HSDL.blog.jp

主にラジオを中心としたジャンク・各種実験の同人誌

ICF-S19

SONY ICF-S19

この記事は「ラジオを製作・組立した事がある」「ラジオの回路に深い関心がありスーパーヘテロダイン方式について理解がある」「感度・選択度・安定度・多信号特性について其々完全に理解している」「HSDL用語集を全部読んでいる」「前回までの記事を全て読んでいる」の条件を全て満たしていることを読者の条件とする(リンクについての条件はこちらを参照)。

ICF-S60に似ているけどチョイ安っぽい日本製ラジオを解剖する(^^;


 前回のテストはなかなか良かったが、今回はバラして中身を解析する。ついでにダイヤルの不具合が直ればいいな。


★開ける
icfs19_05
 このメーカーの製品なので陰険な篏合が予想されるが、ICF-S60は中級機という事で修理も考えていたのかそのようなワナは無かった。但し組み立て状態で調整が出来ないという致命的欠陥がある。このS19はどうだろうか?


icfs19_06
 蓋は開いたが…爪が全部落ちている?!どうも一度開けられたらしい。それなのに調整が狂っていないのは何故か?実はその後が難しいのだ。この状態では全く調整を弄れないのが幸いしたか?


icfs19_08
 爪が出てきたぞ(^^; 開けやすかったのはそのせいか?全部落ちているのかも。

 不具合の出ているダイヤル機構はギヤと糸掛けのハイブリットだった。つまり糸掛けユニットとバリコンをギヤで繋いでいるのだ。ダイヤル不良なのだがこれは設計が悪く、軸がフニャフニャ(軸受けが浅くて緩い)なので回し方に依ってギヤの間隔が開いてスリップしたり噛むらしい。どうせなら全部ギヤにするか糸掛けにすべきだったな。ギヤに汚い油が付いている。これって元から?違うだろ。この油も不具合を強調するのでよろしくない。スリップするところに油塗るバカが何処にいる?ここに居た(^^;

 これを開けた前ユーザーは基板を見る事ができなかった、或いは最初から見る気が無かったのだろう。恐らくダイヤル不調を改善しようと思ったはず。このギヤの油は恐らく前ユーザーが塗ったと思われる。だが不具合は設計不良によるものだったので本質的には直らない。結果として火に油を注いで使い物にならなくなったという無残な結末。


icfs19_09
 前回「これに日本製の良さは無い」と書いたが、この辺りは日本メーカー製であることを顕著に表している。中国製ならシールドなんて絶対にしないよ(^^; この辺りでもう気づいたけどICF-S60とは似ても似つかない中身だった。かなり思想が古い。


icfs19_10
 この先が難しい。ダイヤルユニットから基板が剥がれないのだ。この時点でこの生産はクソだと評価してしまう。この基板を剥がなければ調整できないのに剥がれないのだから。


icfs19_14
 やはり高感度の要因はフェライトロッド・アンテナだった。現在ではあまり見られない長いものが入っている。HSDLのお馴染み精密計測(笑)に拠れば7.8φ×98个世辰拭8称8φ×100个覆里任靴腓Αフェライト指数は764となりICF-S60(792)とRAD-F620Z(700)の間の10位にランクされる。リード線の処理は流石にキッチリしている。中華にはここを見習ってほしい。上手くやれば数dBは改善されるはず(^^;


icfs19_15
 SPは安物っぽい。しかしハンディラジオとしては充分に良い音がするのはSPグリルで手を抜かなかったためか。数少ない美点だ。


icfs19_16
 組み立てるのはバラしの10倍時間が掛かった。実装部品が其処此処に当るのでテキトーに組み立てると基板が付かないのだ。こういう組み立てにコツがいるような製品はダメ。だって一品モノの手作り高級機ではない量産ICラジオなんですよ。この会社で働いていなくて良かった。たぶん設計者をぶん殴っていると思う。


icfs19_17
 あとには中に入っていたカスが残った。これ全部ツメなんだよね…(^^; 誓って筆者の仕業じゃないからね。RF-P50やR-P30のは筆者の仕業だが。

icfs19_18
 やっと元に戻った。電源を入れたらFMは完全に動いたがMWの音が出ない!(^^; 感度が極度に下がっているのでアンテナのリード線若しくはそのハンダ付けを切ってしまったのではないだろうか。またやり直し?また今度な。ちなみにダイヤルは筆者が組み立てたので?だいぶマシになった。今のところ引っ掛かりは出ていない。今回の不具合は{設計が悪くギヤ間に隙間が空く→バカユーザーが油差す→完全不調}というプロセスだ。


