HSDL.blog.jp

主にラジオを中心としたジャンク・各種実験の同人誌

P4B533

P4B533(その後)

哀愁のマザー P4B533(前)
哀愁のマザー P4B533(後)

 前回までの記事で足りなかったところを少々補足。当初はさりげなく修正しようと思ったが、量が多くて簡易パッチでは不可能だった。


★補足1
 解析の所で入力コンが抜け落ちてしまった。入力コンはHDという品種だが、タイコンにHDという品種は存在しない。これはニチコンHDと同等と考えて良さそうだ。1200μF16Vでサイズ10φ×25个世ら22mΩ/2150mAとなる。これでも一応足りているけど、万全を期すなら同じ品種でもう1本欲しかった。


★補足2
simout_p4b533
 あくまでも計算上の出力リプルはこうなった。想定は流れっぱのノースウッドなので劣化分を考えても現状の19800μFはもっと減らして構わない。空きは8φも入れれば8か所なのでかなり自由度が高いと言える。どこまで減らせるのかやってみたいけど、このマザーはできればオリジナル保存したいので壊れるまでは許されない。


★補足3
 この基板設計者はどうも経路上にDCコンを置く習性がある。まさかとは思うが兼用のつもりなのだろうか?

DC_p4b533
 上の記述では抽象的だが、無理やり回路図で言えばこういう事だ。

哀愁のマザー P4B533(後)

哀愁のマザー P4B533(前)

 今回は実際に動作させてみる。


★動かす
 このマザーはUSB2.0対応マザーなのにUSBメモリブートに対応していない。お陰でFDDの出番となってしまった。同時期のMSI 845E MAX2は対応していた(注1)。ASUSはこの辺りが他社よりかなり遅れている。


cooler1
 クーラーはリテール品だが、ジャンカーの方々ならばご存知の通り一口にリテールクーラーと言っても分類に困るくらい何種類もある。パッと見た目、表からは似たようなものだが…。


cooler2
 裏はこんな感じ。アルミだけで出来たセレ論用の廉価版から、銅が埋め込まれているペン4用高級タイプもある。銅だけでなくこの3つはファンも全部違っている。それどころかヒートシンク自体の材質も異なる。総合的な出来の良さで言うと藤倉>山洋>ニデックとなる。今回はHSDLらしく一番安っぽいニデック(多分北セレ用)を使う。

注1:845E MAX2の動作チェック記事では「USBブートに対応していない」と書いたが、後にBIOSを最終に上げたら対応した。少なくとも最終5.7とその前の5.5では完全に対応している(入手時は初期の5.1だった)。

memtest_sl6k8
 まずはMEMTESTを回してみる。メモリはHSDLの中でも最下級に位置する512MBモジュールであるA-DATAのPC3200-512MB×2で、CPUはHSDLで最低のSL6K8(100×16.0)である。メモリはマニュアルに書いてあるようにチップセット側から順には挿さず、1番目と3番目に挿している。実際これが一番調子が良くなった。それにしても、この時期のマザーは大容量を積むと周回が長いので疲れるな(^^;

 P4B533の最終BIOSが対応しているCPUIDは以下の通り。

0xF0A:藁C
0xF12:藁D
0xF13:藁E(藁セレ等)
0xF21:Xeon
0xF23:北A
0xF24:北B
0xF27:北C(北セレ等)
0xF29:北D(P4-HT)

 マイクロコードはHT付きにも対応しているが、チップセットが845EなのでHT自体には対応してないハズだ。しかし実際にSL6WH(HT対応)を載せてみるとBIOSにはHTのON・OFFメニューが現れた。という事はこのマザーに関して言えばHTに対応しているのだろうか?残念ながらSL6WHはFSB800のCPUなのでクロックが一杯にならない。HTはいずれどこかで試したい。

