この記事はレビュー記事でも懐古記事でも買い物ガイドでもありません。シロート向けの使い勝手などの一般的評価は書いていないので、ラジオ好きで超マニアックな常連の変人以外はここでお帰りください(^^/~

何となく買ってしまった無銘ラジオは史上最低スーパーヘテロダインだった(^^;


 去年6月に東大和にて300(330)円で手に入れた無銘ラジオ。無銘ラジオでも偶にSBホークスの千賀滉大や周東佑京のようなスゴイ奴がいるかもしれないのでつい買ってしまう。但し今までは一度も無いけどな(^^; ところでスリム・スタイルって何なんだろう?ブランド名なのか機種名なのか、はたまたタダの容姿を謳ったものなのか?


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 久々の高解像度版の本体写真。ご存じの通りこの写真はもう去年の秋、他のラジオの高解像度版と一緒にまとめて撮ったものだ。具体的に言えば現在休止中の猫又研のレンズ(ΣDL35-80)テストに使ったモノである。特にイイところは無いズームだけど、マクロ域で歪曲が非常に少なくなるので物撮り・基板写真に使える。ジャンクのズーム詰め合わせには殆どこれが入っていると言われるくらいのメジャー…いや不人気なレンズだ(^^;

 閑話休題、外装の状態はジャンクとしてはごく普通で思わず避けるような汚いモノではない。だから買ったわけだが、結論から言えば止めといた方が良かった。これまでの巡回でこれよりだいぶマシなラジオを同価格で幾つもスルーしているのだから。少なくとも本指名(300円以上)ではなく育成指名(100円以下)が妥当だったと思う(^^;


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 外見はただのポケットラジオで見るべきモノは無い。バンド切り替えの他は音量VRと同調ダイヤルしかない。見るべきものも無いので早速電池を入れてみよう。動くかな?


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 超小型域に入るラジオなので電池は単4である。なお右の蓋で隠した部分にS/Nがあるので品質管理は為されているのであろう(と信じたい^^)。電源はニッスイを入れる。粗ニーでも倒芝でも2.4Vで動かない石は無い。弩古い70年代のTA7613とかは無理だけど。


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 アリャ?マヌケオッサンにありがちな電池漏れが…昔は筆者もやっているので他人の事は言えないが電池は抜いとけ。でも磨くほどでは無いようなのでこのまま動かします。

 電源ON!無事動いた。少々ガリオームだが操作系は普通に動いている。AMモードで下から聞いて行くぞ…ギャー!何だこりゃ!下の方は良かったがAFNより上にはAFNが一杯に広がってしまっているではないか!ひょっとしてFUJITSUと同じくまた3本脚のストレートラジオなのか?イヤでも感度は高いし下の方は微妙に分離しているのだ。では極度に選択度の悪いストレートラジオ並みのスーパーヘテロダインなのか?いやいや、ラジオを始めてから驚かされてばかりだな!ラジオを始めたばかりの頃に見たRAD-F1691Mなんて「今後これ以下の性能のラジオは出るだろうか?」なんて思っていたけど、3年もしないうちに幾つそれ以下のラジオが出てきただろうか(^^; ちなみにFMは低性能だが一応使える程度にはなっている。イイところは何も無いので使いたくないけどな…。

 こんなラジオの受信テストや感度測定なんて出来ない(実際無理)。直ぐにバラして原因を探るべきだと思う。予想では2003系+出来の悪い中華SFU455の組み合わせだと思う。ムラタオリジナルを含め、出来の良いSFU455ではこんなヒドイ選択度にはならないだろうから特に「出来の悪い」と断っておく。しかし先走って書くとそんな予想は全部外れた。誰も予想できなかった驚異の事実を刮目して待て!


