに交換する。



pci_dc
 PCIスロットも全て台湾製が使われている。JENPO[WR]330μF25Vは三洋WG1000μF6.3Vに交換する。



clock
 上側のICが、このマザーの大きな欠点の一つであるクロックジェネレータ。当時の規定の100/66MHzしか生成できない。このおかげで遊びには使えないし、FSB133MHzという野望も実現できない。下側のICはSD-RAMバッファ。DIMMが4本なので必須といえる。



atkyb
 これはレガシーフリーじゃありません(笑)。ATマザーはキーボード以外は全てブラケットで接続する仕様である。LPTとCOMは必要ないと思うが、MOUSEとUSBは付けなくてはなるまいなあ。USBは2.0のカードを付けても良いんですけどね。



switch
 一応計測してみよう。スイッチング部分は特に問題ない。メガ単位のリンギングが見えるが気にしないでも良い。スイッチング周波数は302kHzで、これはRC5051Mの標準周波数300kHzとほぼ同じ。



output
 コア電圧出力波形は特に文句はない。三洋DX採用と、丁寧に大容量MLCCを貼った効果であろうか。この熱意を入力部分にも振り向けて欲しかったが…入力部分はショボイ。ちなみに低電圧下げ運用の場合は、出力コンデンサを強化すると非常に安定する。オーバークロック(&喝入れ)には何故か効果は薄い。



 以上色々書いたが、ボード上に知らないパーツが全くないので回路は解りやすい。枯れたパーツばかりだし、それなりに信頼しているマザーである。次回は実際に部品を交換してみる。

 余談ながらこのマザー、オークションではかなり高値で取引されている模様。ATフォームはアップグレードパスが限られており、例の唯一のP4マザーを除けばこれくらいしかないのが実情(アポロは遅いし…)。440BXマザーではP2B-Bもあるが、あれはPCIが3本しかなくて実用性が下がる。これを買ったときはタダ同然に安かったんですけどね。

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