//HSDL27
MB:P4B533[Rev1.03/1015]
CPU:Celeron1.6A SL6K8(100x16.0)
MEM:DDR512MB(PC3200)×2
IDE1:MPC3032AT
IDE3:FB lct20
PCI4:3C905CX-TX-M
OS:WindowsXP SP3

irq_p5b533
device_p4b533
 相変わらずHDDが壊滅的にショボイ(DMA33^^)が、HSDLではいつもの事だから気にするな。CPUは2002年35週フィリピン製造。

 ソケ478のCPUは本当にタフで、今までジャンクで不動を引いた事は一度も無い。加えて使用中に壊れた事もまだ一度も無い。HSDLで唯一登録抹消した石は、HSDLでカラ割に失敗して壊したものである。元々絶対数の少ないマイナーソケットを除けば生存確率が一番高い。考えてみればネットバースト以降のイソテル石は本当に壊れない。恐らく各種プロテクション技術が発達したからだと思う。CPUジャンク箱に入っている石の半分以上はAthlon・Duronと言ったソケA以前のアム石である。動作マージンの大小とESD対策の差と言えるかな。


★ベンチマーク
 いつものようにHSDLの制式ベンチマークを食わせる(但し3Dベンチは省略)。

=FSB400=
bench_sl6k8
 午後ベンチは定格で30.02倍だったが、同じSL6K8をGA-8IG1000 Pro-Gに載せると34.16倍まで向上する。これが845Eと865Gのチップセットの差なのだろう。π焼は振り向けばP!!!という感じだが、これはL2がP!!!の半分(128k)しかないし、消費電力も同程度なので致し方ない。まあ何とか実用範囲内には入っているよ。

cine_sl6k8
 怖いもの見たさにCINEBENCH(R11.5)も動かしてみた。同格のAthlonXPに確実に勝てる唯一のベンチマークソフトである。なぜ確実に勝てるかと言うとAthlonXPはSSE2に対応していないので動かないからだ(^^ 身も蓋も無いけど結構重要だ。動かなければ速さもへったくれも無いからな。結果は御覧の通りで、HSDLのCPUの中では現時点で最低のスコアである。


=FSB533=
bench_sl6k8@133
 全てのスコアが上がっている。実用ならこれで良いだろうな。あれ?何故かCPU-ZでVcoreが表示されていないぞ。何かバグっているのだろうか。


=FSB667=
 このFSB667はイソテルの規定には無いのだが、キリが良いので試しにやってみた。実はこれの上のFSB800が動作しないので代わりの意味もある。MEMTEST86+を回したらFSB533の時より落ちている。これはエラーが出ているのではなく、メモリクロックを自動的に下げているからだ。なおこのクロックではコア電圧は1.400⇒1.600Vに昇圧している。

bench_sl6k8@166
 FSB533と比べると殆んどのスコアは上がっているのだが、やはりメモリは遅くなっている。HDB上でもハッキリと判るくらい落ちている。その証拠にπ焼はFSB533よりも落ちた。

cine_sl6k8@166
 CINEBENCHもやってみた。このベンチはメモリよりもクロック・CPUコア数が非常に効いてくる。結果を見ると地のメモリが遅くなってもクロックが上がった分だけ大幅に速くなっており、格上のPentium4とでも対等に戦える。

 ただやはりπ焼が遅くなったのはメモリアクセスの遅さを表しているわけで、大メモリを使うプログラムには少なからず影響を与えるはず。総合的に見ればFSB533で使うのが良いようだ。勿論良いメモリを使って設定を自分で行なえば、このクロックであってもさらにメモリ速度を上げる事はできる。ただ昇圧するのは色々な意味で抵抗がある。


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Bay/8103/pai_t.html
 P4B533を使用したπ焼の記録を探してみたが、流石に10年以上経った今はもうインターネット上にも殆ど残っていない。呆気ないものだな。ネットワークの情報の寿命なんてこんなものだ。これに拠れば1分くらいで回せるらしい。HSDLではSL6K8@175[01:05.172]、SL6DV@166[00:57.047]がP4B533での記録だった。


★終わり
 元記事は98SEでのテストだったが、後に最も適当と思われるXPに変更した。ほぼ完成されたこの時期のソフトウェア環境で久々に845Eの遅さを堪能できた。