★基板
 ここで一番チェックしたいのはICとCFである。


icfs19_11
 ICはA1019とある。SMDタイプのCXA1019Mだ。一般的だね。裏にシールド板が付いているところに日本メーカー製を感じるがめんどくさいだけで特に必要はないよね。それとラジアルリード部品ばかりなのになぜCXA1019Mを使ったのかもよく解らない。まさかシールド板を貼るためだったわけではあるまい(^^; 粗ニーに余っていたSMDタイプを安く押しつけられたか、或いはコストダウンのため積極的にこうしたのか(一般的に面実装部品は安い)。いずれにせよ生産・資材調達の都合だろうけど。


icfs19_12
 455kHzのCFには何とシールドキャップが!なんて馬鹿丁寧なんだろう。飛び込み防止・発振防止・IF漏れ防止と、どれをとってもこんなモノは要らないと思いますが(^^; 中身はSFU455以外に考えられないので確認する必要も無いだろう。何にせよ能力が不足しているのは前回テストの通り。


icfs19_13
 FMの10.7MHzのCFはTDKぽい。これもシングルだからどれでも大した事は無い。この時期に限らずFMのCFはSFE10.7で充分ってラジオ設計の教科書にも書いてあった。もうCFM局は誕生していたんだけどなあ。FMのトップに出来合いのバンド・パス・フィルターが採用されていたのが唯一の見所。イヤ待て、横にある局発?コイルはコア入りボビンじゃないか。これは良いな。ここだけ日本製の良さが出ている(^^


★終わり
 組み立て状態で調整できないところはS60/S65Vと同じだったのでHSDL評価は低い。このメーカーの日本製はトラッキング調整がどれもイマイチなのだが、それってこのような欠陥のある筐体が原因なんじゃないかとすら思える。何故なら同メーカーの中華製は組み立てたまま調整でき、しかも調整が非常に良く取れていて気持ち良いくらいなのだ。筆者がこのメーカーの日本製ラジオに対して憂鬱になるのはそれが大きい。


★追記
icfs19_19
 聞こえなくなったので内部を確認してみたらFRAのリード線が切れていた。PVCのも引き込み線も両方切れている。これでは聞こえるわけは無い。


icfs19_20
 仕方がないので繋いだ。ハンダは乗っていた奴を流用したのでチョット汚いがもうヤル気がしないのでこれで良し(^^; 結果はまた高感度が復活しました。

SONY ICF-S19

この記事はレビュー記事でも懐古記事でも買い物ガイドでもありません。シロート向けの使い勝手などの一般的評価は書いていないので、ラジオ好きで超マニアックな常連の変人以外はここでお帰りください(^^/~

ICF-S60に似ているけどチョイ安っぽい日本製ラジオ(^^;


 2019/12/16に330円で入手したラジオ。今までジャンクで数回見てきたけど、いつもどれも高かったのでスルーしていた。今回は適価だったので遂にゲトした。


★外見を見る
icfs19_01
 ICF-S19はICF-S60を思いっきり安っぽくプラスチッキー(笑)にした感じ。どっちもプラだけどマットじゃなくて光沢なのが安っぽく見える原因だろう。SPグリルがプラ打ち抜きではなくパンチングメタルなのが救いだ。SPグリルは安物でも手を抜いて欲しくないね。まあ通常は抜かれますが(^^;


icfs19_02
 HSDLの事前チェックでは「ダイヤル不良」とある。ちゃんと動く時も微妙な引っ掛かりを感じるが、偶に派手にガッチリ止まる事がある。こうなると受信範囲が異様に狭くなってしまう(^^; これに似たS60はダイヤルはギヤ駆動だったがこれはどうなんだろう?ギヤならこうはならないと思うのだが。


icfs19_03
 この「汎用マルチストラップ」と言って良いのか分からんが(^^; どう見ても近い将来「割れる・折れる・消滅する」しか考えられない。ジャンクではコイツが消えているのが多い。どういうつもりで付けているのだろうか?やっぱり一年持てばいいのかな。この頃になると日本製も落ちたものだ。ハッキリ言ってこのラジオに日本製の良さなんて欠片も無いじゃないか。こういう廉価勝負になったら中国に勝てるわけない。


icfs19_04
 一番驚いたのはこの電源部。S19の電池は単三2本仕様なのだ。S60は3本仕様だったので1.5V電圧が低い事になる。ユーザーとしては2本の方が良いが、長く安定動作するのは4.5Vの方だ。3本なら充電池でも安定して動く。どちらが良いかはケースバイケースだ。ちなみに単三3本機は電池を2本に減らしても動作はする。また2本機にACアダプターで4.5Vを加えてもそれが原因で直ちに壊れる事は無い。