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 裏蓋の3本の内、テレスコピック・アンテナの止めネジを外さないように残りの2本を外すと呆気なく裏蓋が開く。これ中国製の良さが出ているね。早速ICが見えるが…オイオイこれ2003系じゃないぞ!どう見ても粗ニーだ(^^; まさかまたトランスレスなの?RAD-H245NはトランスレスだけどCF×2だったからこれはCF×1なのかも。


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 ううむ、何かオリジナルっぽいのだが精巧なリマーク品もあるので結論は保留だ。もっともこのICはわざわざ偽物や互換品を使うほど高価ではないらしいのでホンモノかも。


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 キタネー!基板が完全に爛れてます。ブラシでこすったら少なくともレジストは全部剥がれるはず。悪くすると銅箔パターンまで逝っちまいます。リード線のハンダ付けもヤヴァイ。


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 これフタが閉まらないから一々手で削っているんでしょ?何かヒドイ工場だなあ。人件費が一人分以上かかるのでコストアップだ。生産屋から見ると絞め殺したくなります。



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 さて部品面を見るにはネジを外して基板を裏返さねばならない。ここで気づくのはこのラジオはトラッキング調整が出来ないという事。何しろ組み立てた状態でコイルが動かせないのだから。粗ニー(オワタ音響)みたいに基板だけで調整するのだろうか?いや中国メーカーがそんな高度な事をするわけがない。恐らくTCで一点調整しかやっていないだろうな(^^; そこらの弩シロートのラジオッサン並み。


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 電源のリード線が切れちまったがハズレタ。ギャーなんだこりゃ!部品が無かったり違うのが付いていたり。やはりトランスレスだ!CXA1691BMのトランスレスはRAD-H245Nに次いで2つ目。いやこれはそれ以上になんか変だぞ。


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 違和感の原因はこれ。トランスレスは判るけどCFの位置にセラミックコンが…これCFも無いじゃないか!史上初のトランス+CFレスだよ!IFトランスは高価だからケチるのは判るけどCFまで省略するとは…。動作チェックで選択度が極度に悪かった理由が解った。つーか、これで動いているのは現代の奇跡と呼ぶべきでしょう。スーパーヘテロダインでありながら選択度はストレートラジオとほぼ同等という事になります。動作チェック時の感想はこれで裏打ちされた。


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 ちなみにこれはIFTじゃなくてOSCコイルだからね。スーパーヘテロダイン・ラジオはこればっかりは省略できない。もっともOSCを水晶発振やPLL等にすれば省略できるけど余計にカネがかかる。


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 フェライトロッドのサイズはいつものHSDLの精密計測(笑)に拠れば2.95×7.90×29.3mmの長方形だった。HSDLのフェライト指数では159となりRAD-F050Mの174をも下回る最底辺ランクだ。これより下にはもうストレートラジオのFINE WAVE STATION(100)とFUJITSU(87)の2つしかない。この点で”史上最低スーパーヘテロダイン”の名前を冠しても異論は無いだろう。


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 解析終って日が暮れて、黄昏のうんこラジオ。もうハンダ付けをする気力もないので切れたままジャンク箱に放り込む。こんなの部品取りにもならない。PVCくらいか?ICとFRAは何かに使えるか。何にでも付いているCFもねえしよ…(^^;

 さて皆さんもこれで知りたい事はもう無いですよね?じゃあ終わりという事で。


★終わり
 外見は鸚鵡やエロパと同等以下だから大したものではないだろうと思っていたが、シリアルが入っていたりして品質管理しているように見えるからまさかこれほど手抜き製品とは思わなかった。このブログでは毎年毎月のように史上最低ラジオが出てくる。「もうこれ以下は無いだろう」と思うとそれ以下のが直ぐに出てきてしまうために何時になっても最低ラジオは確定しない(^^; それでも現段階では自信を持って「史上最低スーパーヘテロダイン・ラジオ」と呼ばせていただきます。このラジオを選んで買う人は居ないだろうけど一言「止めておけ」と言っておく。見るだけならこのブログでいいわけだし…。