2015年7月追記:この記事は改造を含め常連読者の人が書いてくれる予定だったのだが、結局挫折したらしいのでHSDLが構成を頂き、面倒な改造等は省略して完成させた。打ち切り感というか物足りなさが残るのはそのせいだ。シリーズ唯一の一般投稿原稿だったので残念だが懲りずにまたよろしく(^_^)/

哀愁のマザー P4B533(前)

 昔の機材で遊ぶのは面白い。何故なら我々が未来に生きているからだ。当時の専門家が知らなかった欠陥を誰もが普通に知っている。当時の技術者や評論家が描いていた未来が実は来ない事も…。昔のPC記事を今読むと面白い。「今後マザーボードはATXからBTXへ緩やかに移行していくだろう」とか書いてあるし…(^^;


zenkei_p4b533
 閑話休題、このP4B533無印(Rev1.03)は設計はごく普通なのだが、例によって一部の部品が生産段階でケチられているのでもったいない。そうは言ってもこのマザーをクソマザーと呼んでいる人には出会った事が無いので、部品に負担をかけないならば良いマザーなのだろう。


★ちょっと見る
 どんな製品も定格で使うなら問題なく動くのだろうが、そもそも定格でしか動かない物は定格で使うのもお断りだ。アンタらそう思わないか?今にも崩れそうな崖の下で生活していて不安にならない方がどうかしている。劣化マージンを考えて、やはり定格+αで安定して動くのは必須条件だろう。ギリギリ設計にロクな物は無い。


taicon1
 出力はニチコン系列のタイコン製HI3300μF6.3Vだ。で、今の今までこのマザーの出力コンは5本だと思っていたのだが…。


taicon2
 実はこのノースブリッジ横にあるCC32も出力に繋がっている。こんな昼行燈、全然効いてねえよ!と言いたくなるようなスットボケた位置にある。この部分から僅かだがチップセットにもこの電圧を流用している模様。だがそれだけの目的(チップセットのDC)にしては容量が大き過ぎだし、部品番号も出力コンと通しなので出力コンと分類する(注)。他にCC30(10φ)とCC30A(8φ)の空きが用意されている。番号からするとこれは排他実装か。

CC27:TAICON HI3300μF6.3V
CC28:TAICON HI3300μF6.3V
CC29:TAICON HI3300μF6.3V
CC30:Empty(10φ)
CC30A:Empty(8φ)
CC31:TAICON HI3300μF6.3V
CC32:TAICON HI3300μF6.3V
CC33:TAICON HI3300μF6.3V

=タイコン⇔ニチコン互換表=
TAICON[HG]=nichicon[HE]↑低性能
TAICON[HF]=nichicon[HD]
TAICON[HH]=nichicon[HV]
TAICON[HI]=nichicon[HM]
TAICON[HL]=nichicon[HN]↓高性能
*タイコンにはHZ相当の製品は無い

 これを見るとタイコン[HI]はニチコン[HM]と同等品だ。P5B533にはニチコン[HM]バージョンも製品として存在するからロットにより変わるのだろう。見た事は無いが、ニチコン系以外のもあるかもしれない。

注:後に発売されたP4B533-Eを見ると、CC32に当たる電解コンをCPU脇に移動させる等改良の跡がうかがえる。上の推定通り本来の役割は出力コンなのだろう。この事実から見て無印の配置は失敗だという事が判る。恐らく回路設計者と基板設計者は別人で、両者の意思の疎通ができていなかったのだろうと思われる。

 DCコンの容量は、原則的には電流変化量Iで決まる。もし電流変化がほぼ無いLEDのような負荷ならばDCコンは無用である。だがスイッチング電源やPCのようなデジタル機器にはそれは絶対にあり得ない。まずはデバイスが「電流が変化した時にどれだけの電圧降下を許容するか?」を知らなくてはいけない。CPUの場合はデータシートに記載がある。