 当該機は傷はそれなりにあるが消滅しているモノは無い。なるべくならそういうものを手に入れたい。そうでないとマヌケな事を書いてしまいそうだから(^^; 1.2Vの充電池を入れて電源を入れてみたら普通に動いた。けっこうバリバリ入っているので感度は良さげ。では受信テストしてみよう。


★受信テスト
 正常に動いているようなので受信テストにかける。MWは環境があまり良くないのでFMで勝負したいが…。

=周波数範囲=
MW下限:519kHz(520kHz)
MW上限:1645kHz(1650kHz)
FM下限:74.8MHz(不明だが75MHzくらいか)
FM上限:108.05MHz(109.5MHz)
*電源電圧が変化したり長時間経つと数kHz程度は変わってくる。

 カッコ内は規定値。MWの下はほぼピタリ、上がちょっと足りていないがまあ許容範囲でしょう。FMも下限はほぼ合っており上限は現状あまり関係無いけど一寸低い。概ね合っているので恐らく中身は弄られていないと思う。

=MW昼間受信テスト=
〇 639kHz:静岡2(PB)
△ 729kHz:名古屋1(CK) ;混信が酷い
〇 765kHz:YBS大月
〇 882kHz:静岡1(PK)
〇1062kHz:CRT足利
−1098kHz:相互変調波
〇1197kHz:IBS水戸
△1404kHz:SBS静岡 ;混信が酷い
〇1458kHz:IBS土浦
〇1530kHz:CRT宇都宮
〇1557kHz:SBS熱海 ;驚くほど良い

〇:完全に内容を確認できる
△:何とか局を確認できる
×:聞こえない、或いはキャリアのみ

 ノイズが酷いので不本意ながら移動受信を行なった。場所は善福寺公園である。特記無き場合は以後ここでテストをする事になる。ここはHSDLと比べるとノイズが皆無に等しいのでかなり下駄を履かされているが、それでも全局受信できて感覚的に感度は良い方だと思った。RFアンプで強引に上げたノイジーな感度ではなく、パッシブループで浮かび上がるような静かな感度と言ったら分り易いか。恐らくフェライトロッドが他より多少大きいのだと思われる。全体的に見ると微妙に感度ムラがあり低い方より高い方が良く感じる。当地ではバンド下の局の方が良いのだが、このラジオだと上から下まで平均的になる。取りあえず感度で不満が出る事は無いだろう。なお1098kHzに顕著な相互変調波が発生していた。ここはどのRxでも発生する相互変調に弱いポイントだが、ここだけ強力なのは殆ど見られない異常な出方だ。

 感度は高いが選択度はこのクラスなのでよくない。例えば名古屋1は東京2と一緒に聞こえるしSBS静岡はRFと一緒に聞こえる。それもSSではなく生で聞こえるところがヤバい(^^; もしこのラジオを改造するとしたらまずCF交換だね。そして選択度が改善されたら素晴らしく良いラジオになりそうな気がする。

=FMバンド(76-95MHz)=
△76.5MHz:Inter FM(横浜300W)
△78.2MHz:むさしのFM(武蔵野市20W)
〇84.2MHz:FM西東京(西東京市20W)
△88.3MHz:J-WAVE(みなと100W)
△94.6MHz:IBS補完中継(水戸1kW,83km) ;部屋を選ぶ

〇:完全に実用になる
△:部屋やアンテナの方向など条件が付く
×:聞こえない、或いは確認できないレベル

 FMはHSDL内でテストした。但しテスト局は東伏見時代のを半分に絞って簡略化した。この製品はFMはワイドバンドなのでMW補完放送も聞ける。どの局も感度的には難易度は低いが、選択度的にむさしのFMは200kHz離れたJCOM再送信にカバーされるので厳しい時がある。

 FMも選択度は良くはないが、元々この時期FMの選択度が優れた市販ラジオは少ない。ポケットラジオだと高級機でも2エレですら希なのが泣ける。CFM局は前世紀からあるのだがこれが受信できないラジオが多いのが悲しい。


★続く
 次回は例によって解剖します(間にHO巡回記事が入るけど)。外見の似ているS60とどこがどう違うのか見てみたい。

記事検索
名無し・通りすがりは即削除
QRコード
QRコード
月別アーカイブ