 この時期殆どのVRMの出力コン容量は必要量より多い。これは静的リプル低減に必要なESRを満たすと必然的に静電容量も大きくなってしまうからだ。なのでその条件を満たせば容量は成り行きでもだいたいOK。もっともMLCCのようにインピーダンスに対して極度に直流容量が低い場合はその限りではない。これは通常アルミ電解コンデンサの話だ。


inductor
 インダクタは入力が不明フェライトバーに7回巻き、出力がT50-38?に7回巻き。38は低周波用でこの時期もう滅亡してるはずなんだけど。恐らく中華オリジナルコアなのではないか?巻き数から見て特に高性能でも特殊なモノもない。一般的な52や26と同レベルだろう。ま、分らなくても再設計すれば問題無い。


power_mosfet
 上下スイッチのパワーMOSFETは上がPHD78NQ03LT(DPAK)で下がPHB96NQ03LT(DDPAK)である。上下違うパッケージのハイブリット仕様は珍しい。剥がして確認したわけではないが、下は恐らくDPAKも使用できるはず。


hip6302
 VRMコントローラはVRM9.0の標準とも言えるHIP6302である。スイッチング周波数はHIP6302の8番ピンに繋がるRtにて決定する。このコントローラのリファレンス回路ではRt=100kΩとなっており、その際のスイッチング周波数は実効で275±30kHzとなる。

 このマザーではRt(RR33)は270kΩとなっており、実測でも設計値に近い105kHz×2相(実効210kHz)だった。HIP6302リファレンス回路から意図的に下げられている事になる。HSDLで見てきたVRM9.0のマザーの中では低い部類に入る。

 BIOS設定ではVcore上限が設けられており、例えばSL6K8のように1.400VのCPUだと1.600Vまでしか上げられない。これはOVER_VOLTジャンパにて上げられる。USBやKBDのジャンパと同じ所にあるので間違えないようにしなければならない。


cpu_dc
 これはCPUのDC(デカップリング)コンである。CPUに於ける高周波の電流変動はノイズとして観測されるが、それを打ち消すのがこの補償コンデンサの役割だ。大規模な電流変動(直流変動)には容量的に間に合わず無用となる(動的リプルの発生)。つまりこのDCは同じラインに繋がっていてもVRM出力コンとは働きが異なり、マザーではなくCPUの付属物と考えてもらいたい。当然ながら位置はCPUに近ければ近いほど良く、理想を言えばCPU基板上に欲しい。


ics950224
 クロックジェネレータICはICSの950224である。Web上にてデータシートが見つからないので詳細は不明だが、一応BIOSメニューで全てコントロール可能と思われる。この時代には100〜200MHz(FSB換算で400〜800)の範囲で動かせればまず問題は無い。ディップスイッチDSW1でもコントロールできるのは助かる。


ce31
 メモリスロットとチップセットの間にあるCE31(空き)は、テストで効果が無かったので除去されたのだろうが、DIMM1〜3のシルク印刷の右横に配置すべきだったと思う。それだと多少は効果が有るはず(基板裏を見ないと解らないが^^)。この位置だとパッと見た目でも何のために付いているのか分らない。回路図上ではどちらも全く同じ位置だが、実装によって効果が全く違ってくるのがアナログ回路。このCE31は上のとんでもない所に付いている出力コンとよく似ている。

 この基板設計者はどうも経路上にDCコンを置く習性がある。まさかとは思うが兼用のつもりなのだろうか?DCには兼用などという物は無い。というより兼用されないようにするのがDCの基本(他と切り離す)である。


ams1505
 メモリ電源部分だが、容易に可変するためかシリーズレギュレータICで済ましてある。AMS1505は5AのLDOだが、その性能は数あるシリーズレギュレータICの中でも最高クラスなのでメモリ電源でも特に不満は無いか。


★続く
 不毛な解析をしてもしょうがないのでテキトーに流す予定だったが、こんなレベルでも基板の不具合らしき所が見つかってちょいマジになってしまった(^^; そんなわけで動かすのはまた次回。実はもう作業は終わっているのだがまとまらないので。
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